最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,Xが,京都市個人情報保護条例(平成5年京都市条例第1号。ただし,平成16年京都市条例第24号による改正前のもの。以下「本件条例」という。)に基づき,Xが受けた歯科診療に係る国民健康保険診療報酬明細書(以下「本件レセプト」という。)の開示を受けたところ,本件レセプトに...
《解 説》
1 本件は,冠状動脈バイパス手術を受けた患者が,術後に腸管え死となって死亡したことから,患者の相続人らが,担当医師には腸管え死を疑って直ちに開腹手術を実施すべき注意義務を怠った過失があるなどと主張して,病院の開設者の相続人らに対し,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を求める...
《解 説》
1 事案の概要地方自治法100条13項は,「公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することができる」こと,「当該政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定め...
《解 説》
1 本件の経過は,次のようなものである。
申立人は,昭和57年に和歌山地方裁判所で覚せい剤取締法違反の罪により懲役10月の有罪判決の言渡しを受けたが,平成17年になって同判決につき再審請求を申し立て,同地裁からこれを棄却された。申立人は,この再審請求棄却決定に対し,即時抗告(...
《解 説》
1 本件は,「大崎事件」と呼称される殺人・死体遺棄事件で有罪の確定判決を受けた申立人からの再審請求事件である。上記殺人等事件は,申立人が,その夫である甲及び甲の弟乙と共謀の上,昭和54年10月12日の深夜から翌13日の早朝にかけて,鹿児島県曽於郡大崎町の被害者方で,甲の弟である...
《解 説》
1 本件事案の概要は以下のとおりである。
ミャンマー国籍を有するXは,平成10年,就学の在留資格で本邦に入国した後,在留期間の更新や在留資格の変更により,適法に本邦に在留していたが,平成14年12月25日を経過して本邦に不法に残留することとなった。
Xは,適法に在留していた...
《解 説》
1 本件は,建設業者であるXが,Y町発注の公共工事の入札に指名業者として指名されなかったのは,Yの現町長が,町営住宅補修工事におけるYの吏員の責任を理由なくXに押し付けたり,Yの旧執行部に対する損害賠償請求訴訟にXが協力しなかったことへの意趣返しの措置として取ったものであるから...
《解 説》
1 小樽市は,小樽築港駅について,公金7億1700万円を支出して橋上化,大型化された新しい駅舎(以下「本件駅舎」という。)を建築した上,平成10年12月25日,市議会の議決を経て,これをY2(JR北海道)に対し,無償で譲渡(以下「本件無償譲渡」という。)をした。
そこで,小樽...
《解 説》
1 静岡県の住民であるXらは,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)242条の2第1項4号前段に基づき,県に代位して,県知事及び県職員の地位にある者らに対し,違法公金支出返還請求の訴え(前訴)を提起したが,裁判所の勧告により,同訴訟の被告らが県に金員を...
《解 説》
1 本件事案の概要は,次のとおりである。
Xは,建材店に勤務しており,自宅から徒歩で通勤していたが,勤務日(週5日)のうちの4日程度,その妻の父(義父)であるAの介護のために,帰路にA宅へ立ち寄った上で帰宅していた。ところが,Xは,A宅に立ち寄った後徒歩で帰宅途中に,原動機付...
《解 説》
1 訴外A(昭和30年生)は,昭和49年4月から,埼玉県信用金庫,シャルム書房等に勤務していたものであるところ,胸膜腫瘍等に罹患し,平成8年8月ころから,大宮赤十字病院,癌研附属病院等に入通院して治療を受けていたが,平成9年9月27日に死亡した。
そこで,Aの遺族であるXらは...
《解 説》
1 マンション「サンピア鎌ヶ谷」の管理組合の理事長であるXは,同マンションの専有部分の建物(以下「本件建物」という。)に対する区分所有法59条1項に基づく競売請求を認容した確定判決を債務名義とし,同判決の被告Y1とY2を相手方として,民事執行法195条に基づき,本件建物に対する...
《解 説》
1 本件各土地上には,借地権付きの本件各建物が存在している。本件各建物は,平成14年6月26日に強制競売開始決定がされた。X(原告,被控訴人)は,平成15年4月及び7月に前所有者から本件各土地の所有権を取得し,賃貸人の地位を承継したが,その際,執行裁判所に対して,本件各建物が競...
《解 説》
1 本件は,電気事業者である被告が養鶏業を営む原告に対して適用されるべき電気需給契約の契約種別を誤ったこと,又は被告が原告に対し適切な助言をなさなかったために原告が不合理な契約種別を選択したことによって原告が損害を被ったとして,原告が被告に対し,債務不履行責任又は不法行為責任に...
《解 説》
1 本件は,第二次世界大戦中に,朝鮮半島から女子勤労挺身隊(勤労挺身隊)の隊員として来日し,当時の三菱重工業株式会社(旧会社)の工場で労働に従事した6名とその遺族1名,合計7名の韓国に在住するXらが,Y1(三菱重工業株式会社)及びY2(国)に対し,勤労挺身隊の実態は,強制連行さ...
《解 説》
1 Xは,「XがYに対して利益配分金1億1418万5000円を支払う約束をしたとの虚偽の主張をYがして不当な利益配分金の支払請求訴訟を提起し,X名義の支払念書(甲2)を偽造して証拠として提出したから,Xはこれに応訴するために弁護士費用650万円の支出を余儀なくされた。」旨主張し...
《解 説》
1 事案の概要
患者Aは,平成12年7月,嘔気と軽度の回転性めまいを訴え,Yの設置・運営する被告病院に救急搬送された。Aは,被告病院において,精密検査を受けたところ,頸動脈狭窄及び未破裂脳動脈瘤が発見された。
Aは,被告病院担当医の勧めに従い,同年9月,未破裂脳動脈瘤をラッ...
《解 説》
1 Aは,平成2年11月からy国大の助教授であったが,平成6年7月から,Yの設置するB病院において扁桃炎の治療を受けていたものの,軽快しないため,扁桃摘出手術を受けることになった。
そして,Aは,平成10年8月3日,B病院において,扁桃摘出手術を受けたが,口蓋垂に腫脹がみられ...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,国・地域別旅行案内書(Y書籍)を発行するYが,同じく旅行案内書を発行するAから,Y書籍に掲載された空港案内図(本件空港案内図)が,Aの発行する書籍に掲載された空港案内図(A空港案内図)についてのAの著作権を侵害するとの主張を受けた。Yは,Y書籍の制作を...
《解 説》
1 本件は,基本事件の競売不動産である本件土地・建物(総称して「本件不動産」という)につき,最高価買受けの申出をして売却許可決定を受けたXが,本件不動産に民事執行法75条1項所定の損傷があると主張して,売却許可決定の取消しを求めた事案である。
2 Xが主張する本件不動産の損傷...
《解 説》
1 孫請人Xが,元請人Yに対し,不法行為による損害賠償又は不当利得の返還を訴求したところ,原審が,Xの請求を棄却した。Xが控訴し,控訴審係属中にYにつき民事再生手続が開始したため,Xは,金銭給付請求を再生債権確定請求に変更した上,これを予備的請求とし,主位的請求としてXY間の直...
《解 説》
1 本件は,当時幼稚園の園長をしていた被告人が,その教え子で当時6歳の被害女児を入浴の名目で健康センターに連れて行き,男子風呂で一緒に入浴した際,自己の陰茎を触らせたり,同女の陰部を触るなどのわいせつ行為を行ったという事案である。
被告人は被害者と一緒に入浴したことは認めるも...