最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,上行結腸ポリープの摘出手術を受けた患者が,術後9日目に急性胃潰瘍による出血性ショックにより死亡したため,患者の相続人である原告らが,主治医及び病院開設者を被告として不法行為に基づく損害賠償請求の訴えを提起した医療訴訟の事案である。その主治医には,患者に対し十分な輸血...
《解 説》
1本件は,不動産会社(以下「本件会社」という。)の代表取締役であり,その関連会社(以下「本件関連会社」という。)の実質的経営者として両社の業務全般を統括していた被告人甲,本件会社の財務部長であった被告人乙,本件関連会社の代表取締役であった被告人丙による,これら会社の経営に絡む,...
《解 説》
1 本件は,強姦事件の被告人であるAが,同事件の捜査の一環として捜査機関により自宅から押収された物品につき,起訴後,その還付を検察官に求めたところ,還付されないことから,刑訴法430条1項の準抗告を申し立てたものの(実際に申し立てたのは後記甲),棄却されたため,更に特別抗告に及...
《解 説》
1 本件は,被告人が,木工作業場や倉庫等から4回にわたり多数の工具類を窃取したという事案である。
被告人は,1審公判において,いずれの窃盗も行っていないとして無罪を主張し,被害者4名の供述録取書を不同意としたため,うち3名についてはそれに代えて証人尋問が行われたが,残りの1名...
《解 説》
1 平成12年法律第73号都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)による改正前の都市計画法(以下「旧都市計画法」という。)においては,市街化調整区域に関する都市計画が決定され,又は当該都市計画を変更してその区域が拡張された際,既に宅地であった土地(...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,西大阪高速鉄道株式会社(以下「西大阪鉄道」という。)の西大阪延伸線(西九条駅から近鉄難波駅)計画予定地の近隣住民等である原告ら(99名)が,同延伸線計画は,列車走行により周辺住民に受忍限度を超える騒音被害を生じさせるものであって,同延伸線工事施行認可(...
《解 説》
原告は,高等裁判所で死刑の判決を受けて上告し,未決拘禁者として拘置所に在監中であったところ,原告あてに差し入れられた「死中に活路あり」と題する資料集の交付願を提出したが,拘置所長は,同資料集中,死刑執行方法を記述した絞罪器械図式(明治6年太政官布告第65号)の引用部分を閲読する...
《解 説》
1 本件は,知的障害児の子供(以下「本件児」という。)を知的障害児施設に入所させている原告が,沖縄県知事に対し納付した児童福祉法所定の児童福祉施設負担金(以下「本件負担金」という。)が所得税法所定の医療費控除の対象となるとして確定申告をしたところ,医療費控除の対象とはならないと...
《解 説》
第1 本件の要約
1 宇治市は,昭和27年に条例を制定して,市職員の互助共済及び福利増進を図るため市職員に宇治市職員共済組合(以下「本件組合」という。)を組織させ,地方公務員法42条に基づく職員の厚生制度を計画・実施しているが,その事業には,①結婚祝い金,入院給付金など各種の給...
《解 説》
1 本件は,原告Xが,東京都情報公開条例(以下「本件条例」という。)に基づき,被告Y(警視総監)に対し,平成16年に行われた警察官制服の購入契約に係る予定価格,入札価格及び落札価格が分かる公文書の開示を請求したところ,Yが,上記開示請求の対象とされた公文書は,警視庁が制服を納入...
《解 説》
Yは,冷凍食品の受注,会員宅への配送及び集金を主な業務とする有限会社である。Xは,平成6年7月20日にYから雇用され,配送員として,自己の担当するコース内に居住する会員宅に冷凍食品を配送し,代金を集金する業務を行っていたが,平成15年12月27日,Yから解雇の意思表示(本件解雇...
《解 説》
1 本件は,原告が,使用者である被告に対し,未払の割増賃金及び遅延損害金の支払,付加金及び遅延損害金の支払,原告が出向先において労働する義務のない地位にあること並びに被告の従業員からセクハラ行為等を受けたことによる慰謝料及び遅延損害金の支払を求めた事案である。
2 割増賃金等...
《解 説》
1 X及びY2は不動産売買仲介業者であるが,XはY1夫妻から物件紹介の依頼を受け,Y2が所有者から売却の媒介依頼を受けていた土地建物をY1夫妻に紹介した。Y1夫妻は,本件物件を気に入り,X及びY2の担当者立会の下,本件物件の内部を見学した。翌日,Y1夫妻は,Xの担当者に本件物件...
