最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 事案の概要
本件は,大阪府公安委員会がぱちんこ店を営業する訴外株式会社に対し,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)9条1項に基づいて営業所拡張の承認等をしたことから,近隣住民である原告らが,上記承認等は,風営法4条2項2号に違反すると主...
《解 説》
1 本件は,太平洋戦争末期に沖縄県の座間味島及び渡嘉敷島で発生した住民の集団自決に当時の守備隊長の命令があったか否かを主たる争点とした名誉毀損に関わる訴訟であるが,後記のように,この訴訟を1つの契機として歴史教科書に日本軍の強制を否定する検定意見が付され,これに対して沖縄県等か...
《解 説》
1 本件は,Xが,自家用自動車総合保険契約の契約車両が盗難に遭ったと主張して,保険会社であるYに対し,保険契約に基づき,車両保険金490万円及び遅延損害金の支払を求める事案である。本件では,消滅時効の成否,特に,消滅時効の起算日がいつかが問題となった。
2 上記問題に関連する...
《解 説》
1 本件は,被告人(当時29歳)が,深夜,静岡県三島市内の国道上を自動車で走行中,アルバイトを終えて自転車で帰宅途上であった当時19歳の女子短大生を認めるや,先回りして,自転車で進行してきた同女の前に立ちふさがり停止させた上,強姦の目的で,逃げようとする同女を自車内に無理矢理押...
《解 説》
1 本件は,家庭裁判所により,孫の未成年後見人に選任された被告人が,共犯者2名(被告人の息子夫婦で被後見人とは別居,共同被告人)と共謀の上,後見の事務として業務上預かり保管中の孫の貯金合計1500万円余りを引き出して横領したという業務上横領の事案である。
本件について,弁護人...
《解 説》
本件は,甲,乙,丙の3名が共謀の上,同じ暴力団組織に属するA及びBを殺害して金品を強取しようと企て,けん銃3丁をこれらと適合する実包18発と共に携帯して所持した上,Aに対し,乙において,上記けん銃のうちの1丁で実包1発を発射し,Aの頭部に命中させ,Bに対しても,乙において,同け...
《解 説》
1 Xは,強制執行妨害被告事件の被告人であるAの弁護人に選任された弁護士であるが,Aと接見するため名古屋拘置所を訪れたところ,当日,Aが関税法違反被疑事件により逮捕される予定であり,そのため名古屋地検に押送されていることを知り,両事件の捜査主任検察官であったB検事に対し,名古屋...
《解 説》
事実経過は複雑であるが,要点のみを掲げると,およそ次のとおりである。
XらはAとの間で平成11年3月23日,双方が弁護士を代理人として本件合意書を交わしたが,それは,H市に所在する本件土地について,大正12年3月31日,Xらの先々代から先代に家督相続により所有権が移転されたこ...
《解 説》
1 神戸市は,平成7年11月21日,神戸市環境局東クリーンセンターの全連続燃焼式ストーカ炉築造工事及び付帯施設工事(以下「本件工事」という。)について,控訴人・附帯被控訴人(以下「控訴人」という。)を含む5社(以下「控訴人ら5社」という。)による指名競争入札を実施し,落札した控...
《解 説》
1 本件は,東京都の石原知事らのガラパゴス諸島への海外出張及びアメリカ合衆国への海外出張に係る各支出は,人事委員会との協議を経ずに旅費の増額が行われており,職員の旅費に関する条例の規定に違反して違法であるなどとして,東京都の住民である原告が,被告東京都に対し,地方自治法242条...
《解 説》
1 事案の概要
原告ら34名は,現役のプロ野球選手であり,被告ら10社は,その所属球団である。
被告らは,プロ野球ゲームソフト及びプロ野球カードにつき,第三者に対し,選手の氏名及び肖像等の使用を許諾しているが,個々に選手の許諾は得ていない。ライセンシーは,被告ら球団に対し,...
《解 説》
1 X1,X2は,Y新聞を配達する新聞販売店を経営する者であるが,同新聞を発刊するY会社に対して,X1は,新聞販売店契約の更新を正当な理由がないのに拒絶されたとして,その地位の確認と,新聞供給者としての優越的地位を濫用して,営業損害を与えたことの賠償を,X2は,同契約は解除され...
《解 説》
1 Xは,生後約3週間の長女が髄膜炎により全身状態が不良と診断された際,精神的に不安定な状態に陥ったため,Y病院(大学病院)のメンタルヘルス科を外来受診したところ,Xの診療を担当したY1は,Xを解離性転換性障害と診断し,向精神薬の処方など精神疾患を前提とした治療を開始した。Xの...
《解 説》
1 本件は,当時82歳の小柄な女性であるAが,Yの経営する病院で,右大腿骨頚部骨接合術(患部を切開し,骨折部位をエンダー釘で固定するもの,本件手術)を受けた際に,急性循環不全に陥って死亡した事故について,Aの遺族であるXが,Yに対して,損害賠償訴訟を提起したものである。
事実...
《解 説》
1 事案の概要
本件の事案の概要は以下のとおりである。
患者は,平成13年5月22日,被告病院において,大腸癌の摘出手術(低位前方切除術)を受けた。患者の大腸癌の進行度は,ステージⅣ(脳転移あり)であり,切除術による根治は到底望めなかったが,差し当たり大腸の閉塞により摂食不...
《解 説》
1 本件事案の概要
(1) 原告は,発明の名称を「安定な低抵抗コンタクト」とする特許(本件特許。請求項の数は55である。)の特許権者である。A社は,原告に対し,本件特許のうち請求項40,43に係る特許について無効審判請求をしたのに対し,原告は本件特許のうち請求項36,40及び...
《解 説》
1 原告は,発明の名称を「データム安定な低抵抗コンタクト」とする特許(本件特許。請求項の数は3である。)の特許権者である。本件特許については,無効審判請求がなされたところ,特許庁は本件特許に係る請求項1ないし3について無効とするとの審決をしたので,原告は知的財産高等裁判所に対し...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,被告人が,普通貨物自動車を運転し,道路上を進行していた際,被害児童(当時6歳)と衝突し,同児を死亡させたという業務上過失致死被告事件であり,前方注視義務違反,減速義務違反の過失の有無が争われた。
事故現場となった道路は,幅員約5mの直線道路で,被告人...
《解 説》
1 本件は,被告人が,被害者が同居女性を騙してその資産に損害を与え,その一部を着服したと思い込み,怒りと憎しみを募らせ,死んでも構わないとの気持ちから,被害者に対し,主観的には鞘が外れていると思っていた鞘付きのくり小刀で突き,さらに,鞘の外れた同くり小刀で被害者の顔面を刺すなど...