最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,甲が専用通路として使用占有してきた土地について,これを時効取得した甲と,その取得時効の完成後に譲渡を受けて所有権移転登記を了した乙との間で,所有権取得の優劣が争われた事件である。
2 本件事案の概略は,次のとおりである。
(1) 乙は,鮮魚店を開業する目的で,徳...
《解 説》
本件は,民間都市開発の推進に関する特別措置法(「民間都市開発法」)に基づいて設立された財団法人である原告が,百貨店を経営する株式会社である被告に対し,「原告は,被告との間で,平成8年2月26日,被告の所有する土地(本件土地)を代金117億6000万円で買い受ける契約(本件売買契...
《解 説》
1 本件は,被告人が,①児童買春をしてその児童との性交場面を自らデジタルカメラで撮影し,画像データをメモリースティックに記憶させてから,②自宅に帰って,そのメモリースティックの画像データをパソコンのハードディスクにコピーして記憶させたという事案において,上記①の行為のみならず②...
《解 説》
1 本件は,第32回明石市民夏まつりの2日目に開催された花火大会の終了後,会場であった海岸と最寄り駅とをつなぐ歩道橋内において,多数の参集者が折り重なって転倒するなどして11名の死者及び247名の負傷者を生じる雑踏事故が発生したことにつき,死者の遺族らが,夏まつりの主催者である...
《解 説》
1 Xらが共有持分権を有する盛岡市内所在の三筆の宅地のうちの一筆(以下「本件土地」という。)は,昭和13年3月5日付けで旧都市計画法(大正8年法律第36号。昭和43年法律第100号により廃止された。)3条(昭和24年法律第163号による改正前のもの)に基づき内務大臣が決定した都...
《解 説》
1 本判決は,銀行業を営むXの訴訟被承継人(以下「本件銀行」という。)が,法人税法(平成10年法律第24号による改正前のもの。以下同じ。)69条の規定に基づく自己の外国税額控除の余裕枠を第三者に利用させて対価を得ること等を目的として,外国において我が国との関係で二重課税を生じさ...
《解 説》
1 本件は,少年院を仮退院して保護観察に付されていた未成年者らによる強盗傷人事件の被害者であるXが,未成年者らの親権者であるYらには,未成年者らに保護観察の遵守事項を守らせ,また,守らせることができない場合には,未成年者らを少年院に再入院させるための手続等を執るべき監督義務があ...
《解 説》
1 本件は,廃棄物の収集運搬業を営む甲会社の従業員である被告人らが共謀の上,同会社の業務に関し,福岡市庁舎の汚水槽から収集する「一般廃棄物であるし尿を含む汚泥」と雑排水槽から収集する「産業廃棄物である汚泥」を,手間を省くためそれぞれ専用のバキュームカーで分別して収集することなく...
《解 説》
1 本件は,不動産売買業等を目的とする被告会社の代表取締役である被告人が,同社の顧問税理士と共謀の上,2事業年度につき,虚偽過少申告を行って同社の法人税につき合計約6億4399万円をほ脱したという事案である。
被告人らは,1審段階においては事実を争っていなかったが,原審段階か...
《解 説》
1 本件は,被控訴人らが,福岡県教育委員会(県教委)が民間団体である福岡県人権・同和教育研究協議会(県同教)に研修名目で教諭を派遣し,この派遣教諭への県からの給与支出が違法であると主張して,その損害賠償を求めた住民訴訟である。改正前の地方自治法242条の2第1項4号(旧規定)に...
《解 説》
1 Xらは,ビル管理等を業とするY会社に勤務し,ビルの警備業務に従事していた者であるが,Yに対し,更衣時間,朝礼時間,休憩時間及び仮眠時間が労働時間に当たるとして,労働基準法37条に基づき,未払時間外賃金の支払を求めるとともに,労働基準法114条に基づき,付加金の支払を求めた。...
《解 説》
1 本件は,不動産の売買等を目的とする株式会社である1審原告(控訴人・被控訴人)が,土地建物を買い受けるに当たりその登記申請を司法書士である1審被告(被控訴人・控訴人)に依頼したが,売主が所有者の名をかたった無権利者であって,売買代金相当額を騙取されたため,1審被告に司法書士と...
《解 説》
1 原告らは,いずれも若年時から30年以上にわたって喫煙を続け,現在肺がん・喉頭がん・肺気腫等の疾病を患っている者である。
原告らは,日本たばこ産業株式会社(旧日本専売公社)及び国が,たばこには有害性や強度の依存性があるにもかかわらず,強力な警告を表示するなどの喫煙規制対策を...
3 腸閉塞の手術のために行われた麻酔により患者が大脳皮質障害をきたし植物状態に陥った事故について、担当医師に過失があったとして病院側の損害賠償責任が認められた事例
(札幌地裁平14・6・14判決)
《解 説》
1 被告Yはガス栓等のガス器具用部品の製造販売を業とする会社である。原告Xは,Yの研究所勤務の従業員であった昭和61年から平成2年ころにかけて,ガス栓に関する職務発明(本件発明)・職務考案(本件考案1~3)をし,特許・実用新案登録を受ける権利をYに承継させ,Yは特許・実用新案登...
《解 説》
1 Xは,第41類「運動法の教授」を指定商品とし,「スタビライゼーション\フィジカル・コントロール・テクニック\(PC)」と書してなる登録商標(本件商標権)の商標権者である。
本件は,Xが,大学教授であるY1に対し,Y1が,インターネットのホームページ上で,運動法又は運動トレ...
《解 説》
1 本件は,抗告人が調停申立てに際しちょう付すべき印紙(民事訴訟費用等に関する法律(以下「民訴費用法」という。)3条1項・別表第1の14項)をちょう付せず,印紙の予納を命じる補正命令にも応じなかったため,原審裁判官が民事調停法22条,非訟事件手続法17条,民訴費用法6条に基づき...
《解 説》
1 本件公訴事実の要旨は,被告人が,共犯者と共謀の上,営利の目的で,事情を知らない運搬役の女性3名に,カナダから航空機で覚せい剤2万5863.02グラムの隠匿されたスーツケース3個を本邦に持ち込ませて輸入し,通関線を通過させて関税法上の輸入禁制品である覚せい剤を本邦に輸入しよう...