最も長い歴史をもつ判例実務誌
第1 はじめに
第2 国際知財司法シンポジウム2021の概要
1 開催各日のプログラム
2 第1日目の結果概要
3 第2日目の結果概要
4 第3日目の結果概要
第3 成果及び所感等
はじめに
Ⅰ. 責任能力判断の傾向分析
Ⅱ. 判断イメージの提示
Ⅲ. 統合失調症事案の個別検討
Ⅳ. うつ病事案の個別検討
Ⅴ. 報告会概要(以下,1496号掲載予定)
おわりに
コメント(司法精神医学の観点から)
五十嵐禎人教授
(刑事実体法の観点から)
樋口亮介教授
(執筆者を代表して)
大野洋判事
人を欺いて補助金等又は間接補助金等の交付を受けた旨の事実について詐欺罪で公訴が提起された場合において,当該行為が補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項違反の罪に該当するときに,刑法246条1項を適用することの可否
1 電磁的記録を保管した記録媒体がサイバー犯罪に関する条約の締約国に所在し同記録を開示する正当な権限を有する者の合法的かつ任意の同意がある場合に国際捜査共助によることなく同記録媒体へのリモートアクセス及び同記録の複写を行うことの許否
2 警察官が日本国外に所在する蓋然性がある記録媒体にリモートアクセスをして電磁的記録を複写するなどして収集した証拠について証拠能力が肯定された事例
3 リモートアクセスによる電磁的記録の複写の処分を許可した捜索差押許可状の執行に当たり個々の電磁的記録につき内容を確認せずに複写することが許されるとされた事例
4 インターネット上の動画の投稿サイト及び配信サイトを管理・運営していた被告人両名に上記各サイト上におけるわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪及び公然わいせつ罪の各共同正犯が成立するとされた事例
1 あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師を教育し又は養成する学校・施設についてのあん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律2条1項の認定について,視覚障害者以外の者を教育し又は養成する学校・養成施設については視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師の生計が著しく困難とならないようにするため必要があると認めるときは認定をしないことができる旨を定める同法附則19条1項の規定は憲法22条1項に違反しない
2 上記法律2条1項の認定について,視覚障害者以外の者を教育する大学については視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師の生計が著しく困難とならないようにするため必要があると認めるときは認定をしないことができる旨を定める同法附則19条1項の規定は憲法23条,26条1項に違反しない
公立高校に教員として勤務していたAが,先輩教員であるBから度重なる注意を受けたことによって鬱状態となり自殺したことについて,Bの行為の不法行為該当性等を認めて,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求を一部認容した原判決に対する1審被告の控訴を棄却した事例
夫である相手方(原審申立人)が,別居中の妻である抗告人(原審相手方)に対し,抗告人が未成年者を連れて別居を開始したことが,別居開始前に当事者間で交わされた示談書中の親権者指定等に関する条項に違反する違法な子の連れ去りに当たるとして,未成年者の仮の監護者の指定及び仮の引渡しを求めた事案において,示談の経緯及び内容等に照らし,上記条項の存在をもって抗告人の別居開始が違法な子の連れ去りに当たるとはいえないとした上で,当事者の監護者としての適格性に関する調査の状況等に照らし,未成年者の監護を相手方に委ねることが抗告人の監護を継続するよりも相当であると認めることはできないから,本案申立てを認容する蓋然性が高いとはいえず,保全の必要性もないとして,原審判を取り消し,申立てをいずれも却下した事例
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による鑑定の意見の一部を採用せずに,対象者は,対象行為時に完全責任能力を有しており,心神喪失者及び心神耗弱者のいずれでもなかったと認め,検察官による入院又は通院処遇の申立てを却下した原決定が,重大な事実の誤認を理由に取り消された事例
殺すぞなどと怒号しながら包丁を示して脅迫したという暴力行為等処罰に関する法律違反保護事件において,家裁係属歴がない少年を第1種少年院に送致した原決定について,抗告審が,少年の非行性がさほど進んでいるとは言い難く,社会内処遇の可能性が検討されるべきであり,原決定の処分は著しく不当であるとして,これを取り消した事例
住民投票の実施請求に基づく住民投票の実施について,処分性を欠くとして,当該住民投票の実施の義務付けの訴えが却下された事例
1 自動車販売等を業とする株式会社の新人従業員が適応障害を発症し,自死した事案において,先輩従業員から業務上の相当な指導の範囲を超える発言があったことについては,これにより適応障害が発症したといえ,不法行為に該当するが,他方,上記新人従業員の自死との間に相当因果関係が認められないとされた事例
2 上記事案において,慰謝料44万円が認められた事例
3 上記新人従業員が適応障害を発症した後に,上記株式会社の支店長や課長が同従業員に休養をとらせず,いたずらに出勤を促したとの事実は認められず,また,同従業員の主治医との面談や同株式会社の産業医に同従業員を受診させるとの措置を講じなかったことや,同従業員を他の支店に異動させなかったことが,安全配慮義務違反とはいえないとされた事例
1 民事訴訟における当事者の訴訟追行態度に鑑み,虚偽主張を続けていた当事者に対し,相手方の訴え提起に関する費用を除く訴訟費用全部の負担を命じた事例
2 民事訴訟における当事者が虚偽の陳述をしたとして,裁判所が,当該当事者を過料の制裁に科した事例
3 民訴法209条1項の過料の制裁を科すに際しては,非訟事件手続法120条が定める検察官に対する意見聴取を要せず,かつ,当事者から意見を聴かなくとも,同法122条2項の異議申立てはできないと判示した事例
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律3条の指定を受けている暴力団の構成員らが,共犯者らとともに行った特殊詐欺について,同法31条の2本文に規定する威力利用資金獲得行為を行うについてされたものと認められ,当該暴力団の構成員のみならず,その代表者等にも損害賠償責任が認められた事例
インターネット上の掲示板への記事の投稿につき名誉毀損の成立を認めたが,営業上の損害を認めず,慰謝料等の限度で請求を一部認容した事例
1 交差点内における後続直進車(二輪車)と進路変更車(四輪車)の接触事故について,進路変更時の車間距離や進路前方の右折待ち車の存在,後続直進車の運転者の多数の同種事故歴等を踏まえ,後続直進車の運転者に運転操作の誤りがあったなどとして,双方の過失割合を後続直進車の運転者60%,進路変更車の運転者40%と認定した事例
2 過去の交通事故による後遺障害・傷害の内容や治療の経過等を考慮し,本件事故による後遺障害を認めなかった事例
国会が民法750条及び戸籍法74条1号の改廃を行わない立法不作為は,国家賠償法1条1項の規定の適用上違法の評価を受けるものではないとされた事例
建物の火災が保険契約者又はその意を受けた者によって起こされたものであるとはいえないとして,火災保険金の支払請求が認められた事例
いわゆる特優賃制度の担い手である「認定事業者」として賃貸用マンションを所有してこれを住宅供給公社に賃貸していた会社が,通常損耗等修繕費が当該会社の負担であるとして同費用相当額を借上料から差し引かれたことについて,法律上の原因を欠くなどと主張して当該住宅供給公社に対して不当利得返還請求等をすることが,信義則に反して許されないとされた事例
申立人ら夫婦が申立人母の非嫡出子を養子とすることの許可を求めた事案において,申立人父との関係ではニュージーランド法を,申立人母との関係では日本法をそれぞれ準拠法として認定した上,各準拠法における養子縁組の要件を検討し,申立てを許可した事例