最も長い歴史をもつ判例実務誌
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,成人の日本国民である原告が,後見開始の審判(民法7条)を受けて成年被後見人となったところ,公職選挙法11条1項1号が「成年被後見人は選挙権を有しない」旨規定していることから,選挙権を付与しないこととされたため,上記の公職選挙法11条1項1号の規定は,憲法...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,発明の名称を「ごみ貯蔵機器」とする特許権(以下「本件特許権」という。)を有するX(控訴人兼被控訴人・第1審本訴原告・反訴被告)が,Y(被控訴人兼控訴人・第1審本訴被告・反訴原告)に対し,Yが輸入・販売する紙おむつ用のごみ貯蔵カセット(以下「イ号物件」とい...
〔解 説〕
1(1) 本件は,目黒区議会議員である被上告人が,交付を受けた政務調査費から,被上告人が提起した別件の住民訴訟に関する費用を支出したことにつき,目黒区長から,これらの支出の額に相当する金員の返還を命ずる処分を受けたため,この処分は違法であるとしてその取消しを求めた事案である。
(...
〔解 説〕
1 本件は,本訴請求として,Xが,根抵当権の被担保債権である貸付金債権が相殺等により消滅したとして,Yに対し,所有権に基づき,根抵当権設定登記の抹消登記手続を求めるものであり,反訴請求として,Yが,Xに対し,貸付金の残元金等の支払を求めるものである。本件では,Xが相殺の意思表示を...
〔解 説〕
1 本件は,ゴルフ場に利用されている多数の土地(以下,まとめて「本件土地」という。)の地上権設定契約及び賃貸借契約に関して,その地代及び土地の借賃(以下「地代等」という。)の減額について争われた事案であり,①本訴では,ゴルフ場経営会社(X)が,本件土地の所有者(Y)に対して,地代...
〔解 説〕
1 本件は,Aに対する債権の管理及び回収を債権者から委託されたサービサーであるXが,Aが所有していた不動産(以下「本件不動産」という。)を新設分割(以下「本件新設分割」という。)によりYに承継させたことが詐害行為に当たるとして,本件新設分割によって設立されたYに対し,詐害行為取消...
〔解 説〕
1 本件は,交通事故により植物状態となった養子を成年被後見人とする成年後見人に家庭裁判所から選任された被告人が,後見の事務として業務上預かり保管中の被後見人の預貯金を払い戻し,うち合計930万円余りを競馬等の自己の用途に費消して横領したという事案である。事実関係に争いはなく,1審...
〔解 説〕
1 事案の概要
X1はイラン・イスラム共和国(イラン)国籍を有する女性であり,X2はその実子(長女)である。Xらは,平成16年在留資格短期滞在により本邦に入国し,平成17年3月東京入国管理局長から在留期間更新不許可処分を受けた後も,本邦に不法残留した。Xらは,平成20年2月,出...
〔解 説〕
1 本判決の意義
本判決は,弁護士会照会に対する報告義務の確認請求を認容した最初の裁判例であり,しかも照会をした弁護士会でなく,照会申出をした弁護士の依頼者が,報告義務の確認請求の原告適格を有するとした事例として意義がある。
原告は,本件各照会に先立ち,A社(株式会社)に対し...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告(市)が設置する小学校の第5学年に在学していたX1(女子児童)とその両親であるX2及びX3が,被告に対し,被告主催の林間学舎に参加していたX1が,補助参加人の経営する民宿の2階の部屋内で,他の児童ら数人と鬼ごっこをして遊んでいたときに,上記部屋の出窓...
〔解 説〕
1 Aは,Y独立行政法人B(以下「Y1」という。)の開設する医療機関であるBに入院及び通院して治療を受けていた。Y1は,平成18年6月16日,児童相談所に対し,原告らがAに適切な栄養を与えておらず,また,必要な治療等を受けさせていないとして,児童福祉法25条に基づく通告(以下「本...
