最も長い歴史をもつ判例実務誌
[目次]
第1 本稿の研究テーマ
第2 本件の事案の概要と原審・控訴審の判断について
1 事案の概要
2 原審と控訴審の判断の道筋と分岐点
第3 量刑傾向の意義や量刑評議の在り方について
1 最高裁平成26年7月24日第一小法廷判決・刑集68巻6号925頁
2 A最高裁平成27年2月3日第二小法廷決定・刑集69巻1号1頁
B最高裁平成27年2月3日第二小法廷決定・刑集69巻1号99頁
3 検討
土地の固定資産評価について,当該土地が商業施設に係る開発行為に伴い調整池の用に供されその調整機能を保持することが開発行為の許可条件になっていることを理由に地目を宅地と認定するなどして算出された当該土地の登録価格を適法とした原審の判断に違法があるとされた事例
使用者と労働組合との間の合意により当該労働組合に所属する労働者の未払賃金に係る債権が放棄されたということはできないとされた事例
弁護士殺害事件について,通報により臨場した警察官が適切に権限を行使しなかったために弁護士が殺害されるに至ったもので故意又は過失による違法な公権力の行使に該当するとして,国家賠償請求を認めた事例
いわゆる民泊営業を行おうとする者が特別区に対してした旅館業法(平成29年法律第84号による改正前のもの)上の区長の許可を受ける義務を負わないことの確認請求につき確認の利益がないとされた事例
1 インターネット掲示板への投稿記事による名誉毀損について,税関申告せずに国境を越えて多額の現金を移動させた事実の証明があることから「マネーロンダリングマン」という表現に真実性があり,預かり株式を無断で貸株に供した(後に返還を受けた)事実の証明があることから「業務上横領」という表現に真実性があると判断された事例
2 インターネット掲示板への投稿記事による名誉毀損について,被害者の社会的名声がもともと高くなかったことを理由に,第1審判決の認容額よりも賠償額が大幅に減額された事例
1 離婚を求める配偶者の一方が,別居後は相手方配偶者との接触を避けて婚姻関係についての話し合いを一切拒絶している場合において,別居期間が7年以上に及んでいるとしても,婚姻を継続し難い重大な事由があるとはいえないと判断された事例
2 離婚を求める配偶者が有責配偶者である旨の相手方配偶者からの主張がない場合において,離婚請求が信義則に反して許されないと判断された事例
父が,母に対し,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,子をその常居所地国であるオーストラリア連邦に返還することを求めた事例において,常居所地国がオーストラリア連邦ではないと判断して,申立てを認めなかった事例
暴行保護事件において少年を第1種少年院に送致した決定に対する処分不当を理由とする抗告につき,少年の資質上の問題が発達上の特質を背景として長年形成された根深いものであることや,保護環境が十分とはいえないことを指摘し,原決定の判断は相当であるとして,抗告を棄却した事例
いわゆる美人局を内容とする恐喝保護事件において少年を第1種少年院に送致した決定に対する抗告に関し,非行事実として送致されていない事実を認定,考慮した点に適正手続違反等の法令違反があるとする主張及び処分が著しく不当であるとする主張はいずれも理由がないとして,抗告を棄却した事例
1 平成8年法律第105号による改正前の優生保護法第2章,第4章及び第5章と憲法13条
2 平成8年法律第105号による改正前の優生保護法第2章,第4章及び第5章に基づき不妊手術をされた者が除斥期間の規定の適用によりリプロダクティブ権侵害に基づく損害賠償を求めることができなくなった場合に,その権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であるとされた事例
3 平成8年法律第105号による改正前の優生保護法第2章,第4章及び第5章に基づき不妊手術をされた者が,国家賠償法4条の規定により適用される民法724条後段の適用によりリプロダクティブ権侵害に基づく損害賠償を求めることができなくなった場合に,その権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であることが明白であったとはいえないとされた事例
4 民法724条後段の適用と憲法17条
1 トルコ共和国との国境付近からシリア・アラブ共和国に渡航することを計画していたジャーナリストに対する旅券法19条1項4号に基づく一般旅券の返納命令に裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるとはいえないとされた事例
2 旅券法19条1項4号に基づく一般旅券の返納命令につき,行政手続法13条2項1号所定の聴聞を要しない場合に該当するとされた事例
3 旅券法19条1項4号に基づく一般旅券の返納命令により旅券を返納した者の新たな旅券の発給申請に対する一般旅券の発給処分において同法5条2項に基づく渡航先の制限をしたことに裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるとはいえないとされた事例
1 実態と異る賃金算定方法を定めた就業規則の適用が肯定された事例
2 深夜割増賃金が基本給に含まれているとの主張が排斥された事例
3 賃金控除が違法とされた事例
4 会社の賃金未払について代表取締役等の損害賠償責任が否定された事例
5 事実上の取締役の労働者に対するパワーハラスメントが認められるとして,会社の損害賠償責任が肯定された事例
6 労働者が業務を放棄したことにより損害賠償責任を負うとされた事例
1 「出向手当」及び「交通費」の各性質につき,雇用契約書の記載その他の事情から認定される労働契約の内容,労働契約と就業規則の優劣,労働条件の不利益変更の要件等の観点から判断した事例
2 使用者が労働者に対し就労に伴う交通費を貸し付け,雇用契約等に違反した場合には全額を返還しなければならない旨の定めが,実質的に労働契約の不履行に違約金を定めるものとして労働基準法16条(賠償予定の禁止)に違反し,無効であると判断した事例
3 法人格否認の法理の適用を肯定した事例
会社が株主総会の決議等を経ることなく支給された取締役報酬相当額の金員につき退任取締役に損害賠償請求をすることが信義則に反し,権利の濫用として許されないとされた事例…