最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 事案の概要
本件は,平成13年9月1日午前零時50分ころから午前零時55分ころの間に,東京都新宿区歌舞伎町にある雑居ビルの3階エレベーターホール付近から発生した火災が,ビルの階段やエレベーターホールに置かれていた大量の物品に燃え広がり,一酸化炭素ガスを含む大量の火煙が営業...
《解 説》
1 公判前整理手続又は期日間整理手続における証拠開示を巡っては,これまで主として被告人の取調状況等に関するメモないし備忘録の開示が問題となってきたが,最三小決平19.12.25刑集61巻9号895頁,判タ1260号102頁,判時1996号157頁は,「刑訴法316条の26第1項...
《解 説》
1 本件は,Aを債権者,Xを債務者とし,Aが,Xによる液晶テレビ及び液晶モニターの輸入,販売等がAの特許権を侵害すると主張して,その差止め等を求める特許権仮処分命令申立事件(以下「本件仮処分事件」という。)において,Xが,同事件におけるAの代理人であるY1ら5名を相手方として,...
《解 説》
1 本件は,公判前整理手続において,警察官が参考人取調べの際に作成した取調べメモの証拠開示を命じた決定に関し,検察官から特別抗告がなされた事案である。本件で問題となったメモは,警察官が私費で購入したノートに記載されたもので,一時期職場から自宅に持ち帰るなどして警察官が保管してい...
《解 説》
1 本件は,同族会社であるX1社の代表取締役であったX2が退任して監査役に就任したこと(以下「本件改任」という。)について,実質的に退職したものであるとして,X1社がX2に対し,退職給与(以下「本件退職給与」という。)を支払い,本件退職給与に係る金額を,X1社が損金に算入して法...
《解 説》
本件は,被告の従業員であった原告が,被告に通知することなく公認会計士協会に対して訴訟を提起し,これを取り下げるよう指示されたにもかかわらずこれを取り下げなかったこと,同訴訟について被告の顧客に喧伝したことを理由として被告から懲戒解雇された後,被告に対し,被告の設けている追加退職...
《解 説》
1 事案の概要(判示事項に関するものに限る)
原告は,被告から購入した宅地の中に埋設物及び汚染土壌が存在したとして,瑕疵担保責任に基づき,被告に対し,損害賠償を求めた。
被告は,これに対して,上記埋設物及び汚染土壌はいずれも本件土地の瑕疵にはあたらないと反論した。
2 本...
《解 説》
控訴人は訴外会社に本件不動産を売り渡し,訴外会社はこれを被控訴人に転売して,順次所有権移転登記がされた。本件は,控訴人が訴外会社及び被控訴人に対し,その各抹消登記手続を請求する事案である。控訴人の主張は多岐にわたるが,判旨に関係する部分は,訴外会社が控訴人に対して契約に定められ...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 医療過誤原告の会は,医療事故被害者の相互共助,医療事故の減少及び患者とその家族の権利の確立等を目的とし,平成3年10月に設立された権利能力なき社団であり,設立以来,「医療過誤原告の会」の名称で上記目的に沿った活動を継続し,同名称は,広く一般に認知されて...
《解 説》
1 本件は,東急電鉄二子玉川駅周辺に居住する原告らが,二子玉川東地区で再開発事業を行う再開発組合を被告として,人格権等に基づき,再開発事業の差止めを求めた事案である。
2 原告らは,二子玉川東地区の再開発事業が,①人口,交通量の集中を招いて原告らに交通の危険や騒音被害を生じさ...
《解 説》
1 本件は,保険診療を実施する歯科医師であるXが,患者らに対して即時義歯(抜歯直後に装着する義歯)の製作を行った過程で仮床試適(義歯を仮装着して適合性を確認すること)を行い,その診療報酬を保険診療としてY(社会保険診療報酬支払基金)に請求したところ,Yが,即時義歯における仮床試...
《解 説》
1 本件は,いわゆる一般開業医が,敗血症及び細菌性髄膜炎に罹患した新生児に対して取った転院措置について争われた事案である。
X1は,Y(医療法人)が開設する産婦人科医院において,平成14年10月14日に出生し,出生から1分後及び5分後のアプガースコア(新生児の元気の良さを10...
《解 説》
Yは,Xの執行役員兼Xの100%子会社であるA(米国法人)の社長兼最高執行責任者(COO)として勤務し,Xから2度に亘りストックオプションとしてXの新株予約権を取得していた。本訴請求は,Xが,Yに対し,YがXを退任後の一定期間の経過又はYに懲戒解雇事由に該当する事由があることか...
《解 説》
1 本件は,種苗法に基づく品種登録(登録品種の名称は「JMS 5K-16」及び「MM-2号」である。以下,前者を「登録品種A」といい,後者を「登録品種B」という。)がされたしいたけの育成者権を有する(ただし,登録品種Bについては訴外Hとの共有である。)Xが,Yが上記しいたけ品種...
《解 説》
1 本件は,破産者A1ないしA14の破産管財人であるX1ないしX14が,銀行であるYに対して預金の払戻し等を求めたのに対し,Yが,A4,A6,A9,A11,A12,A13(以下「A4ら」という。)がBに対して負う買掛債務等を保証し,これらの債務を代位弁済したから,これにより取得...
《解 説》
1 本件は,大証ヘラクレス上場のコンピューター用システム機器メーカーの代表取締役社長であった被告人が,副社長と共謀の上,被告人らが経営する会社の利益を図る目的で,不要なシステムを著しく水増しした価格で副社長経営の会社に発注して,代金合計6300万円を振り込ませたという詐欺再生及...
《解 説》
1 本件は,業務上横領の事案である。原審で,被告人は事実を争わず,即決裁判手続により審判され,有罪判決を受けた。被告人が控訴し,他の主張とともに,被告人には業務上横領の故意がなく無罪であるとして事実誤認を主張し,即決裁判手続による判決に対し,犯罪事実についての事実誤認を理由とす...