〔解 説〕
1 本件事案の概要
被疑者AないしEの弁護人,弁護人となろうとする者(当番弁護士)であるXらは,平成16年3月から平成17年11月にかけて,広島地方検察庁検察官に対し,庁内での接見を申し出たが,①被疑者Aについては接見室がないとの理由で接見を拒まれ,②被疑者C,D,Eについては...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,殺人罪等の罪で懲役14年の刑を言い渡され,判決確定後に熊本刑務所において服役している被控訴人(1審原告)が,控訴人(1審被告。国)に対し,同刑務所長及び同職員の違法な措置により精神的苦痛を被ったとして,国家賠償法1条1項に基づき慰謝料の支払を請求した事案...
〔解 説〕
1 事案の概要
半導体基板の製造及び設計開発等を主たる事業とする株式会社である原告は,機械及び装置の増加償却(法定耐用年数を基準とした償却限度額を上回る減価償却を行うこと)の特例の適用要件である増加償却の届出書の提出(法人税法施行令60条)を行っていないにもかかわらず,増加償却...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,Yの従業員であったX1が,長時間の時間外労働に従事したため,脳梗塞等を発症して高次脳機能障害等の後遺障害を負ったとして,労働契約の債務不履行又は不法行為に基づき,Yに対し,損害金2億円余及び遅延損害金の支払を求め,X1の妻であるX2が,不法行為に基づき,...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,5階建てビルの4階,5階部分の建物(本件建物)の賃貸人である被控訴人(原告)Xが,賃借人である控訴人(被告)Yに対し,選択的に,①特約で定められた期日の経過により終了した,②訴状送達日に信頼関係破壊を原因とする解除により終了した,③民事再生手続開始の申立...
〔解 説〕
1 事案の概要
Yの代表取締役であったXは,Yに対し,①Yのホームページ上に公表されたXの代表取締役の解任等を通知する「代表取締役の異動に関するお知らせ」と題する文書(以下「本件通知」という。)によって名誉が毀損されたと主張して,民法709条に基づく損害賠償及び民法723条に基...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) Yは,都市計画の決定について,都市計画法上の都市計画図書である「東京都都市計画高度地区(墨田区決定)計画図」(以下「本件都市計画本図」という。)を作成し,また,高度地区の変更に関する情報提供をするため,本件都市計画本図に基づいて「墨田区都市計画図」(以下「...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原告が,被告の経営する公衆浴場を利用した後にレジオネラ肺炎を発症したことについて,被告は,公衆浴場の衛生管理を行うなどの安全配慮義務又は清潔で安全な入浴施設を提供する義務に反し,公衆浴場にレジオネラ属菌を繁殖させたため,原告をしてレジオネラ属菌に感染させ...
〔解 説〕
1 事案の概要
被告は,週刊誌を発行する株式会社であるが,同誌の平成21年6月25日号において,著名な参議院議員である原告に関し,原告に「背けなかった『厚労省女性局長』の心の引け目」などの表題の下に,当時社会的に耳目を集めていた厚生労働省(厚労省)局長らが関与したとして起訴され...
〔解 説〕
1 本件事案の概要
活魚運搬業者であるX会社に勤務し,大型活魚運搬車の運転業務などを担当していたAは,平成21年8月,配達業務中に,自動車販売業者であるY会社の従業員Bが運転する自動車に追突される事故(本件事故)に遭い,同年10月31日まで休業した。X会社は,Aの休業中,C会社...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,Xが,民法709条に基づく交通事故による物的損害に係る損害賠償請求権を被保全権利として,事故により人的損害を負ったとされる訴外Aが自賠責保険の保険者Yに対して有する自賠法16条1項に基づく損害賠償額の支払請求権を債権者代位権(民法423条1項)によりAに...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告医療法人の開設する病院に入院していた患者が,車いすから透析用ベッドへの移動の際に転倒し,外傷性くも膜下出血等を発症し,事故の約4か月半後に死亡したことについて,患者の相続人らが,透析用ベッドへの移動を介助した看護助手に患者が透析用ベッドに移動するまで...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,美容目的で,脂肪溶解剤を皮膚又は皮下脂肪層に注射する治療(以下「メソセラピー」という。)を受けた原告らが,施術後に,非結核性抗酸菌感染症を発症し,後遺障害が残ったとして,施術を行った被告(医師)に対して,債務不履行又は不法行為に基づき,損害賠償を請求した...
