最も長い歴史をもつ判例実務誌
〔解 説〕
1 本件は,前科証拠を犯人と被告人の同一性の立証に用いることができるかが問題となった事案である。
2 被告人は,東京都葛飾区内の家屋に対する住居侵入,窃盗,現住建造物等放火(以下それぞれ「本件住居侵入」,「本件窃盗」,「本件放火」という。)と北海道釧路市内の家屋に対する住居侵入...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 原告は,化工澱粉の製造販売等を目的とする株式会社である。原告は,新潟農政事務所から一般のカビが生えたり,袋破れ等した米穀(以下,「事故米穀」という。)を購入し,加工用米穀(食用)と区分管理することなく米澱粉に加工し,当該米澱粉を食用と非食用の区別をせずに販...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,平成18年7月当時,Yの農業委員会事務局主査として勤務していたが,同月16日,旭川市所在の店舗で食料品10点を窃取したとして,警察署員に現行犯として逮捕された。
Yは,平成18年8月10日,地方公務員法29条1項3号に基づき,Xを懲戒免職処分に付し,Xに...
〔解 説〕
1 事案の概要
X1(平成3年生)は,平成19年,Yの設置する高校に入学し,同年6月ころから,柔道部の選手として部活動に参加するようになったところ,平成20年8月6日から,帯広の体育館で行われた複数の学校合同の夏期合宿に参加し,同月8日,他校の柔道部員と練習試合を行ったが,その...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,県立病院であるA病院の新生児未熟児科長の地位にあったXが,ア(ア)A病院院長であるY2による面談等の不当な退職勧奨行為により,うつ病に罹患して休職を余儀なくされたと主張して,地方独立行政法人法に基づき県の権利義務を承継した地方独立行政法人であるY0に対し...
〔解 説〕
1 事案の概要
Y市と合併前のA市は,平成10年2月ころから同年7月ころまでの間,新潟県長岡市B町2丁目甲123番3所在の土地を含む土地において,A市内の本件市道の交通安全施設設置工事(以下「本件工事」という。)を施工した。
平成16年7月12日夜から同月13日にかけて,日本...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 本件は,原告が,税理士法人である被告との間で,税務顧問契約を締結していたところ,被告が消費税の課税事業者選択届出書(以下「本件届出書」という。消費税法9条4項)の提出に関する指導,助言等をする義務を怠ったと主張して,被告に対し,債務不履行に基づく損害賠償を...
〔解 説〕
1 事案の概要
Yは,持ち帰り弁当販売のフランチャイズチェーン「ほっかほっか亭」(以下「本件フランチャイズチェーン」という。)のマスターフランチャイザーであり,Xは,13の地区又は地域について,Yとの間でそれぞれフランチャイズ契約(以下,13の契約を併せて「本件フランチャイズ契...
〔解 説〕
1 事案の概要
中華人民共和国所在の食品工場において製造された冷凍餃子に有害物質である有機リン酸系殺虫剤メタミドホスが混入し,日本国内で中毒事件が発生したが,本件は,同工場で製造された冷凍食品を被告から購入し,他社に販売するなどしていた原告が,中毒事件の発生後,販売した商品の廃...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原告が,ユーザーらとの間で,Aを販売店とし,リース物件を「A授業システム」等とするリース契約を締結し,保証人らとの間でリース契約上のユーザーらの債務につき連帯保証契約を締結したが,ユーザーらが月額リース料金の支払を怠り,期限の利益を喪失したことから,ユー...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,平成11年4月24日,ワインセラーを所有するYとの間で,収集しているワインを,寄託料月額2000円,ワインセラー内を温度14度前後,湿度を75パーセント前後に保ち,光量はワイン保管に適したものに設定し,不要な振動・臭いの防止をも図ることを保管方法として,Y...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,飲食事業(ハンバーガーのフランチャイズチェーン事業等)を経営する株式会社の創業者の妻である。
Xは,Y1が,XのY1に対する報酬支払債務の不存在が前訴判決の確定により既判力をもって確定したにもかかわらず,Xに対し,その報酬の支払を執ように請求し,また,生...
〔解 説〕
1 事案の概要
訴外Aは,平成15年11月4日,岩手県奥州市内の橋梁維持修繕工事を施工中の県道を原動機付自転車を運転して走行中,Y1の運転する普通貨物自動車と衝突し,右大腿骨開放骨折等の傷害を負った。
Xは,Aとの自動車保険契約に基づいて,Aに対して582万1274円を支払っ...
