最も長い歴史をもつ判例実務誌
債権が重複して差し押えられた場合において第三債務者が無効な転付命令を取得した債権者に対し善意無過失で弁済したときと民法第481条第1項の規定の適用の有無
1 民法第557条第1項にいう「契約ノ履行ニ著手」した場合にあたるとされた事例 2 解約手附の授受された売買契約の履行に着手した当事者からの解除の許否
1 家屋賃貸借契約の終了を理由とする家屋明渡請求事件における訴訟物の個数 2 右賃貸借終了原因の変更と民訴法第139条の適用の有無
1 いわゆる重婚的内縁に民法第768条の類推適用が許されるか 2 前項の場合において悪意の当事者に民法第768条の類推適用が許されるか 3 重婚的内縁の場合において、既に内縁が解消されているということが財産分与請求の要件となるか
1 一方当事者による婚姻の届出が他方当事者によって追認されたものと認められた事例 2 右の場合における婚姻の効力発生時期
1 代表取締役につき民法715条2項の責任を否定した事例 2(1) 男子中学生の死亡による逸失利益の算定例 (2) 4才の男児の死亡による逸失利益の算定例
道路交通法(昭和39年法律第91号による改正前のもの)第30条第1項所定の追越禁止に違反する所為と同法第17条第3項所定の通行区分に違反する所為とが同一の運転の機会に行なわれた場合の罪数
1 他人の身体に対する刑法上の傷害と暴行との区別 2 創傷の程度が極めて軽微であるとして傷害と認めず強盗致傷罪の成立を否定した事例
本件の控訴人公庫や引受参加人のような金融機関との間の金銭貸借においては、担保提供者が借受金の使途を特に重要視する旨をはっきり表示しない限り、それは、右貸借についての保証契約または担保権設定契約における要素とはならない
事業者が事業遂行のため営業所を設け、その勤務者が自から営業所長の名称を使用するのを許容している場合には、第三者に対し自己の営業につきその者に代理権を授与した旨を表示したものと認めるのが相当であり、相手方が善意無過失である限りその責に任ずべきである
ホテルに滞在して在日中の取引をしている者が、ホテルを営業所として登記していても、民訴法107条の担保提供義務ありとされた事例
いわゆる株主相互金融方式による会社経営を、実体からみると、株式は預金ないし掛金を集める手段であり、株主優待費は、預金利子類似のものとみるべきであるから、この株主優待費の支出は法人税法上の損金を構成する
無断増改築を理由として家屋の賃貸借が解除された場合においても、賃借物の原状回復(賃借物の返還を除く)は賃借人の権利であって義務ではなく、賃貸人はその増改築部分の収去を求めることはできない
1 現状不変更を条件として債務者の使用を許すいわゆる占有移転禁止の仮処分の執行中、債務者が目的不動産につき物的変更を加えた場合になされた執行吏の点検排除の適否 2 右の場合執行債権者に不法行為が成立するか
買主が売買目的物件を長期にわたり売買契約時に予定表示された使用目的に供しないときは債務不履行として売買契約解除の原因となると認定した事例
1 土地の一部に工場を建築するほか引揚船台、機械等を設置して船舶修理事業を行なうための土地賃貸借につき借地法の適用を認めた事例 2 民法第210条の「公路」は公衆の通行する私道を含むか(積極)
プロパンガス容器の瑕疵に基づくガス購入先での爆発事故による損害につき、ガス販売業者に工作物占有者としての賠償責任を認め、容器所有者の賠償責任を否定した事例
1 得べかりし利益の喪失による損害額算定につき、支払の時期を考慮して中間利息の控除をした事例 2 身体傷害の場合における被害者およびその母についての慰謝料算定の事例
第三者が偽造した借用証に基づき、かつ信託法11条違反の債権譲渡を前提とする貸金請求訴訟の提起につき、債権譲渡人および譲受人に重大な過失があるとして共同不法行為責任を認めた事例
身元保証が今日において損害担保のための制度としての実質を失いつつある実情や被用者らに対する使用者の賠償請求の状況等をしんしゃくして身元保証責任の限度を定めた事例
不動産競落許可決定が所有権移転の効力を生じなかった場合における、配当を受けた債権者の競落人に対する不当利得の成否(積極)
労災補償保険法20条1項に基づく国の第三者に対する求償訴訟において、被災労働者の後遺障害による逸失利益の算定につき同法別表第一等を基準とすることの可否