〔解 説〕
1 本件事案の概要
即時抗告申立書,報道(平成24年11月2日付け時事通信の記事)によると,平成20年に性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づいて性別の取扱いを男性に変更したX1は,X2と結婚し,平成21年に第三者からの精子提供(非配偶者間人工授精)により男子Aを...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,保険会社Yとの間でその所有に係る自動車(トヨタセルシオ。以下「本件車両」という。)について,保険者をY,被保険者をXとする車両保険契約を締結していた。同契約には,衝突,接触,墜落,転覆,物の飛来,物の落下,火災,爆発,台風,こう水,高潮その他偶然な事故によ...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,「Lambormini」との文字部分と,全体として動物の尾のように描かれた図形部分とからなる本件商標についての無効審判請求の不成立審決に対する取消訴訟である。
Xは,Yが有する本件商標は,商標法4条1項7号,10号,15号,19号に違反して登録されたも...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,発明の名称を「うっ血性心不全の治療へのカルバゾール化合物の利用」とする特許(本件特許)の特許権者である。本件特許につき無効審判が請求され,本件特許を無効にする旨の審決が出されたため,原告は,審決取消しを求める訴えを提起すると共に,明細書の訂正(本件訂正)を...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,「蛍光電子内視鏡システム」に関する特許権(以下「本件特許権」という。)を有する反訴原告(以下「原告」という。)が,反訴被告(以下「被告」という。)に対し,被告が製造,販売する「蛍光内視鏡観察システム」(以下「被告製品」という。)が本件特許権に係る発明(以...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,DVD商品(本件商品)の映像(本件映像)の著作権を有すると主張する原告が,被告に対し,著作権法112条1項に基づき,本件商品の販売,頒布の差止めを求めるとともに,民法709条,著作権法114条2項又は3項に基づき,損害617万5000円及び弁護士費用61...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告が,消費者との間で携帯電話の通信契約を締結する際に使用する,2年間の定期契約の中途解約時に9975円の解約金を支払うことを定める解約金条項(以下「本件解約金条項」という。)が,消費者契約法9条1号,10条に照らし無効であるとして,①適格消費者団体であ...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原告が,投資事業組合(本件ファンド)に出資したところ,組合の運営が適正さを欠くなどしたため損害を被ったとして,出資を募集した会社,関連会社,担当役員等を被告として,損害賠償を請求した事案である。被告らのうち,役員1名(被告C)の住所地がシンガポールであっ...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,A社(破産会社・分割会社。ベニヤ加工・販売業等を業とする有限会社)の破産管財人であるXが,A社が債務超過状態にあった時期に行った会社分割(新設分割)によって設立されたY1社(新設会社。ベニヤ加工・販売業を業とする株式会社)に対し,当該会社分割自体がA社の...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,いわゆる引きこもりの状態にあった被告人が,経済的援助を求めようとして実母が居住するマンションを訪れたところ,同マンションの出入口前において被告人を追い返そうとした実母の再婚相手の男性(被害者)と小競り合いになり,未必の殺意をもって被害者の左前胸部を果物ナ...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告人に対する覚せい剤取締法違反(自己使用)事件について,違法収集証拠を理由に被告人の尿の鑑定書を証拠排除して無罪を言い渡した事案である(別件の暴力行為等処罰に関する法律違反,傷害については有罪)。本件の捜査経過は次のようなものである。被告人を含む3名は...