最も長い歴史をもつ判例実務誌
〔解 説〕
1 本件は,自動車保険契約の人身傷害補償条項(人身傷害条項)に基づき保険金(人傷保険金)を支払った保険会社による損害賠償請求権の代位取得の範囲が争われた事案であり,最一小判平24.2.20民集66巻2号登載予定,判タ1366号83頁(以下「第一小法廷判決」という。)に続き,最高裁...
〔解 説〕
1 本件は,建物(以下「本件建物」という。)の所有者・賃貸人であるXが,①本件建物の賃借人であるY1に対しては賃料不払解除による賃貸借契約の終了に基づき,本件建物を占有するY2及びY3に対しては所有権に基づき,それぞれ本件建物の明渡しを求めるとともに,②Y1及びその連帯保証人であ...
〔解 説〕
1 本件は,被告人が実母及び実子2名を殺害し,その保険金等を詐取したなどとして起訴された事案であり,検察官は死刑を求刑したが,1審判決は被告人を無罪とし,原判決も検察官の控訴を棄却したことから,検察官が上告した事件である。
2 本件の公訴事実は,本決定にその要旨が摘示されている...
〔解 説〕
1 事案の概要
X1は,強盗殺人等事件の被告人として起訴され,平成19年4月10日,最高裁で上告を棄却する判決が言い渡され,同年5月9日,死刑判決が確定し,以後,死刑確定者として広島拘置所に拘置されている。
X1の上記刑事事件の弁護人として活動してきた弁護士X2とX3は,平成...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 本件は,公衆浴場法に基づく普通浴場の営業許可の申請に対してした保健所長の不許可処分は,裁量権の範囲を逸脱した違法なものであるなどとして,申請者の求めた損害賠償が一部認容された事案である。
(2) 本件の事実関係は,以下のとおりである。
訴外A会社は,...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) Xは,京都市の中学校教諭等として27年間勤務し,京都市立中学校教頭となったが,家庭内の問題があり,飲酒した上で,失踪した妻を探すために自動車を運転し,物損事故を起こして検挙され,罰金50万円に処せられた。
本件は,京都市教育委員会が,Xに対し,Xが酒気...
〔解 説〕
1 事案の概要
原告は,航空会社において機長を務めるパイロットであったが,いわゆるバブル経済の時代に不動産投資で失敗し,所有不動産には評価額を上回る債務の抵当権が設定されていた。かつて原告は,妻との離婚事件を被告の弁護士に委任し,離婚は成立したが,その際,妻の連帯保証につき,今...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,航空券やホテルの手配,パッケージツアーの販売等を業とする株式会社であるYとの間で,外国航空会社の往復航空券や外国のホテル等の手配の依頼を内容とする手配旅行契約を締結したが(以下,「本件契約」という。),自己の都合により同契約を解除したところ,同契約に関する...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,新聞社であるXが,Y1発行の月刊誌に掲載されたXに関する2件の記事(本件各記事)により名誉を毀損されたと主張して,Y1,代表者Y2及び月刊誌の発行人Y3に対し,不法行為に基づく損害賠償として,連帯して4500万円及び遅延損害金の支払と,謝罪広告の掲載を求...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告医師による歯科治療を受けていた原告が,被告医師において,原告に不適応なジルコニアブリッジを装着するなどの注意義務違反があったとして,被告医師及び被告医療法人に対し,不法行為及び債務不履行に基づく損害賠償請求をした事案である。
なお,ブリッジとは,歯...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 本件は,美容サロンの経営などを目的とするA社の代表取締役であったXが,Y社との間で,Xの保有するA社株式をY社に売却した上でY社から同株式の価格と価格が連動する債券(以下「本件債券」という。)を購入する取引(以下「本件取引」という。)をしたが,その際,Y...
〔解 説〕
1 事案の概要
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の発生により,本件マンション(東京都杉並区所在)では最大震度5強の揺れを観測した。平成23年3月11日の地震発生直後,本件マンション6階居室(区分所有者Y1)の電気温水器の配水管に亀裂が生じ,漏れた水が階下の居室(居住者X1,...
〔解 説〕
1 事案の概要等
本件は,商標法53条1項による商標登録の取消審判請求の不成立審決に対する取消訴訟である。Xは,補助参加人が,本件商標(「セキスイ」の文字を横書きしてなるもの。商標権者はY)の通常使用権者で,本件商標に類似する使用標章(「株式会社NTTデータセキスイシステムズ」...
〔解 説〕
1 事案の概要
A社は,「使い捨て温熱身体ラップ」とする本願発明につき,拒絶査定を受け,不服の審判において補正をしたが(本件補正発明),補正を却下し請求が成り立たないとした本件審決がされた。Xは,Aから特許を受ける権利を譲り受けた承継人であり,本件審決の取消しを求めた。本件審決...
〔解 説〕
1 事案の概要
被告は,「INDIAN ARROW」の文字を横書きしてなり,指定商品を第18類「かばん類,袋物」等とする本件商標について設定登録を受け,「トートバッグ」に本件商標を図案化した使用商標A及びBを使用している。
原告は,「Indian/Motocycle商標」及び...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,一般財団法人であるY(財団法人中小企業災害補償共済福祉財団)の理事であるXが,①XがYの理事長に選定されたと主張して,XがYの理事長の地位にあることの確認を求め,②AをYの理事長に選定する旨の理事会決議(本件決議2)は無効であると主張して,その確認を求め...
〔解 説〕
1 事案の概要
A社は,Y1銀行から融資を受けて土地を買い受け,ここに8階建ての事務所兼店舗を建築し,1階店舗を第三者に賃貸したが,建物建築請負人であるY2にその代金を支払わないまま民事再生の申立てをして開始決定を受けた。しかし,再生手続はほどなく廃止されて破産手続に移行し,監...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,アパートの賃借人である被告人が,賃貸人である大家とその妻をペティナイフで刺殺するとともに,殺害後に大家の自動車等を持ち去った事案につき,検察官が強盗殺人と銃刀法違反で起訴した事案である。
2 公訴事実について
公訴事実のうち強盗殺人に係るものは,次の...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は覚せい剤の自己使用事案である。被告人は,第三者の吸引使用時に副流煙を吸引した可能性がある等として犯行を否認したが,強制採尿手続によって得られた被告人の尿を鑑定した結果,覚せい剤成分が検出された。
弁護人は,警察官が,帰ろうとする被告人の自動車を取り囲むな...