最も長い歴史をもつ判例実務誌
〔解 説〕
1 本件は,当時高校生であった少年が自宅に放火をして,家族3名(母親及び弟妹)を殺害したという世間の耳目を引いた少年事件に関し,家庭裁判所から当該少年の精神鑑定を命ぜられた精神科医であった被告人が,ジャーナリストから取材等を受けるうちに,その要望を受けて,家庭裁判所から鑑定資料と...
〔解 説〕
1 本件は,平成14年に発生した三菱自動車工業株式会社(三菱自工)製トラックの左前輪タイヤが,フロントホイールハブ(大型車両の車軸と前輪のタイヤホイール等を結合するための部品)の破損により脱落し,歩道上にいた母子ら3人に衝突して1名を死亡させるなどした事故(本件事故)に関し,その...
〔解 説〕
1 本件の事案,審理経過等は次のとおりである。
(1) 事案の概要
本件は,暴力団の幹部である被告人が,長崎市に対する不当な要求を繰り返していたところ,同市が市長である被害者の方針で暴力団からの不当要求等に屈しない姿勢をとっていたこともあって取り合わなかったことから,被害者を逆...
〔解 説〕
1 本件は,いわゆる福岡飲酒運転3児死亡事故の上告審決定であり,刑法208条の2第1項前段(平成19年法律第54号による改正前のもの。以下同じ。)の危険運転致死傷罪の構成要件である「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」で自動車を走行させたか否かが争われた事案である。
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〔解 説〕
1 本件は,「愛知の立て籠もり発砲事件」と称される事件であり,事案の概要は次のとおりである。被告人が,離婚した元妻とよりを戻すため,実包の入ったけん銃を用意した上,被告人方に元妻を呼び出し,けん銃を示して脅しながら復縁を迫ったものの拒絶されたため,更に復縁を迫ろうと,元妻を被告人...
〔解 説〕
1 本決定は,短文の上告棄却決定であるが,理由中に「補佐人Aの上告趣意は」との記載がされている点に特徴がある。
本件被告事件の内容は,被告人が,軽四普通貨物自動車を無免許運転したほか,後方確認不十分のまま同車を道路上で後退進行させて後続車両に衝突させ,後続車両に乗車していた被害...
〔解 説〕
1 本件は,訴因変更手続の要否が問題となった事案である。訴因は,被告人が,借金苦等からガス自殺をしようと企て,自宅の台所にガスを充満させたが,上記ガスに一酸化炭素が含まれておらず自殺できなかったため,ガスに引火,爆発させて爆死しようと企て,「ガスコンロの点火スイッチを作動させて点...
〔解 説〕
1 本件は,不動産賃貸等を業とする有限会社の法律相談等に携わっていた弁護士である被告人が,同社の経営者らと共謀の上,同社所有建物に係る賃料債権に対する強制執行を免れる目的で,同社の関連会社が賃貸人の地位を取得したかのように仮装して,テナントをして賃料を関連会社名義の口座に振り込み...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xらは,いずれも海上運送事業ないし港湾運送事業等を営む株式会社であり,Yの管理する本件港湾施設を営業のために利用する者であるが,平成21年1月,Yから本件港湾施設の使用料の賦課処分(以下「本件処分」という。)を受けた。
そこで,Xらは,Yから本件港湾施設使用の...
〔解 説〕
1 事案の概要
原告(X)は,平成4年7月3日,北海道標津郡の標津中学校グランド内の鉄棒で,前回りをしようとして体を持ち上げた際,鉄棒が支柱から外れ落ちたことから,鉄棒を握ったまま落下し,頚部を受傷した。
また上記事故の原因は,鉄棒の両端が錆びていた(保守・点検をせず安全確認...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,X社に勤務していたYが労働契約上の義務違反によりX社に損害を与えたとして,X社がYに対し債務不履行による損害賠償請求(本訴)をしたところ,Yが,労働契約に基づき時間外労働賃金等の支払請求(反訴)をした事案である。
反訴で,争点となったのは,YがX社のシ...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,日本在住のバングラデシュ人であるXが,行政書士であるYに対し,Yと締結した,Xのバングラデシュ人の知人10人を受益者とし,Yが外国人研修生の受入れ機関である日本企業を1人当たり60万円で紹介するという契約が,①職業安定法及び行政書士法に違反して無効である...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,証券会社である脱退被告の従業員らの勧誘により豪ドルの通貨オプション取引を行っていた原告が,会社分割により脱退被告の事業を承継した被告訴訟引受人に対し,①脱退被告の勧誘行為に違法があったと主張して,不法行為に基づき,原告が被った損害の賠償を求めるとともに,...
〔解 説〕
1 事案の概要
訴外A(昭和58年生)は,平成19年5月15日,Yが開設するB病院に肺炎治療のため入院した。
そして,Aは,平成20年2月14日,C病院に転院し,同年3月25日,右前胸部に中心静脈ポートを埋め込む手術を受け,同年4月7日,B病院に転院したが,同年5月15日,D...
〔解 説〕
1 本件は,破産会社の破産管財人である控訴人(1審原告)が,被控訴人(1審被告)と訴外会社との間でされた吸収合併無効の訴えを提起した事案であり,破産会社の破産管財人である控訴人は,被控訴人に対し,否認権の行使による価額償還等を求める訴訟を提起し,また,被控訴人と訴外会社との間の吸...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,Y(株式会社)の株主であるXが,Yに対し,株主名簿,株主総会議事録及び取締役会議事録の各閲覧謄写並びに計算書類の閲覧謄本交付を求め,また,YがXからの株主名簿等の閲覧謄写等の請求を拒絶したのは不法行為に当たるとして慰謝料50万円の支払を求めた事案である。...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,A(株式会社福岡銀行)のB(1審被告:株式会社ピー・エー・ジー)に対する貸金債権を譲り受けたX(原告・被控訴人:オリックス債権回収株式会社)が,Bの会社分割に伴い設立されたY(被告・控訴人:株式会社Y)に対し,主位的に法人格否認を理由に貸金債権の元金等の...
〔解 説〕
1 事案の概要
抗告人(債務者)は,高裁判決(以下「本件債務名義」という。)により,相手方(債権者)に対し,1億4266万2460円及びこれに対する平成20年9月4日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払うように命じられた。
相手方は,本件債務名義に基づいて,抗告人が第...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,いわゆる「債権者の申立て」に基づき破産手続開始決定を受けた「債務者」が同決定に対する即時抗告を申し立てた事案であって,当該原決定に係る破産手続開始申立事件(基本事件)の申立人は,A(株式会社十八銀行)のY(株式会社丸二タクシー)に対する本件各貸付債権の譲...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 本件は,自転車を運転して市街地内の幹線道路を横断しようとした被告人が,直ぐ近くにある自転車横断帯を通らず,右折待ちの停止車両の陰から,安全確認が不十分なまま対向車線上に時速約7キロメートルで進出したため,対向車線の第2通行帯を走行してきた貨物自動車が被告...