最も長い歴史をもつ判例実務誌
〔解 説〕
1 本件は,6名の破産者の各破産管財人である承継前上告人らが,それぞれ,被上告人に対し,各破産者と被上告人との間の当座勘定取引契約を解約したことに基づく払戻金及び遅延損害金の支払を求める事案である。被上告人は,各破産者の破産手続開始前に,その委託を受けないで,各破産者の債務につい...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,岐阜県多治見市で開業している弁護士であるところ,平成19年3月8日,破産手続開始決定を受けた陶磁器の製造販売等を業とするA社の破産管財人に選任された。
Xは,A社の破産管財人として,平成19年9月4日,裁判所の許可を得て,A社の在庫タイルを産業廃棄物とし...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件(本訴)は,外国人研修・技能実習制度に基づいて来日した中国人研修生・技能実習生である原告らが,第2次受入機関である被告に対し,①原告らに支払われた賃金等の額が日本人従業員の賃金額よりも著しく低廉であるのは労基法3条(均等待遇)に違反する等と主張して,日本人従...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,懲役刑の執行のために名古屋刑務所に収容されていた原告が,同刑務所の刑務官らにより,コンクリートの床に引き倒され,頭部を踏み付けられるなどされた上,腹部を革手錠で締め上げられ,これらによって骨盤骨骨折,腰椎変形,急性腹膜炎及び急性腎不全等の傷害を負い,数か...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,X(控訴人・原審原告)が,Xの顧客名簿をY(被控訴人・原審被告)が不正に使用して営業活動を行い,Xの顧客を奪ったことは,①不正競争防止法2条1項7号の「営業秘密の不正使用」に該当する,②XとYとの間のLPガス供給契約に基づく守秘義務及び競業避止義務並びに...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,建設機械等の売買,リース等を業とする会社であるところ,平成16年11月29日から平成19年12月26日までの間,訴外会社に対し,Xが所有していた建設機械7台(以下「本件各機械」という。)を,所有権をXに留保する旨の特約付きで売却した。
訴外会社は,平成1...
〔解 説〕
1 事案の概要
Y銀行は,A弁護士の要請を受けて,「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」(本件法律)3条1項に基づきXの口座について取引停止措置を講じた上,預金保険機構に対し同口座が犯罪利用預金口座であると報告したところ,同機構はこれを公告した...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,交通事故により受傷したX2及びX2が運転する車両(X車)の所有者であるX1が,交通事故の相手方であるY1及びX車を製造するY2に対し,Y1については民法上の不法行為に基づき,Y2については製造物責任等に基づき,それぞれ,交通事故によって被ったとする損害の...
〔解 説〕
1 事案の概要
訴外A(昭和10年生)は,平成17年1月23日,胃潰瘍のため,被告の経営するY病院に入院した。
そして,平成18年2月10日,Y病院において,胃癌を摘出するための切除手術を受けたが,同月28日,多臓器不全により死亡した。
そこで,Aの遺族であるXらは,担当医...
〔解 説〕
1 事案の概要
損害保険会社であるA会社,B会社は,平成21年3月,共同株式移転の方法による共同持株会社(株式移転完全親会社)C会社を設立するとの合意(本件基本合意)をして,証券会社に依頼した株式移転比率の算定結果を踏まえ,A会社の普通株式1株に対してC会社の普通株式0.9株,...
〔解 説〕
1 事実の概要
(1)Xは,「赤外線透過性に優れた表示を印刷してなる包装用アルミニウム箔」との発明につき特許出願(特願2003-372727号)をしたが,拒絶査定を受けたので,これを不服とする審判請求を行った。
明細書及び特許請求の範囲の記載によれば,本願発明は,「アルミニウム...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原告が,左から順に直角三角形,円及び逆直角三角形を配置した図形部分とその下部に配置した「NANYO」の文字部分とから成り,指定役務を「建物の貸借の代理又は媒介」等とする本件商標に係る商標登録について,同商標の図形部分に左から順に緑色,赤色及び青系色を付し...
〔解 説〕
1 事案の概要
X(債権者・保全異議相手方・相手方)は,テレビ放映用番組「遠山の金さんシリーズ」の映像の著作権者であり,Yら(債務者・保全異議申立人・抗告人)は,Xの著作権を侵害する映像を収載したパチンコ機(抗告人商品)を製造販売していた者である。
本件は,Xが,債務者商品用...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件マンションは,昭和44年に建築され,訴訟提起時には建築後39年を経過したものである。その当時の規約には住居専用規定は設けられていなかったが,昭和58年5月,住居専用規定を設ける規約改正が行われた。この管理規約によれば,1階部分の一部を除き,区分所有者はその専...
〔解 説〕
1 問題の所在
本件の中心的争点は,マンションの規約に管理組合保管(保管者・理事長)の書類の閲覧請求を認める規定がある場合に,組合員は当然にそれら書類の謄写請求をすることができるかどうかである。後記3に解説するとおり,この点に関する裁判例は分かれており,原審は積極説をとったが,...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,退去強制令書に基づく送還手続中に死亡した外国籍男性Aの日本人妻Xが,死亡した経緯の説明をYの入国管理局職員に求めたところ,捜査中であることを理由に詳しい説明をしなかったため,夫の死亡が入国管理局職員らの違法な有形力の行使によるものであることを証明すべき事...
〔解 説〕
1 事案の概要
Aは,平成14年ころ,民事再生手続を申し立て,Aの工場の土地建物等に別除権を有する金融機関B,C及びY3との間で,別除権協定(以下「本件各別除権協定」という。)を締結し,各不動産の受戻価格を定めて,別除権不足額を確定させた(その際に,別除権不足額について登記はな...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告人が普通乗用自動車を運転し,制限速度時速50キロメートルの右カーブを限界旋回速度である時速約90から100キロメートルに近い速度で進行した際,ハンドル操作を誤って自車を歩道縁石に衝突させるなどし,歩道上にいた被害者3名を跳ね飛ばして傷害を負わせたとい...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告人が自宅において覚せい剤を自己使用したという覚せい剤取締法違反の事案である。弁護人は,①被告人の尿中から覚せい剤の成分が検出された旨の鑑定書(以下「本件鑑定書」という。),②勾留中に作成された被告人の供述調書について,違法収集証拠であるとしてこれらの...