〔解 説〕
1 事案の概要
本訴請求は,行政書士であるXが,司法書士であるYのウェブサイトへの書込みにより名誉を毀損され,業務を妨害されたなどとして,Yに対し,不法行為に基づき,慰謝料等の支払を求めるものである。
反訴請求は,Yが,①Xが地方法務局長に対してYの懲戒請求をしたこと,②本件...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,Aの妻X1や子らが,AがYの従業員として恒常的に長時間労働を続けた末,勤務中に脳動脈瘤が破裂して倒れ,同日くも膜下出血により死亡したのは,Yの安全配慮義務違反によるものであると主張して,不法行為に基づく損害賠償として,Yに対し,判示「請求」欄記載の各金員...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告運転の自動車と原告運転の自転車とが衝突した交通事故(以下「本件事故」という。)により,原告が脳脊髄液減少症を発症したとして,損害の賠償と遅延損害金を請求する事案である。
2 説 明
(1) 脳脊髄液減少症ないし低髄圧症候群とは,硬膜から髄液が漏れ出...
〔解 説〕
1 事案の概要
X1は,平成10年3月17日にY1の開設するY1病院のペインクリニック科を受診し,手掌多汗症に対するETS(胸腔鏡下胸部交感神経遮断術)の説明を受け,Y1病院の担当医師に紹介されたY2の開設するY2病院で同年7月4日にETSを受けた(①事件)。また,X2は,同年...
18 肘内側の静脈注射により患者に神経損傷の障害を与えたが、注射を行った看護師及び同看護師を指示した医師に過失がないとされた事例(岡山地裁平23.6.14判決)
〔解 説〕
1 事案の概要
Yは,上段に「ABBEYROAD」の欧文字を,下段に「アビーロード」の片仮名文字を,白抜きの変形文字で横書きした商標(本件登録商標)について,指定商品を第18類「かばん類,袋物」として,昭和57年6月29日に設定登録を受けている商標権者である。Yは,「ABBEY...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,発明の名称を「ペトロラタムを基にした鼻用軟膏」とする特許出願の拒絶査定不服審判請求不成立審決の取消訴訟である。本件審決の理由は,引用例に記載された発明(引用発明)に基づいて容易に想到できるというものであり(特許法29条2項),原告は,本件において,取消事...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原告が,被告の本件意匠(物品「浄水器」)に係る意匠登録に対する無効審判請求について,特許庁が同請求は成り立たないとした審決の取消しを求めた事案である。 原告は,取消事由として,本件意匠と引用意匠との類否判断の誤りを主張し,審決は,本件意匠及び引用意匠との...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,「Gold Loan」の欧文字を横書きしてなり,第36類「資金の貸付け」を指定役務とする本願商標の登録出願を拒絶すべきものとした審決に対する取消訴訟である。審決の判断の概要は,次のとおりである。すなわち,本願商標と引用商標(「CitiGold Loan」...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,折り紙作家である原告が,被告に対し,主位的に,被告の番組ホームページに掲載された被告折り図は,原告書籍に掲載された折り紙の折り図(本件折り図)を複製又は翻案したものであり,被告による被告折り図の作成及びホームページへの掲載行為は,本件折り図について原告の...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) Y(1審被告)は,発明の名称「雄ねじ部品」の特許権者であり,X(1審原告)は,本件特許発明の構成要件をすべて充足する原告製品を販売している。Yは,Xの取引先で原告製品を製造するMに対し,特許権侵害との文書を送付し,その後Mとの取引がXからYに変わった。
(...
〔解 説〕
1 事案の概要
①事件は,更生会社H社の管財人であるX1及びX2が,①事件相手方Y1銀行(C銀行)に対して,H社所有の不動産に根抵当権設定登記を経由したY1銀行の行為(以下「本件対抗要件具備行為①」という。)について,(1)会社更生法(以下「法」という。)88条1項の規定による...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告人が共犯者とともに,被害者に対し,長時間にわたり断続的に殴る蹴るの暴行を加え死亡させた事案である。被告人らは,殺人罪の共同正犯として起訴されたが,原審(裁判員裁判)は,被告人らの殺意を認めず,傷害致死罪の共同正犯が成立すると認めて,被告人らを懲役10...
〔解 説〕
本件は,ある会社のインサイダー情報を入手した被告人らが,その公表前に同社の株式を売り付け公表後に買い戻す(又は公表前に買い付け公表後に売り付ける)という信用取引により利益を得ようと考え,公表前の売付け(又は買付け)を実行したインサイダー取引の事案であり,①一部没収・追徴の可否,②...
〔解 説〕
1 はじめに
本件は,1審が被告人の捜査段階での自白の信用性を肯定し,自白どおりの手段,方法での放火行為による現住建造物等放火罪が成立するとしたのに対し,控訴審が自白の信用性を否定し,放火の手段,方法は不明であって1審判決の放火の手段,方法の認定には事実誤認があるが,被告人によ...