最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 事案の概要
本件は,ミャンマー国籍を有する原告が,難民認定手続において,被告法務大臣から難民不該当を理由に難民の認定をしない処分(以下「本件不認定処分」という。)を受け,退去強制手続において,法務大臣の権限の委任を受けた東京入国管理局長から出入国管理及び難民認定法(以下「...
《解 説》
1 大阪市西成区内には,建設現場等で日雇労働に従事する多数の者(建設労働者)が拠点とする地域(以下「本件地域」という。)があり,継続的かつ安定的な住所を持たないこれらの建設労働者の多くは,本件地域内の特定の場所(以下「本件場所」という。)を住所とする住民登録をしており,大阪市及...
《解 説》
1 事案
本件は,日本原燃産業株式会社が青森県上北郡六ヶ所村に「六ヶ所低レベル放射性廃棄物貯蔵センター」(200入りドラム缶20万本分相当の低レベル放射性廃棄物を浅い地中に埋設する方法により最終的に処分する施設)を建設するために原子炉等規制法51条の2に基づいて廃棄物埋設事業...
《解 説》
1 本件は,平成12年12月4日に日本国内のマンションからシンガポールに転出したとするXが,平成13年1月6日に,香港において,同月12日を譲渡実行日として本件株式の売買(譲渡)契約を締結し,同株券を買主に交付したが,同株式の譲渡当時既に国内に住所を有していなかったとして,所得...
《解 説》
1 本件は,奈良県斑鳩町の住民であるXが,斑鳩町が土地の無償譲渡及び補助金の交付という異なる制度に基づき実質的には補助金交付の限度額を濳脱する経済的支出をしたことは違法であるなどと主張して,主位的及び予備的に,地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき,Y(斑鳩町長)が斑鳩町...
《解 説》
1 本件は,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)に基づき,外務大臣に対して行政文書の開示請求をしたXらが,外務大臣が開示請求に係る行政文書のうちの一部について情報公開法9条各項の決定(以下「開示決定等」という。)をしただけで,口頭弁論終結時まで...
《解 説》
1 事案の概要は次の通りである。
A(昭和22年生)は,昭和49年,公立学校教員となり,平成9年,B中学校教頭となった。Aは,教頭として,日常,校内巡回,外部からの電話対応,公文書の整理・処理,所属職員の勤務状況の掌握等の業務を行っていた。B中学校は,平成12年,創立50周年...
《解 説》
1 本件は,軟弱な地盤の土地上に,店舗用建物を建築し,いわゆる建て貸し契約をしたところ,後日地盤が不等沈下して建物に影響が生じ,賃借人が,賃貸人が修繕に応じないとして契約を解除したのに対し,賃貸人が逆に賃料不払いを理由に契約を解除し,損害賠償等を請求した事案である。
建築業者...
《解 説》
1 懲戒請求事件の申立てをされた弁護士であるXは,弁護士会の綱紀委員会が,同事件において懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当とする旨の議決を行ったこと等が不法行為に当たると主張し,同綱紀委員会の委員であったYに対し,慰謝料の支払を求め,かつ,同議決が無効であることの確認を求...
《解 説》
1 本件事案の概要
Xは,平成16年10月4日から8日にかけて,Y1会社(西武鉄道株式会社)の株式を1株1114円ないし1149円で取得した。ところが,Y1会社は,同月13日,実質的にはY2会社(株式会社プリンスホテル)らが保有していた株式を別の個人が保有していることにして,...
《解 説》
1 本件は,老人保健施設に入所していたAが,左下肢骨折,右大たい骨骨折,左大転子部褥瘡及び仙骨部褥瘡の傷害を負い,両下肢機能障害の後遺症を生じ,死亡したことについて,Aの子であるX1~X3が,同施設を運営するYに対し,Aの上記各傷害,後遺症及び死亡は,Yが同施設内においてAの管...
《解 説》
1 A(昭和24年生)は,平成17年9月3日,耕作作業を終えて,本件トラクターを運転し,宮城県多賀城市内の本件道路を走行していたところ,本件事故現場において,本件トラクターが路肩から転落し,本件道路脇に設置されていた用水路の側溝と本件トラクターとの間に挟まれて死亡した。
そこ...
《解 説》
1 Xは,平成12年1月31日から,右肩関節痛を訴え,整形医師の治療を受けていたが,治療によっても疼痛がなくならないことから,同年6月14日,Yの経営する整骨院を受診した。Yは,Xの症状を頸椎捻挫,右肩関節捻挫及び右肘関節捻挫と診断し,その後10月23日まで,Xは筋肉を緩めるた...
《解 説》
1 事案の概要
訴外A(昭和57年生)は,過去3回,イレウス(腸閉塞),胃腸炎等で入院していたが,平成13年9月30日午後7時25分,腹痛,嘔吐等の身体の異常を訴えてY1市が運営するB病院の救急外来を受診したところ,レントゲン撮影の結果,単純性イレウス(腸間膜の血行障害を伴わ...
《解 説》
1 夫Xと妻Yの間には未成年の子A,Bがいるが,離婚届書の提出により,戸籍上,XとYが協議離婚し,A,Bの親権者をYと定めた旨の記載がされていた。本件は,Xが離婚の意思及び届出の意思がないとして届書による離婚が無効であることの確認を求めた事案である。
1審判決は,Xに離婚意思...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,XがYに対し,平成16年法律第79号による改正前の特許法35条(旧35条)に基づき,XがYに承継させた抗血栓薬などの医薬成分として有用な「アルガトロバン」の製造方法に係る職務発明(本件発明)の相当対価の内金として,2億5000万円及び遅延損害金の支払等...
《解 説》
本件は,海上自衛隊員であったAが,列車に飛び込み自殺をしたことについて(以下「本件自殺事件」という。),Aの両親であるXらが,Aの自殺は海上自衛隊の先輩であったB(本案事件の被告)の私的制裁に起因するとして,B及び相手方に対し,それぞれ不法行為,国賠法上の責任を求めている本案事...
《解 説》
1 Yに対する仮執行宣言付勝訴判決を債務名義とする債権差押転付命令を得たXが,Yの控訴に伴う申立てによる強制執行停止により損害を被ったとして,Yが同停止決定の発令に当たって立てた担保の還付を受けるために,Yに対して損害賠償債権を有することの確認を求めた事案である。
Xは,Yが...
《解 説》
1 Xは,Y(株式会社ライフ)から多数回にわたって貸付けを受け,この貸付けに対して利息制限法所定の制限利率を超えて利息として支払われた部分を順次元本に充当すると,過払金が発生しているとして,Yに対してその返還を求めた。Yは,平成12年に会社更生手続開始決定を受けた大手信販会社で...
《解 説》
本件は,自殺の道連れに通行人を殺害しようと企て,極めて近接した日時場所において,殺意をもって,自転車に乗車中の被害者5名に対し,背後から,次々と自己が運転する普通乗用自動車を激突させ,その結果2名を死亡させ,3名を負傷させたとして,殺人既遂2件,殺人未遂3件で起訴された事案であ...