最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本判決は,村上ファンド・インサイダー取引事件の控訴審判決である。
原判決が認定した事実は本判決において引用されているとおりであるが,原判決は,被告人がライブドアからニッポン放送株の大量買集めに関するインサイダー情報を聞きながらニッポン放送株を買い付けた,との事実を認定し,...
《解 説》
1 本件は,最高裁において,建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)70条の憲法29条適合性が判断された事案である。
2 区分所有法70条は,一定の要件を満たした場合,いわゆる団地管理組合の集会において,団地内の全建物を一括して取り壊し,新たな建物を建築するという決議ができ...
《解 説》
1 本件は,公立小学校の2年生の男子であったXが,男性教員Cから違法な体罰を受け,これによりPTSDになったと主張して,当該小学校を設置管理するYに対し,国家賠償法1条1項に基づき,約350万円の損害賠償を求めた事案である。
2 本件の事実経過の概要は,以下のとおりである。
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《解 説》
1 平成14年の改正前の地方自治法242条の2第7項(以下「旧7項」)は,当時の同条1項4号の住民訴訟(以下「旧4号住民訴訟」),すなわち住民が普通地方公共団体に代位して損害賠償を請求する訴訟等を提起し勝訴した場合において,弁護士に報酬を支払うべきときは,当該普通地方公共団体に...
《解 説》
1 本件は,YがAをひそかに殺害してその死体を隠匿したため,Aは長期間にわたって行方不明とされていたが,約26年後にYが自首して死体が発見されたという事案において,Aの相続人XのYに対する不法行為に基づく損害賠償請求権が,民法724条後段の規定により消滅したか否かが問題になった...
《解 説》
1 本件は,X1が,株式会社であるAから,AのYに対する過払金返還請求権(以下「本件過払金返還請求権」という。)を債権譲渡により取得したとして,同請求権に基づき,その支払を求めた事案である。本件では,X2が,その所有し運営する墓地の使用権がYに帰属しないことの確認を求めた請求に...
《解 説》
1 本件は,仮処分命令の債務者であるXが,債権者であるYらに対し,仮処分命令が取り消されたことにより,その保全執行としてされた間接強制決定に基づきYらがXから取り立てた金銭は,法律上の原因を失い,不当利得に該当すると主張して,その返還を請求する事案である。
2 原判決(福岡高...
《解 説》
1 本件は,家族とともに生活保護を受給してきたXら(世帯主であり処分の名宛人となったX1及び当時のその妻X2の2名)が,指示違反を理由に保護を停止され(本件停止処分),一旦停止は解除されたものの,その後,別の指示違反を理由に保護を廃止された(本件廃止処分)ことから,両処分の取消...
《解 説》
1 本件は,警視庁東京水上警察署(現在の警視庁東京湾岸警察署)で海技職職員として勤務するXが,職場の上司や同僚であるY2~Y11(以下「Y2ら」という。)から職場において日常的に暴行や脅迫を含む嫌がらせ等を受けたとして,Y1(東京都)に対しては国家賠償法1条1項又は民法715条...
《解 説》
1 本件(控訴審の審判対象)は,A市の住民(X)が,A市長(Y)に対し,平成11年4月から平成15年12月までの間にA市の恩賞随意契約制度(本件恩賞制度。優良工事等選定委員会において選定された優良工事を施工した請負業者を表彰して,随意契約の締結権を付与し,指名競争入札によらずに...
《解 説》
1(1) 原告は,米国会社2社との間で,これら会社が事業化している車両外装のリペア(修復)を中心とした事業及び家具・車両内装のリペアや色替えを中心とした事業について,日本国内における独占的実施契約を締結し,上記契約に基づき,日本国内において上記各事業をフランチャイズ商品化して加...
《解 説》
1 本件は,Aに対し1350万円の債権を有していたXが,Yに対し,詐害行為取消権に基づいて,AがYに債権譲渡した売掛金債権の一部約1575万円の債権譲渡の取消しを求めるとともに,Yが取り立てた金額の内1350万円の支払を求めたものである。
これに対し,Yは,訴訟を提起された後...
《解 説》
1 本件は,原告(ゴルフ会員権者)が,被告(銀行)がゴルフ場経営会社(A社)から委託を受けて原告にゴルフ会員権(本件会員権)を販売したことについて,①被告が原告に対する優越的地位を濫用し,銀行法12条にも違反し,販売の際に,②虚偽の説明を行い,③断定的な表現を用いて説明をし,④...
《解 説》
1 本件事案の概要
Yと一緒にアルゼンチンを旅行していたA(昭和56年8月生まれの大学卒の女性)は,平成17年9月,Yが運転する自動車に同乗していたとき,自動車が横転し,車外に投げ出される事故(本件事故)に遭い,死亡した。アルゼンチン民法では逸失利益,精神的損害も損害と定めて...
《解 説》
1 本件は,胃部の不快感等を訴えて受診したAに対し,Y(開業医)により上部消化管造影検査が実施された結果,胃潰瘍の可能性が高いとして,投薬の上経過観察とされたが,その約7か月後に,Aは,別の開業医において胃がんと診断され,その後,紹介先の病院で開腹術が実施されたが,既に手遅れの...
《解 説》
1 本件は,元横綱で貴乃花部屋を運営するX1,妻であるX2が,週刊誌「週刊新潮」を発行するY1,その代表取締役であるY2,週刊新潮編集長であるY3に対し,週刊新潮にXらの名誉を毀損する内容の計5本の記事(本件記事)が掲載されたことにより損害を被ったと主張して,Y1,Y3に対し民...
《解 説》
1 本件は,回路用接続部材に係る発明(本願補正発明)について,拒絶査定を受けてその不服審判請求をしたXが,不成立審決をしたY(特許庁長官)を被告にして,審決取消訴訟を提起した事案である。
本願補正発明は,「下記(1)~(3)の成分を必須とする接着剤組成物と,含有量が接着剤組成...
《解 説》
1 X1は,仙台市堤町において,先祖代々堤人形を制作してきたX1家の当主として,現在,堤人形を制作している者であり,商標「つゝみ」及び「堤」について,指定商品を土人形とする商標権を有している。X2は,X1が設立した堤人形の制作,販売等を営む有限会社である。Y1は,堤町において,...
《解 説》
1 本件は,被告人(女性,当時22歳)が,同棲中の男性(当時18歳)に対し,包丁でその背部を1回突き刺したという事案である。その事実自体には争いがなかったが,検察官は,被告人は,殺意をもって,うつ伏せで眠っていた被害者の背中を包丁で突き刺したと主張し,一方,弁護人は,布団の上に...