最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,熊本刑務所で受刑中の原告が,国会議員あての請願書や検察庁あての告訴告発状を送付することについては,刑務所長によって制限されなかったのに,この請願書や告訴告発状の内容の取材や調査等を求める新聞社あての手紙を送付することについては,監獄法46条2項に基づいて刑務所長によ...
《解 説》
1 本件は,Xが,Y(平鹿農業共済組合)から平成9年度~同11年度の農作物共済(水稲)に係る共済掛金及び賦課金並びにこれらに対する延滞金等について農業災害補償法87条の2第4項の規定に基づく滞納処分を受けたことを不服として,その取消しを求めた事案である。
1,2審ともXの請求...
《解 説》
1 介護保険の保険者であるY1(旭川市)は,平成14年7月12日,旭川市介護保険条例(平成12年旭川市条例第27号。平成15年旭川市条例第20号による改正前のもの。以下「本件条例」という。)に基づき,第1号被保険者(市町村又は特別区の区域内に住所を有する65歳以上の者)であるX...
《解 説》
1 本件は,いわゆる「フィルム・リース」事件と呼ばれる事案であり,原告が,契約上は所有権を取得したとされる映画につき,その減価償却費を損金算入したところ,課税庁がこれを認めず更正処分をしたことから,当該処分の適否が問題となったものである。
本件の事実関係の概要は以下のとおりで...
《解 説》
1 本件は,高校のサッカー部に所属していた1年生の生徒が,課外のクラブ活動の一環として参加していたサッカーの試合中に落雷を受けた事故に関し,引率教諭等には,落雷を予見して回避すべき安全配慮義務を怠った過失があるなどとして,両親らと共に,高校等に対し,債務不履行又は不法行為に基づ...
《解 説》
1 本件は,妻であるXが別居中の夫であるYに対し婚姻費用の分担を求める事案である。XとYには3人の未成熟子(15歳以上19歳以下の子1人,14歳以下の子2人)がいるが,Yが単身自宅を出て別居し,Xが3人の子を監護養育している。Yは,独立開業している税理士であり,Xは,かつてYの...
《解 説》
1 本件は,銀行の本部の担当部署から各営業店長等にあてて発出されたいわゆる社内通達文書であって一般的な業務遂行上の指針等が記載されたものが,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(自己利用文書)に当たらないかどうかが問題となった事案である。
本...
《解 説》
1 本件は,赤色信号を殊更に無視した類型の危険運転致傷罪の構成要件該当性が争われた事案であり,判旨に関連する事実関係は,次のようなものである。すなわち,被告人は,普通乗用自動車を運転し,信号機により交通整理の行われている交差点手前で,対面信号機の赤色表示に従って停止していた先行...
《解 説》
1 本件は,被告人が勤務先のA社で使用されていた自動車(もともとは15人分の席が設けられていたが,本件当時はそのうち6人分の座席が取り外され,荷物置場として使用されていた。)を運転中に人身事故を起こしたという道路交通法違反,業務上過失傷害被告事件であるが,問題となったのは,これ...
《解 説》
1 本件は,全国各地で提起されているいわゆる学生無年金障害者広島訴訟の控訴審判決である。
被控訴人(原告)らは,国民年金法上の障害基礎年金支給の裁定を求めたところ,任意加入をしていない満20歳以上の大学生であり,「被保険者」に該当しないとして,障害基礎年金を支給しない旨の決定...
《解 説》
1 本件は,平成9年12月26日午後1時35分ころ,北九州市若松区で,被害者宅に,犯人が侵入し,被害者妻に暴力を加え,同夫から財布を奪ったという住居侵入及び強盗致傷事件(第1事件)と,平成10年5月8日に,同市同区の独居老女が自宅で死体で発見され,玄関には,犯人が残したと考えら...
《解 説》
1 訴外A(昭和61年生)は,平成11年4月,Y1(川西市)の設置管理するB中学校に入学し,訴外クラブ活動の1つである同校ラグビー部に所属し,部員として活動していた。
平成11年7月27日,午前6時30分から,Aを含むB中学校ラグビー部員18名が,同校教諭Y2の指導監督の下,...
《解 説》
1 本件は,原告が運営する臨床研究用病院(以下「本件病院」という。)の固定資産が,地方税法(以下「法」という。)348条2項12号の非課税規定にいう「直接その研究の用に供する固定資産」に該当するとして,本件不動産等に係る平成14年度固定資産税・都市計画税の各賦課決定処分(税額変...
《解 説》
1 本件は,いわゆる電子投票機を用いて行う投票により実施された可児市議会議員選挙(以下「本件選挙」という。)について,原告らが,本件選挙には選挙の規定に違反した違法行為があり,選挙の結果に異動を及ぼす虞があるとして,被告に対し,選挙の効力に関する審査を申し立てたところ,被告が審...
