最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 事案の概要
奄美ひまわり基金法律事務所は,弁護士過疎問題の解消のために,日弁連ひまわり基金によって平成17年3月に奄美市に初めて設立された公設事務所であり,初代所長は,平成17年3月から平成20年4月までの間,多数の多重債務者の救済を中心に奄美群島における司法過疎の解消に取り...
《解 説》
1 本件は,平成12年6月30日に死亡した被相続人Aに関する遺産分割事件である。Aの相続人は,妻,嫡出子4名,非嫡出子4名の合計9名であり,法定相続分は妻が2分の1,嫡出子らが各12分の1,非嫡出子らが各24分の1である。
1審及び原審は,いずれも,法定相続分に従って遺産を分割し...
《解 説》
1 本件は,チャップリンが監督等を務め,昭和45年法律第48号により改正された著作権法(以下「新法」という。)の施行日である昭和46年(1971年)1月1日より前(1919年~1952年)に公開された「サニーサイド」等9本の劇場用映画(以下「本件各映画」という。)について,本件各映...
《解 説》
1 本件は,農業協同組合である原告が,その監事であった被告に対し,被告による業務監査に任務の懈怠があったとして,損害の一部である1000万円の賠償を求める事案である。
2 被告の任務懈怠の内容として,原告は,次の2点を主張した。第1は,原告の代表理事であるAが,代表理事就任前,原告...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,A農協,C農協ほか二つの農協(以下「旧4農協」という。)が合併して新設された「B農協」の組合員であるXらが,合併に当たり,A農協の役員らと上記合併前の各農協との間には,A農協の貸倒引当金が過少に計上されていた場合,引当不足額を上記役員個人として「B農協」に...
《解 説》
1 本件は,上告審において公訴時効が問題とされた事案である。犯罪事実は,不動産仲介業者である被告人が,被害者から土地購入造成費用名目で金員をだまし取ったという詐欺であり,その犯行終了日は平成11年9月であったが,公訴が提起されたのは平成19年7月で,詐欺の公訴時効期間である7年を超...
《解 説》
1 本件は,都立学校の教職員であるXらが,卒業式等の際に各校長から発せられた,国歌斉唱時に国旗に向かって起立し,国歌を斉唱すること又は国歌斉唱時にピアノ伴奏をすることを内容とする職務命令に従わなかったことを理由として,東京都教育委員会(以下「都教委」という。)から懲戒処分(戒告処分...
《解 説》
1 本件事案の概要
Xらは,高校,短大を卒業後,昭和41年から昭和49年にかけて,A会社に事務職として採用された女性であり,昭和60年にA会社とB会社が合併し,Y会社になってからも事務職業務に従事している(ただし,訴訟提起後に退職,死亡した者もいる。)。Y会社では,合併当初から職...
《解 説》
1 本件は,マンションの規約共用部分である洗濯室・倉庫を競落したAからの譲受人Xがマンション管理組合管理者Yに対し,専用使用権の確認,改修工事承諾又は妨害予防,後記引込開閉器盤撤去請求等を求めた(Aが補助参加)事案である。
本件マンションを建築分譲したBは本件洗濯室・倉庫等規約共...
《解 説》
1 本件は,契約等の解釈上,元代表取締役の競業避止義務の存否が争われた案件である。
本件では,当初,X1社の子会社であるX2社の元代表取締役であったYが,X1及びX2に対し,各競業避止義務等の不存在確認を求める訴え(本訴)を提起したところ,これに対し,X1及びX2が当該各義務が存...
《解 説》
1 本件は,権利能力なき社団である被告在日本朝鮮人総聯合会(以下「被告総聯」という。)に対して金銭債権(以下「本件債権」という。)を有する原告が,被告合資会社朝鮮中央会館管理会(以下「被告管理会」という。)が登記名義人の不動産(以下「本件不動産」という。)の実質的な帰属主体は被告総...
《解 説》
X2の夫は,株式会社であるX1の代表取締役を務めていたが,平成12年12月に緊急入院した。X2は,昭和55年ころから夫とはほとんど口も利かず,夫から生活費も受け取らず,X1の経営にも全く関知していなかったが,夫の入院中にX1の経理状況を調査してX1が多額の債務を負っていることを知...
《解 説》
1 本件は,発熱のみられた生後約1か月の児が,日曜日の午前6時と午前9時の2度にわたり産婦人科医の診察を受けたが症状が改善せず,午前10時に総合病院の小児科を受診,入院したものの,結局常時介護を要する状態となり,さらに約3年後死亡したという事案において,上記児(死亡後その両親が訴訟...
《解 説》
1 事案の概要
原告の「押しピンおよびそのカートリッジ」との名称の発明に係る特許出願に対する拒絶査定不服審判の請求について,特許庁は,補正(本件補正)を却下した上,同請求は成り立たないとした。
本件は,原告が,本件審決には,本件補正を却下した誤りがあり,仮にその点に誤りがないと...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Xは,学校を設置して教育・研究を行うことを目的とする学校法人であり,同目的によりA大学を設置しており,A大学は甲,乙,丙校舎を有している。A大学には,同大学の学生及び教職員の福利厚生を目的とした職域生協であるA大学消費生活協同組合(以下「A大生...
《解 説》
1 事案の概要
抗告人を競売の基礎となった根抵当権の債務者とする不動産競売事件において売却不動産を自己競落した相手方の申立てに基づき,抗告人に対する本件建物の引渡命令が発令された。この引渡命令に対し,抗告人は,相手方は,①抗告人から立退同意書を徴収しながら,これを秘匿して競売手続...
《解 説》
1 競売建物の買受人である相手方は,代金納付後,根抵当権に劣後する賃借権に基づいて本件建物を使用する抗告人に対し,本件建物の使用対価として1箇月以内に当月分の12万円を支払い,その後も同様に月額12万円の使用対価を支払うよう催告した。抗告人は,これを受け,当月分の使用対価12万円を...
《解 説》
1 本件事案の概要,争点
本件は,覚せい剤の自己使用の事件で,被告人の警察署内での留め置きの適否が主要な争点となり,勾留請求段階から判断が分かれた事案である。
被告人は,自動車を運転中,警察官から職務質問及び所持品検査を受けて,K警察署に同行され,取調室内に留め置かれたが,その...