最も長い歴史をもつ判例実務誌
[目次]
Ⅰ はじめに
第1 検討課題
第2 前提事項
1 製造物責任法3条の条文構造,請求原因 事実,請求主体
2 リコールについて
Ⅱ 狭義の製造物責任に関する解釈問題
第1 立法過程における議論
1 論点及び結果概要
2 議論の経過及び内容
3 小括
第2 法3条本文「財産」侵害の解釈
1 予備的考察
2 法3条本文「財産」侵害の解釈
第3 法3条ただし書の解釈
1 学説等
2 裁判例
3 検討
Ⅲ 広 義の製造物責任を対象とする具体的な賠償範囲の検討
第1 共 通の判断枠組みとしての相当因果関係説
第2 裁判例
第3 検討
1 予備的考察
2 具体的な判断基準に関する試論
Ⅳ おわりに
差止めの訴えの訴訟要件である「行政庁によって一定の処分がされる蓋然性があること」を満たさない場合における,将来の不利益処分の予防を目的として当該処分の前提となる公的義務の不存在確認を求める無名抗告訴訟の適否
化合物の医薬用途に係る特許発明の進歩性の有無に関し当該特許発明の効果が予測できない顕著なものであることを否定した原審の判断に違法があるとされた事例
難民に該当することを理由に難民不認定処分の取消判決が確定している外国人に対し法務大臣が事情変更を理由に再度難民不認定処分をする場合に適用すべき規定
求心性視野狭窄の障害により両眼の視野がいずれも10度以内であった自動車運転者の発生させた交通事故において,同運転者の過失の程度が重いものであるとされた事例
原審が,父親(抗告人)と3人の子ら(利害関係参加人ら)との直接交流(面会)を認めず,手紙の送付等の間接交流のみを認めたのに対し,抗告審は,原審を基本的に維持しつつ,母親から父親に対して子らの電子メールのアドレス及びLINEのIDを通知すべきことなどは認め,その限度で原審を変更した事例
被相続人の長男【抗告人兼相手方(原審申立人)】が被相続人の妻【相手方兼抗告人(原審相手方)】らに対して,仏具等の祭祀財産につき,自らを承継者と指定する審判を求めた事案で,原審は,対象とされた財産のうち,被相続人の位牌等については被相続人が所有していたものではないから,被相続人から承継すべき祭祀財産に当たらないとした上で,その余の財産について,被相続人の妻が,原審申立人の要望に従い同人に仏壇を引き渡したことなどから,当事者間に祭祀承継者を原審申立人と認める黙示の合意が成立したとして,原審申立人を祭祀承継者と定めたところ,抗告審は,原審の判断を是認した上で,被相続人の位牌等は,いわば被相続人自体ともいえる遺体や遺骨とはその性質において異なり,祭祀財産に準じたものとして扱うことも困難とし,抗告審で追加的に申し立てられた原審申立人への祭祀財産の引渡しも,その余の財産についてのみ命じた事例
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,父である抗告人が,母である相手方に対して,子をその常居所地国であるシンガポールに返還するよう求めた事案において,法28条1項3号(留置についての同意又は承諾)及び同項4号(重大な危険)の各返還拒否事由があると認められることから,子の返還申立てを却下した原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例
覚せい剤の使用の事案において,職務質問の開始から強制採尿令状の執行までに約8時間30分が経過しているところ,被告人が警察署,病院,コンビニエンスストア,駅等へ次々と場所を移動し,警察官らがこれに同行し,この間に被告人に対して有形力を行使したという一連の手続のうち,2回にわたり被告人がタクシーに乗り込もうとするのを制止した点,駅において被告人が電車に乗ろうとして改札を通過するのを制止した点は,被告人の移動の自由を不当に制限したものであって,違法であるといわざるを得ないが,有形力の行使の程度,時間,全体としての移動の自由の制限の程度,強制採尿令状執行確保に向けてのものであったことを考慮すると,本件の一連の手続における違法は,令状主義の精神を没却するような重大なものではなく,被告人の尿の鑑定書等を証拠として許容することが将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合には当たらないとされた事例
1 港区が区民等の要求に対して作成した回答文書中に記載された当該区民等の自己情報(港区個人情報保護条例に規定するもの)について,その情報の収集が同条例に違反するとは認められないとした事例
2 上記1の自己情報について,事実の誤りがあるとは認められないとした事例
防衛省防衛研究所に所属していた隊員が防衛研究所長から受けた訓戒は,行政事件訴訟法3条2項に規定する行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為には当たらないとした事例
退去強制令書を発付され,入国者収容所に収容されている外国人である原告がした仮放免許可申請を不許可とした入国者収容所長の処分について,原告が同処分時において拘禁性うつ病に罹患しており,その治療のためには収容を解くことが医学的に見て必要かつ相当であったと認められ,人道的配慮の観点から身柄の解放を相当とする場合に当たり,仮放免をすべきものといえるから,原告につき仮放免をしないものとした同処分は,全く事実の基礎を欠き,又は,社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであり,同所長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるとして,同不許可処分を取り消した事例
約1年間にわたり著しい長時間労働に従事していた調理師が,劇症型心筋炎を発症して最終的に死亡したことについて,長時間労働による過労状態と死亡との間の相当因果関係を肯定して使用者及びその代表者に対する損害賠償請求を認容した事例
引きこもりの状態にある者の自立支援を内容とする業務委託契約を締結した会社が行った業務が,債務の本旨に照らして十分なものとはいえず,債務不履行が認められると判断された事例
1 債権者不確知を理由とする供託が無効とはいえないとされた事例
2 賃貸人と転貸人との間で原賃貸借契約の解除について争いがある場合に,転貸人の転貸借契約に基づく債務が履行不能になったとはいえないとされた事例
ソーシャルネットワーキングサービスの入会手続で,誤入力により電子メールアドレスが開示された場合において,不法行為の成立が否定された事例
原告(女性)が男女の関係にあった被告(男性)に対して貸付けをしたとは認められないとしつつ,関係を解消する際に養育費等の支払の合意はあったとされた事例
特例有限会社における任期の定めのない取締役が解任された場合に,会社法339条2項,民法651条2項ないし同法709条に基づく損害賠償請求をいずれも認めなかった事例