最も長い歴史をもつ判例実務誌
権利能力のない社団の理事長及び専務理事の地 位にあった者が当該社団からの借入金債務の免 除を受けることにより得た利益が,所得税法 28 条 1 項にいう賞与又は賞与の性質を有する給与に当たるとされた事例
訴訟の目的である金銭債権の数量的な一部に対 応する訴え提起の手数料につき訴訟上の救助を 付与する決定が確定した場合において,請求が 上記数量的な一部に減縮された後の訴えを却下 することの許否
刑事確定訴訟記録法 4 条 1 項ただし書,刑訴法53 条 1 項ただし書にいう「検察庁の事務に支障 のあるとき」と関連する他の事件の捜査や公判 に不当な影響を及ぼすおそれがある場合
警視庁が記者会見及びホームページ上で捜査の 経過・結果を説明したことが国賠法 1 条 1 項の適用上違法となる場合
臨床検査技師が自殺したのは過重な業務により うつ病を発症したことによるとして,遺族の使 用者に対する安全配慮義務違反による損害賠償 請求が認められた事例
過払金が発生している継続的な金銭消費貸借取 引の当事者間で成立した裁判外の和解につい て,当該和解が過払金返還請求権についての争 いを対象とするものではないとして和解の効力 が否定された事例
NHKが放送した日本の台湾統治を検証すると の番組により名誉やプライバシーを侵害された とする台湾住民や一方的な偏向した内容で知る 権利を侵害されたとする視聴者らが損害賠償を 求めた集団訴訟において,請求を棄却した第一 審判決が変更され,取材を受けた台湾住民の請 求が一部認容された事例
ヌードマウス事件 確定した前訴(差止請求)と同一の当事者間に おける同前訴と同一特許に基づく本件の請求(損害賠償請求)においては,信義則上,前訴 判決で判断された構成要件解釈と異なる主張を することはできないとされた事例
使い捨て紙おむつ事件 使い捨て紙おむつの発明に係る特許権の侵害訴 訟において,均等侵害の第 5 要件を充たさないとされた事例
いわゆるドリフト走行が,危険運転致死傷罪の 要件である「その進行を制御することが困難な 高速度で自動車を走行させる行為」に当たらな いとされた事例
1 国民年金法施行規則 31 条 2 項 4 号の「障害 の状態に関する医師又は歯科医師の診断書」の 意義
2 20歳前に初診日のある精神遅滞により 20 歳に達した日において法定の障害等級に該当す る程度の障害の状態にあることを理由とする障 害基礎年金(国民年金法 30 条の 4 第 1 項)の裁 定請求を黙示に却下した裁定処分が取り消された事例
選挙管理委員会の委員について月額報酬を定め る東京都杉並区の条例の規定は,委員がその職 にあった特定の月の全て又はその大部分の日に おいて疾病等のために職務を遂行することがで きなかった場合を含めて一律に月額報酬の全額 を支給するものとする限りにおいて無効である として,不当利得の返還等の住民訴訟の請求が 一部認容された事例
1 LPガスボンベの配送員について労働者性を認めた事例
2 使用者が月額 22 万円を支払う旨約しながら,配送員の売上げから車両経費を差し引いて 月額 22 万円を超える場合はその超過額を歩合 給として支払う一方,22 万円に達しない場合 は,貸付金として計上して翌月以降清算してい た点について,労働基準法 27 条の趣旨に反するものであり,月額 22 万円から貸付金を差し引いて清算した限度において公序良俗違反で無 効とし使用者が不当利得返還義務を負い,また,清算が終了しないまま退社した配送員については債務が不存在であることを確認した事例
第三者による戸籍の全部事項証明書の交付申請 に対して大田区長がした不交付決定に,審査請 求に対する裁決により取り消されるべき瑕疵が 存在したが,当該決定に係る審査を担当した公 務員の行為は国家賠償法上違法でないとされた 事例
輸入食品を原料として製造された加工食品に異 臭が発生し回収が行われた場合に,その輸入食 品を輸入した輸入販売業者に製造物責任が肯定 された事例
新生児取り違え事件 産院における新生児取り違えを理由とする債務 不履行について,権利の内容,性質に照らして 客観的合理的に見て権利行使が期待できないと きは時効の進行を否定すべき場合があり,その 際には損害の特殊性も考慮すべきであるとし て,時効の完成を認めなかった事例
1 シンガポール法を準拠法とする不法行為(名誉毀損等)に基づく損害賠償請求について, 法の適用に関する通則法 22 条 1 項により,日本民法の不法行為についての要件該当性を検討し た結果,不法行為を構成しないとして,請求が棄却された事例
2 シンガポールに在住する日本人に対する内縁の不当破棄を理由とするフィリピン人の不法 行為に基づく損害賠償を求める訴え(反訴)に ついて,我が国の国際裁判管轄が認められ,請 求の一部が認容された事例
3 法の適用に関する通則法 22 条 2 項に基づく日本民法 724 条(不法行為による損害賠償請求 権の期間の制限)の累積的適用による消滅時効の主張を排斥した事例
1 NHKが放送受信契約を締結しない者に対 して受信料を請求することの可否
2 放送法 64 条 1 項の合憲性
不正競争防止法 7 条 1 項による侵害行為の立証 のための書類提出命令の申立てが認められた事 例(いわゆる新日鐵住金営業秘密訴訟)
1 「スターデンタル」の文字から成る商標と「赤坂スターデンタルクリニック」の文字から 成る標章の類否を判断した事例
2 商標法 32 条 1 項における周知性を否定した 事例
3 商標法 26 条 1 項 1 号の「普通に用いられる方法」に当たらないとした事例
被告人が,対面信号機が赤色表示であったのに 車を交差点に進入させ,左右道路を青信号に 従って直進してきた被害者の車に衝突させ,被 害者ら 6 名に傷害を負わせたが,事故当時,睡 眠時無呼吸症候群により,予兆なく急激に睡眠 状態に陥り,前方注視義務を履行できない状態 にあった疑いを否定できないとして,無罪が言 い渡された事例
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の 防止に関する条例違反の事実を否認している少 年について,証人尋問を行って非行事実を認定 した上で,少年の問題性を考慮して不処分とし た事例