最も長い歴史をもつ判例実務誌
地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)100条12項及び13項の政務調査費の制度が設けられた後において, 普通地方公共団体が地方議会の会派に対し, 地方自治法232条の2に基づき補助金を交付することの可否
市が土地開発公社の取得した土地をその簿価に基づき正常価格の約1.35倍の価格で買い取る売買契約を締結した市長の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法となるとはいえないとされた事例
株式会社の株式の相当数を保有する株主が当該株式会社の株式等の公開買付けを行い, その後に当該株式会社の株式を全部取得条項付種類株式とし, 当該株式会社が同株式の全部を取得する取引において, 上記公開買付けが一般に公正と認められる手続により行われた場合における会社法(平成26年法律第90号による改正前のもの)172条1項にいう「取得の価格」
有期労働契約に基づく労働条件の一部について, 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止を定めた労働契約法20条に違反するものとして, 使用者の不法行為責任を認めた事例
「忘れられる権利」等に基づくインターネット上の検索サービスにおける自己の逮捕歴に係る検索結果の削除請求が認められないとされた事例
学校法人が平穏に業務を遂行する権利があることを根拠に大学の入学試験実施を妨害する労働組合に対し情宣活動の差止めを認めた事例
養育費の算定に当たり, 失職した義務者の収入について, 潜在的稼働能力に基づき認定することが許されるのは, 就労が制限される客観的, 合理的事情がないのに主観的な事情によって本来の稼働能力を発揮しておらず, そのことが養育費の分担における権利者との関係で公平に反すると評価される場合であり, 原審は, この点を十分に審理していないとして, 原審を取り消し, 差し戻した事例
1 検察官から実質証拠として取調べ請求がされた被告人の自白を内容とする取調べ状況の録音録画記録媒体について, 自白の内容は被告人質問で明らかになっていること, 争点については共犯者等の供述の信用性が判断の決め手であること, 取調べ中の供述態度を見て供述の信用性を判断するのは容易とはいえないことを指摘して, 取調べの必要性を否定して請求を棄却した原審の証拠決定には合理性があるとし, 取調べ状況の録音録画記録媒体を実質証拠として用いることには慎重な検討が必要であることに照らしても, 同証拠決定が証拠の採否における裁判所の合理的な裁量を逸脱したものとは認められないとされた事例
2 控訴審において検察官が取調べ請求をした被告人から弁護人を介し共犯者に授受された手紙について, 第一審においては共犯者が任意提出を拒み, 接見交通権に対する配慮という点でも重要証人である共犯者の証人尋問を有効に実現するという点でも, 差押えをするには支障があったという本件事実関係の下では, 第一審の弁論終結前に取調べ請求をすることができなかったことに刑訴法382条の2第1項の「やむを得ない事由」があると認められた事例
警察官が, 連続窃盗事件に関し相当な嫌疑があると認めた被疑者らが使用する蓋然性のある複数の車両に, 相当期間にわたりGPS発信器を装着してその位置情報を多数回連続的に検索・取得した捜査手法について, 重大な違法があるとは解されないとされた事例
1 死刑確定者又はその再審請求のために選任された弁護人が再審請求に向けた打合せをするために刑事施設の職員の立会いのない面会の申出をした場合にこれを許さない刑事施設の長の措置が「死刑確定者の心情の安定を把握する必要性が高いと認められる」として国家賠償法1条1項の適用上違法とならない場合
2 死刑確定者が代理人弁護士との間で自己に対する刑事施設の長の措置その他自己が受けた処遇に関する救済を求める訴訟に向けた打合せをするために刑事施設の職員の立会いのない面会の申出をした場合にこれを許さない刑事施設の長の措置が国家賠償法1条1項の適用上違法となる場合
3 死刑確定者に対する刑事施設の長の措置その他死刑確定者が受けた処遇に関する救済を求める訴訟における死刑確定者の代理人弁護士が死刑確定者との間で同訴訟に向けた打合せをするために刑事施設の職員の立会いのない面会をする固有の利益の存否
内国法人がタイ王国に所在する関連法人発行の新株を額面価額で引き受けた場合において, 当該株式が法人税法施行令(平成19年政令第83号による改正前のもの)119条1項4号に規定するいわゆる有利発行有価証券に該当するとされた事例
大腸内視鏡検査でポリープが発見され, その約3年後に当該部位に大腸がんが発見された場合において, 内視鏡検査時のポリープの切除義務違反等による医師の不法行為責任が否定された事例
報酬を得て医師をあっせんする行為が職業安定法における有料職業紹介事業に当たるとして, その許可を得ない者からの報酬請求が公序に反する無効なものとされた事例
新築住宅の注文者である原告らがシックハウス等を発症したことについて, 建物の使用建材等又は換気に瑕疵があるとはいえないとして, 施工業者の瑕疵担保責任及び不法行為責任を否定した事例
1 東京都特別区の借上型区民住宅に関する賃貸借契約が賃借人の更新拒絶により終了しても, 賃貸人が信義則上その終了を転借人に対抗することができないとされた事例
2 前記借上型区民住宅の賃貸人が賃借人及び転借人に対してした将来の明渡しを求める訴えが, いずれも不適法とされた事例