《解 説》
1 消費者金融会社Aは,平成14年11月,同年4月1日から平成15年3月31日までの決算期における赤字決算を回避するため,元本の弁済に充当していた和解債権についての弁済金を利息に充当し,同額の元本についての貸倒引当金の計上をしなかった(以下,この処理を「本件和解債権処理」という...
《解 説》
1 本件は,「商品委託販売システム」などと称して健康食品等の販売を仮装しつつ,実質的には金銭配当を行っていた結果,破綻により多くの被害者を出した八葉物流の破産管財人が,当該取引システムは公序良俗に違反するものであるとして,幹部会員らに対し,配当金等を不当利得として返還を求めたも...
《解 説》
1 事案の概要
(1)Y1及びY2は統一名称を用いてインターネット接続等の総合電気通信サービス(以下「本件サービス」という。)を提供している電気通信事業者であり,Xらは本件サービスの会員であるところ,Y1の管理していた本件サービスの顧客情報が外部から不正に取得された。
本件...
《解 説》
1 本件は,当時,国会議員等に国民年金保険料の未納期間があったことが相次いで発覚し,官房長官や党代表が辞任するなど,国民年金未納問題が社会的に大きな問題となっていたところ,内閣総理大臣の秘書官であるXが,Yが発行・販売する週刊誌に掲載された,「首相秘書官の『謀略リーク』に破れた...
《解 説》
1 本件は,女性であるXが,11歳(小学6年生)から19歳までの約8年間にわたり,祖父であるYから,継続的にわいせつ行為及び強姦(性的虐待行為)を受け,そのために外傷後ストレス障害(PTSD)等の精神症状を発症し,就労不能になったとして,Yに対し,不法行為責任に基づき,後遺障害...
《解 説》
Xは平成元年10月2日に出生した男児であるが,同年11月1日,Y市立病院において1か月検診をうけたところ,痙攣重積と哺乳力低下による体重増加不良を指摘され,入院した。入院時の所見として顔と四肢の痙攣,後弓反張姿勢で泣き,両手鷲手様,両足にクローヌス反応があったが,発熱や嘔吐はな...
《解 説》
1 Aは,昭和51年2月,被告の前身であるT生命保険との間で死亡保険金額を2000万円とする生命保険契約を締結し,保険金受取人を子である原告X1と同X2とした。同保険契約は,一定の集団構成員との間で保険契約を締結するいわゆる集団扱定期保険で,保険料の払込みは集団代表者を通じて行...
《解 説》
1 本件は,乾燥装置に関する特許権(本件特許権1),回転巻上羽根を有する乾燥装置に関する特許権(本件特許権2)及び被乾燥物の乾燥方法に関する特許権(本件特許権3)の特許権者であるX1並びに各特許権の独占的通常実施権者であるX2が,Yに対し,Yの製造・販売する乾燥装置(被告装置)...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,作曲家であるXが,ローカルテレビ局であるYに対し,テレビ番組において使用する楽曲を作曲,編曲,実演して提供したところ,Yは,ローカル番組放送一回分について各楽曲を各番組内において使用するというXとの使用許諾契約に違反して,各楽曲を使用したテレビ番組を,数...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,ダム建設の事業計画により土地を収用される被収用者が収用者に対して有する補償金請求権について,被収用者の債権者らによる債権差押及び転付命令が競合した事案である。
被告北海道及び被告剣淵町は事業者として,Aの所有する土地を含む北海道上川郡剣淵町字ペオツペ...
《解 説》
原告と被告は,もと夫婦であり,原告と被告との間の離婚請求控訴事件(以下「本件離婚事件」という。)において成立した裁判上の和解によって,協議離婚をした。同和解の和解調書中には,離婚条項の他,原告は,被告に対し,本件マンションの明渡義務があることを認める,被告は,原告に対し,本件マ...
《解 説》
自動車の販売業者であるXは,Y1(会社)に対し,いわゆる所有権留保特約を付して,自動車2台(本件各自動車)を売り(本件売買契約),Y2(会社の代表者)は,本件売買契約に基づくY1のXに対する債務を連帯して保証した。
ところが,Y1について,代金完済前に再生手続開始の決定がされ...
《解 説》
1 本件は,被告人が,洋出刃包丁で父親である被害者の胸部及び背部を多数回突き刺して殺害した事案である。
2 弁護人は,殺意を争った上で,被告人が被害者を包丁で突き刺したのは,被害者から腕で首を絞められたため,やむを得ずした正当防衛行為であるから,被告人は無罪である旨主張し,予...