《解 説》
1 本件は,札幌市が制定する条例に基づいて,会派に交付された政務調査費について,その一部を議員会一時貸付金として使用したこと等が条例の目的に反するとして,市民である控訴人が,ある政党の会派である被控訴人に対し,地方自治法242条の2第1項4号(平成14年法律第4号による改正前の...
《解 説》
本件は,マンション管理員としてY社に雇用され,夫婦で住込みで稼働していたXらが,時間外手当の支払を請求した事案である(ほかに退職の合意の不存在及び解雇の無効を主張して地位確認と賃金の支払も請求している。)。
本判決は,住込み管理員の労働時間について,「本来,所定労働時間外の時...
《解 説》
1 事案の概要
信販会社であるX(原告)は,Y(被告)との間で,Yが販売店であるZ(補助参加人)からエルメスバーキンという名称の高級婦人用バッグ(以下,「本件商品」という。)を購入した代金を立替払契約(以下,「本件立替払契約」という。)を締結したことに基づき,同代金を立替払い...
《解 説》
1 本件は,出版会社である原告が,同社従業員らからなる被告労働組合が不当な争議行為を行ったため,ロックアウトや懲戒処分等によって対抗したところ,被告らによって本社社屋及び書籍の保管倉庫を占拠されたと主張して,所有権に基づき建物の明渡しを求めると共に,不法行為に基づき建物占拠によ...
《解 説》
1 自宅を建築し,あるいは建売住宅を購入する際には,飲用水,電気及びガスの供給並びに排水のための施設が整備されているかどうかを調べる必要がある。宅地建物取引業法35条1項は,宅地建物取引業者が,宅地,建物の売買等の相手方等に対して,その者が取得しようとしている宅地又は建物に関し...
《解 説》
1 判示事項に関係する限度で事案の概要を説明すると,芸能人ら及びその所属芸能プロダクションらが原告となり,芸能人の写真等を自らの編集・発行する雑誌に無断で登載した雑誌社及びその取締役,編集人らを被告として,芸能人らのパブリシティ権侵害を理由に損害賠償を求めたのが本件である。原告...
《解 説》
1 訴外A(大正11年生)は,平成10年8月当時,年金生活を送る老人であったが,平成9年10月,土地の売却で新聞の長者番付に載ったことから,いろいろなセールスマンの訪問等を受けるようになり,商品先物取引等の業務を行うY1会社との間で,先物取引を行うことになった。
そして,Aは...
《解 説》
1 訴外A(昭和42年生)は,福岡県内に居住していたが,出産のため実家のある和歌山市に里帰りし,平成8年11月11日から,Y1の開設する日本赤十字和歌山医療センター(以下「B病院」という。)で定期的に受診するようになった。
そして,Aは,同年12月23日,陣痛が起こったためB...
《解 説》
1 本件は,株式会社A(以下「A」という。)の株主である控訴人が,Aの取締役及び元取締役である被控訴人らに対して,Aが株式会社B工務店(以下「B」という。)の代表取締役社長であった甲野太郎(以下「甲野」という。)及び株式会社C銀行(以下「C」という。)に対して損害賠償請求権を有...
《解 説》
1 特許権の存続期間は,特許出願の日から20年をもって終了するが(特許法〔以下単に「法」という〕67条1項),特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分であって当該処分の目的,手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとし...
《解 説》
1 事案の概要
本件事案の概要は次のとおりである。
X(弁理士)は,登録商標「IPFIRM」(指定役務 第42類「工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務,訴訟事件その他に関する法律事務,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介」)の商標権者である。
Xは,Y(弁理...
《解 説》
1 事案の概要本件は,X(原告・控訴人)が,Y(被告・被控訴人)に対して,前訴で確定給付判決を得た貸金債権について,その消滅時効が完成した後に,再度,確認の訴えを提起したという事案であり,Yに対する呼出しは一審・控訴審を通じて公示送達によって行われたが,Yは期日に出頭せず,答弁...
《解 説》
1 X(申立人,抗告人)は,更生会社A株式会社に対する更生担保権者である。更生担保権の目的物件は,熊本県宇城市南部に位置するゴルフ場の土地建物である。Xは,A社管財人Yがした目的物件の評価額が低すぎると主張して,Yを相手方として,担保目的物の価額決定の申立て(会社更生法153条...
《解 説》
1 本件は,証券取引法上の相場操縦の罪で起訴され有罪となった3名の者のうちの1名に対する控訴審判決である。
被告人は,事実関係や刑自体(猶予付き懲役刑)は争わず,共犯者2名(原審共同被告人甲乙)とともに,相場操縦の犯罪行為により得た財産の価額として算定された金3億円余の追徴を...