最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本判決は,1審判決が原告(本人訴訟)の国に対する混合診療に係る「療養の給付」相当分の健康保険受給権確認請求を認容した混合診療訴訟の控訴審判決である。
本件は,健康保険の被保険者であるX(原告,被控訴人)が,本来は健康保険法(以下「法」という。)63条1項に定める「療養の給付」...
《解 説》
1 X17(日本相撲協会)は,1年間に6回の本場所を挙行しており,横綱であるX1を初めX17を除くXら(X力士ら)は,平成19年1月場所(初場所)当時,いずれもX17所属の力士であった。出版社であるY1は,週刊誌「週刊現代」を発行しており,Y2が本件各記事の掲載された「週刊現代」平...
《解 説》
1 本件は,石油製品の運搬等を目的とする会社の代表取締役である被告人が,同社の運転者に,労使協定によって定められた1か月130時間の延長労働時間を超えて時間外労働をさせるなどした労働基準法違反等の事案である。
労基法32条1項は,使用者は,労働者に,1週間について40時間を超えて...
《解 説》
1 本件は,暴力団の若頭代行であった被告人が,共犯者と共謀の上,ゴルフ場から暴力団員を閉め出した支配人の自宅に深夜侵入し,同人を刃物で刺して重傷を負わせたとされた住居侵入,殺人未遂等と,暴力団に従わない建設会社社長に怪我を負わせた傷害の事案である。本判決が,判示しているのは,そのう...
《解 説》
1 千代田区内にギャラリーを設置しているXは,隣接地に地上16階の参議院新議員宿舎が建設される計画があることを知り,参議院事務局や国土交通省に電話で問い合わせたところ,同職員らは,Xの発言内容等を記録して一覧表(本件文書)にまとめ,上記議員宿舎建設に反対する者を含む住民らに対する対...
《解 説》
1 本件は,大学卒業後A社に就職し,国際輸送の手配,書類の作成等を行う営業所に勤務して,ODA関連等のスポット案件の新規獲得及び実行をほぼ一人で担当し,輸送先の現地調査,代理店の開拓及び契約なども行っていた当時30歳で独身のBが,死亡前2か月に月100時間超の,それ以前4か月も月約...
《解 説》
1 本件は,Yの社長秘書であったAが,Yの注文と称し,Xから新幹線回数券等を大量に買い受ける本件取引をしたことから,Xが,Yに対し,有権代理又は民法110条に基づく表見代理を主張して,主位的に売掛残代金8億2940万円余の支払を求め,予備的に民法715条に基づく使用者責任として同額...
《解 説》
1 本件は,貸金業者である被控訴人(Y)から金員の借入れと返済を繰り返した控訴人(X)が,Yに対し,①利息制限法所定の制限利息を超える利息を支払っており,この超過分を元本に充当すると過払金が発生し,Yは民法704条所定の悪意の受益者であるとして,不当利得返還請求権に基づき,過払金及...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,適格消費者団体(消費者契約法〔以下「法」という。〕13条参照。)である原告が,貸金業を営む事業者である被告に対し,被告が,借主である消費者との間で金銭消費貸借契約を締結する際に使用し,又は使用するおそれがある契約条項が法10条に該当し無効であると主張して,...
《解 説》
1 本件の事実関係は複雑であるが,概要は,以下のとおりである。
(1)日本興業銀行(興銀。ただし,合併等を経て,X銀行らに再編された。)をメインバンクとして不動産賃貸業等を営んでいた旭工業株式会社(旭工業。代表取締役Y2)を中核とする旭工業グループ(企業グループ)は,バブル経済期...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Xらは,東京証券取引所のマザーズ市場に上場されていた被告株式会社LDH(以下「被告ライブドア」という。)発行の株式(以下「ライブドア株式」という。)又は被告ライブドアの子会社であった株式会社ライブドアオート発行の株式(以下「LDA株式」という。...
《解 説》
1 本件は,被告が有する「girls walker」との欧文字と「ガールズウォーカー」との片仮名文字を上下2段に横書きして成り,指定商品を第16類「印刷物」等とする登録商標(本件商標)につき,原告が,商標法4条1項15号に違反して登録されたものであると主張し,その指定商品中の「印...
《解 説》
訴訟救助により費用納付の猶予を受けた者について敗訴判決が確定した場合に,費用取立決定がされるが,この決定及びこれに対する即時抗告の根拠法条について2説がある。
A説は,この場合の費用取立決定を民訴法84条に基づく決定であるとする(横田忠『訴訟上の救助に関する研究』157頁,外村...
《解 説》
1 本件の概要
本件は,公訴提起が違法,無効であることを理由に公訴棄却判決(刑訴法338条4号)を受けた元被告人(本件請求人C)及び検察官の公訴取消し(刑訴法257条)によりそれぞれ公訴棄却決定(同法339条1項3号)を受けた元被告人ら(本件請求人A,B,D)が,もし公訴棄却の裁...