最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 事案の概要
本件は,宅建業者である原告が,営業保証金として本件国債を供託していたところ,主務官庁である東京都知事から,本件国債の時効消滅により営業保証金が不足しており,業務停止処分をする可能性があると通知されたため,東京都に対し,主位的に,本件国債は時効消滅していないと主...
《解 説》
1 本件は,公害等調整委員会(以下「公調委」という。)が不服裁定申請に対してなした裁定(以下「本件裁定」という。)に対する取消訴訟である(本件裁定は,判タ1243号342頁,判時1970号39頁,判自292号73頁に掲載されており,その紹介記事に,公調委が所管する不服裁定手続の...
《解 説》
1 本件は,法務大臣から権限の委任を受けた大阪入国管理局長から,出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく申立人の異議の申出が理由がない旨の裁決(以下「本件裁決」という。)を受け,続いて大阪入国管理局主任審査官から,退去強制令書発付処分(以下「本件処分」という。)を受けた申立人...
《解 説》
1 児童福祉法に基づきX1の里親となっていたX2・X3(原告夫婦)は,4年間にわたりX1を養育していたが,X1が,Yに所属する機関である静岡県西部児童相談所(西部児童相談所)を訪れ,泣きながらX2に叩かれたなどと述べたことが発端となり,同児童相談所長は,X1の一時保護決定及び里...
《解 説》
1 本件は,ナイジェリア連邦共和国国籍を有するXが,東京都Yに対し,Yが設置する警視庁の警察官がXを風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律22条1号違反(いわゆる客引き行為)で現行犯逮捕する際に,Xの右膝を踏み付けて右脛骨高原骨折(本件骨折)させ,その後も手術等適切な治...
《解 説》
1 法人税法22条1項は,内国法人の各事業年度の所得の金額は,当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額であるとし,同条2項は,益金に算入すべき金額には,資産の販売,……無償による資産の譲受けその他の取引に係る収益であると定めているところ,損金に算入し得るも...
《解 説》
本件は,朝鮮民族の舞踊,声楽,楽器演奏等の舞台公演を行っているA歌劇団の公演を主催するための活動をしている団体が,その公演を実施するため仙台市から市民会館の使用許可を受けたが,その後,右翼団体等の妨害行為等により市民会館の管理等に支障を及ぼすおそれがあるとの理由で仙台市から使用...
《解 説》
1 X1,X2及びX3は11階建てマンション(Xマンション)の区分所有者である。Yは,Xマンションの隣地上に6階建てのビル(Yビル)の建築を計画した。YビルのXマンション側には1階を除く各階にサービスバルコニーを設けることが計画された。サービスバルコニーが設置されると,XらのY...
《解 説》
1 本件は,Xがその所有建物をZの要望に従って増改築した上でZに賃貸する契約(建て貸し)の仲介を不動産仲介業を営むYに依頼し,X・Z間に期間を9年間とする建物賃貸借契約が成立したが,中途解約を制限する条項が盛り込まれていなかったため,Zから中途解約されて損害を被ったとして,Xが...
《解 説》
1 本件は,Y銀行に普通預金口座を有し,キャッシュカードの発行を受けていたXが,紛失(本人は盗難と主張)したキャッシュカード(Xは,その生年月日をキャッシュカードの暗証番号にしていたところ,キャッシュカードとともに運転免許証も紛失した。)により暗証番号を用いてATMから預金の払...
《解 説》
1 本件は,弁護士であるYに妻との離婚訴訟を委任したXが,Yの弁護過誤により不利な和解を強制されたなどとして,Yに対し,債務不履行又は不法行為に基づいて,損害賠償金1150万円の支払を求めた事案である。
弁護過誤の内容は,次のようなものである。銀行支店長の職にあったXが,離婚...
《解 説》
1 いわゆるJR東日本(当時の総従業員数約6万6000人)の労働組合の1つであるY(当時の組合員数約5万人)は,同じくJR東日本の労働組合であり,Yとは対立関係にある労働組合X1(当時の組合員数約2300人)の中央執行委員長であるX2の発言に関する記事(本件記事)やイラスト(本...
《解 説》
1 本件は,原告らが,被告らがパソコン教材等を売りつけて高額な金員を騙し取ろうと企て,実際は在宅ワークを斡旋する意思も委託できる業務も有していないにもかかわらず,原告らに対して在宅ワークを斡旋するかのような言辞を用い,パソコン教材を購入して勉強さえすれば容易に副収入につながるか...
《解 説》
1 本件は,急性白血病で死亡した女性(A)の相続人(X)が,治療に当たった医師(B)の過失を理由に同医師の勤務する医療法人(Y,理事長B)に対して損害賠償を請求した事案である。 A(当時24歳)は,平成13年12月29日に高熱が出たので,福岡市の急患センターで抗生剤や解熱剤の投...
《解 説》
1 訴外A(昭和39年生)は,平成17年2月2日に自殺したが,同年1月31日付遺言状を作成し,「私の財産と生命保険等によって受け取る金員の全ては3人の子供の養育の為のみに使用して下さい。右金員の管理は,北川家に(広島)よって行なわれるものとして下さい。」との遺言(以下「本件遺言...
《解 説》
Aは,遺言公正証書により財産を子らに「相続させる」旨の遺言をしたが,子らの内BがAより先に死亡したので,Bの子XはBの地位を代襲相続したと主張し,Aの他の相続人Yら5名に対し,上記遺言によりBに相続させるとされた不動産を含む財産について指定相続分を有することの確認を求める訴えを...
《解 説》
1 本件は,日本信販株式会社(以下「補助参加人」という。)の株主である原告が,補助参加人の取締役又は元取締役であった被告らに対し,補助参加人がインターリース株式会社(以下「関連会社」という。)に対して整理支援金610億円を支出した点(以下「本件支援」という。)について,善管注意...
《解 説》
1 訴外A(昭和23年生)は,平成15年11月29日,Xの経営するB病院で受診したところ,変形性脊髄症と診断され,傍胸部神経ブロック等の施術を受け,また,同年12月9日,B病院のC医師から,右星状神経節ブロックの施術を受けた。
ところが,その後,Aに口唇チアノーゼ,呼吸困難な...
《解 説》
1 本件は,被告の元従業員である原告が,被告在職中に被告に承継させた職務発明に係る特許を受ける権利について,その相当対価10億円の支払を求めた事案である。
本件の対象となる特許発明は,レーザービームプリンタ(LBP)等において,静止ゴースト像(被走査媒体に走査されたビームが拡...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,平成9年9月30日以降に日本長期信用銀行(以下「長銀」という。)の株式を購入した甲事件及び乙事件原告ら(以下,まとめて「原告ら」という。)が,その後,貸倒引当金の計上不足が明らかになったため長銀の株価が低下し,さらには国有化されて長銀の経営が破綻し,株...
《解 説》
1 本件は,区分所有建物であるAマンション(以下「本件マンション」という。)の区分所有者全員で構成する管理組合の管理者である原告が,本件マンションの管理組合規約(以下「管理規約」という。)又は建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)57条1項ないし昭和58年法律第51...