最も長い歴史をもつ判例実務誌
逃亡犯罪人引渡法35条1項が同法14条1項に基づく逃亡犯罪人の引渡命令につき行政手続法第3章の規定の適用を除外し上記命令の発令手続において改めて弁明の機会を与えることを要しないものとしていることと憲法31条
再生債務者が支払の停止の前に再生債権者から購入した投資信託受益権に係る再生債権者の再生債務者に対する解約金の支払債務の負担が,民事再生法93条2項2号にいう「前に生じた原因」に基づく場合に当たらず,上記支払債務に係る債権を受働債権とする相殺が許されないとされた事例
夫と民法772条により嫡出の推定を受ける子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであるなどの事情がある場合における親子関係不存在確認の訴えの許否
いわゆる東京大空襲によって被害を受けた者及びその遺族に対し,国が立法上及び行政上の補償を行わないことが憲法14条1項に違反しないとされた事例
横浜市空き缶等及び吸い殻等の散乱の防止等に関する条例(平成7年9月25日横浜市条例第46号)の趣旨,目的等からすれば,同条例に基づく喫煙禁止地区内での路上喫煙に対する過料を科すためには,違反者に少なくとも過失が必要であるとした上で,その過失を肯定した事例
殺人未遂容疑で被疑者が逮捕された旨の警察の報道発表を受けて掲載された新聞記事の一部に真実と異なる記載が含まれていたとしても,同記事は記事の重要な部分に該当しないとして,新聞記事による被疑者に対する名誉毀損の成立が否定された事例
1 壁面に吹き付けられたアスベストが露出している建物が遅くとも昭和63年2月頃には通常有すべき安全性を欠くと評価されるようになったとされた事例 2 壁面に吹き付けられたアスベストが露出している建物の所有者兼賃貸人が民法717条1項にいう「占有者」に当たるとされた事例
発明の名称を「ポリウレタンフォームおよび発泡された熱可塑性プラスチックの製造」とする本件特許に係る本件訂正発明が備える発泡剤成分事項を,甲1に記載された混合気体から容易に想到できないとした審決は誤りであると判断した事例
名称を「軸受装置」とする発明について,明細書の発明の詳細な説明に,当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項の記載がなく,当業者が,出願時の技術水準に照らして,技術上の意義を有するものとしての発明を実施することができない場合には,その記載は,発明の詳細な説明に基づいて当業者が発明を実施できることを求めるという特許法36条4項の趣旨に適合しない
電気通信機械器具用モジュール等を指定商品とし,「KDDI」「Module」「Inside」の文字を上下三段に配するなどして構成された商標は,「intel」及び「inside」の文字を上下二段にするなどして構成された各商標との関係で,混同を生ずるおそれがある商標(商標法4条1項15号)には該当せず,公正な競争秩序から逸脱し,公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標(同項7号)にも該当しない
特許出願又は実用新案登録出願手続において,弁理士であるYがした補正等の手続は,その必要性が認められ,その内容自体もやむを得ないものであったのみならず,委任者である出願人Xの承諾に基づくものである以上,Yの行為が債務不履行又は不法行為に該当するものということはできないとされた事例
名称を「腫瘍特異的細胞傷害性を誘導するための方法および組成物」とする発明について,進歩性を欠くとして特許拒絶査定不服審判請求を不成立とした審決を取り消した事例
本件明細書に接した当業者は,「減塩醤油類」に係る本件発明において,食塩濃度が下限値に近い場合には,出願時の当業者の技術常識を参酌することにより,カリウム濃度を上限値近くにすることにより,減塩醤油の塩味を強く感じさせることができると理解するものであり,本件発明は,発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載されており,サポート要件を満たす
商標「激馬かなぎカレー」について,剽窃に当たり公序良俗違反があるとして登録を取り消した異議の決定の判断を維持した事例
1 商標法4条1項6号の適用を受ける標章は「著名なもの」に限られると解すべきであり,告示されたことのみを理由として「著名なもの」とすることはできない 2 商標法4条1項6号の「著名」とは,指定商品・役務に係る一商圏以上の範囲の取引者,需要者に広く認識されていることを要する 3 本願商標と日南市章を全体として対比すると,本願商標の図形部分と日南市章は外観において類似するものの,当該図形部分は「日」という漢字の古代書体に由来するありふれた図形であって出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとは認められず,本願商標が「ダイワ」の称呼を生じ,「ダイワ」ないし「大和」の企業名としての観念を生じるから,全体として類似するとはいえないとした事例
「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成6年条約第15号)の「農業に関する協定」4条2項と我が国の豚肉の差額関税制度との関係
工場跡地をガソリンスタンド用地として購入した売買契約において,土壌中に有害物質が含まれていたことが判明した場合について,買主の錯誤による無効が否定され,また,売主の瑕疵担保責任,売主の説明義務違反による債務不履行責任が否定された事例
有価証券報告書等に虚偽記載がされていた株式会社の取締役が金融商品取引法21条2項1号の「相当な注意」を尽くしていたものとされた事例
保険会社の従業員が顧客に変額個人年金保険契約の締結を勧誘した際,運用利益を確約したなどの同契約の取消事由,無効事由及び解除事由の存在が否定され,適合性原則違反,説明義務違反等も否定された事例
1 システム開発契約の受注者には納期に間に合うように仕様を確定させていく義務があるとして,履行遅滞の帰責性を認めた事例 2 システムの不具合項目が直ちに発見することのできない瑕疵にあたるとして,検査期間内に瑕疵の通知がなくても瑕疵担保責任は排斥されないとした事例
1 病院長・医師である被告人と同病院勤務医について,肝臓外科専門医ではなく,肝臓切除手術の執刀経験も皆無である両名のみでは,大出血の危険を伴い高度の専門性を有する肝臓背部側の腫瘍の切除手術を安全に実施するための人員態勢として不十分であることを認識し,その実施を避けるべき業務上の注意義務があったと認定して,医師の業務上の共同注意義務違反を認めた事例 2 被害者の遺体が解剖されておらず,その解剖所見等は存在しないものの,手術中の麻酔記録や看護師,専門医の供述等から被害者の死因を出血死と認定し,かつ,本件肝臓切除手術と被害者死亡の因果関係を認定した事例
特別少年院に収容中の19歳の本人に対する収容継続申請事件において,11か月の収容継続の申請に対し,矯正教育の効果や少年院出院後の生活の見通し等を考慮して,申請より3か月短い8か月間の収容継続を認めた事例