社員の横領金に相当する金額を経費とすることを否認し、その横領時期における事業年度にあげた益金として法人税を賦課することは適法である
消防組織法第15条の5により消防団長として推せんされた者は、市町村長が他の者につきなした消防団長任命処分の無効確認等を求めるにつき法律上の利益を有するか
1 すでに保釈により労務の提供が可能なときも就業規則に定める休職事由「法令により拘禁又は訴追された時」に該当するか 2 休職期間中の賃金請求権の有無
女子従業員との情交は社内風紀を紊乱させるものであるが、いまだ労働協約に定める解雇事由「著しく風紀・秩序を乱して会社の体面を汚し、損害を与えたとき」には該当しない
交通事故による重傷者を、遺棄する意図で、救護措置を講じないまま搬送して死亡させた事案につき、未必の故意による殺人罪の成立を認めた事例。
血族関係上は実父であるが、戸籍上は父でない者を殺害した場合と尊属殺人罪の成否。 刑法上の直系尊属にあたらないとされた事例
被告人が勾留中交書による証人威迫を行なった事実があっても、被告人の訴訟準備の必要上、書類授受の禁止はなすべきでないとした事例
1 父母の共同親権に服している子の父に対する扶養料請求は、利益相反関係のない母と特別代理人とが共同してすべきである。 2 右事案において、母のみが法定代理人としてした申立を、急を要する事情と選任される特別代理人の追認の見込とを考慮し、ただちに不適法として却下することなく、原裁判所に差戻した事例
民法第255条による共有持分の移転は、相続人の不存在が確定したときに、法律上当然生ずるものであって、その部分は特別縁故者への分与の対象とはならない。
婚姻関係が完全に破綻していても、その破綻の原因が夫の不貞行為に起因する場合には、なお夫は妻と子に対し、自己の収入・社会的地位に相応する生活を保障しうるだけの生活費支給の義務があるとした事例
離婚後親権もしくは監護権を有しない親は、未成熟子の福祉を害することがない限り、未成熟子との面接交渉権を有し、その行使に必要な事項につき、他方の親との協議が調わないとき、またはできないときは、家庭裁判所がこれを定めるべきものである。
1 被相続人名義の不動産につき配偶者(妻)の持分を2分の1とした事例 2 相続財産に関する費用は、各相続人がその相続分に応じて負担すべきであるとして、相続人の1人がその費用の全額を負担したことから生ずる不当利得返還請求関係を、分割審判手続内で清算した事例
1 民法第795条に違反する養子縁組の届出を、誤って受理し戸籍の記載をした後においては、右縁組事項の記載を戸籍法第24条第1、2項所定の訂正手続によらずに事実上消除して不受理とすることは違法である。 2 右の場合には関係人の追完届により有効な養子縁組届出にすることができる。
中国人男と日本において中国方式による婚姻をし、旧国籍法第18条により日本国籍を喪失したものとして除籍されている日本人女に関し法例第13条第3項は、外国人と日本人間との婚姻については適用がなく、婚姻挙行地たる日本法によらなくてはならないとして、右婚姻の効力を否定し戸籍訂正をした事例
少年審判規則第35条の規定は、保護処分の決定を言い渡す場合、保護者の出席を絶対的要件としたものと解することを得ず、この規定を根拠に、原審が保護者不出頭のまま審判を遂ぐ、保護処分決定を言い渡したことを違法ということはできないとした事例
1 附添人に対する電話による審判期日の通知、呼出しは、少年審判規則第16条の2所定の簡易の呼出しに該当する。 2 親告罪については、告訴がなくとも審判をなしうることは、少年法の本旨に照らし当然のことに属すると判示した事例
少年法第46条の「審判を経た事件」とは、決定書に「罪となるべき事実」として摘示されている犯罪事実のみに限ると解せられるので、「罪となるべき事実」としてではなく、単なる行状の一部として決定書に記載された余罪については、記録中にこれを認めるに足る資料の存する限り、必ずしも内容を詳細に記載する必要はないとした事例
鋳造物に平滑な表面を与えるため型の内壁に硅砂混合物を置く「形状の複雑な精密鋳物鋳造用の鋳型」の実用新案の新規性が否定された事例
1 「工作機械の工具支持器及機械の同様の移動部に可変的送りを与えるカム装置の改良」の特許発明の技術的範囲 2 差止請求権の代位行使が認容された事例 3 損害額の不明により賠償請求が棄却された事例