最も長い歴史をもつ判例実務誌
山崎 潮・山浦 晶・湊 弘美・宮崎 勝・高森建二・丸山俊秀・加納達二・森田茂穂・中田善規・小林正之・笠原洋勇・伊藤元博・白井厚治・舘野昭彦・田中宣威・北村 明・福武公子・山下洋一郎・山本宏行・山口 博・小磯武男・木本洋子・田原美奈子・寺本真依子・吉野内謙志・阿保賢祐・内藤和道・木村真人・宮尾成明・長谷川哲也・星野 彰
《解 説》
1 本件は,名古屋市内で個人で貸金業を営むYから,いわゆるリボルビング方式の貸付けを受けたXが,Yに対し,弁済金のうち利息制限法所定の制限利息を超えて支払った利息部分(以下「制限超過部分」という。)を元本に充当すると過払金が発生していると主張して,不当利得返還請求権に基づき,過...
《解 説》
1 本件は,刑事事件の被疑者,被告人の法廷における容ぼう,姿態(以下「容ぼう等」という。)を撮影した写真やこれを描写したイラスト画について,いわゆる肖像権の侵害による不法行為の成否が問題とされたものである。
2 Xは,カレーライスへの毒物混入事件等で著名な刑事被告人である。Y...
《解 説》
1 本件は,宅配便事業を営むX(ヤマト運輸株式会社)が,郵便事業の一つとして一般小包郵便物(ゆうパック)の事業を営むY(日本郵政公社)に対し,次の行為が次の不公正な取引方法に該当し,これにより利益を侵害されていると主張して,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止...
《解 説》
1 X社(オウブンシャホールディング株式会社。当時の商号は株式会社旺文社)がオランダにおいて設立した100パーセント出資の子会社であるA社(アトランティック社。OBUNSHAATLANTICB.V.)は,その発行済株式の15倍の新株をX社の関連会社(X社の発行済株式の49.6パ...
《解 説》
1 本件は,地方公務員Xが,共済組合Yに対して貸付金債務を負担した状態で破産宣告を受け,その後退職したところ,給与支給機関が,地方公務員等共済組合法(地共法)115条2項に基づき,Xの自由財産である退職手当の中から貸付金残金をYに払い込んだという事実関係の下において,Xが,Yに...
《解 説》
1 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成15年法律第93号による改正前のもの。以下「廃棄物処理法」という。)12条3項は,「排出事業者は,産業廃棄物の処分を他人に委託する場合には,許可業者等に委託しなければならない」旨定め,同法25条4号は,「12条3項に違反して,産業廃棄物...
《解 説》
1 小金井市の職員であるXは,別紙1ないし7に記載された自己の勤務状況等に関する情報について,小金井市個人情報保護条例に基づき,訂正,削除,目的外利用等の中止又は開示を求める請求をしたが,小金井市長は,いずれも拒否する旨の決定をした。本件は,同決定の取消しを求める事案である。別...
《解 説》
1 1審原告は,平成13年5月7日,最高裁判所に対し,「最高裁判所の保有する司法行政文書の開示等に関する事務の取扱要綱」(以下「本件要綱」という。)に基づき,いわゆるロッキード事件において最高裁判所宣明書が出された件についての①1976年7月14日裁判官会議の会議録,会議に提出...
《解 説》
1 事案の概要
平成11年法律第87号による改正後の地方自治法228条3項は,詐欺その他の不正の行為により,使用料の徴収を免れた者については,条例でその徴収を免れた金額の5倍に相当する金額(当該5倍に相当する金額が5倍を超えないときは,5万円とする。)以下の過料を科する規定を...
《解 説》
1 本件事案の概要は,家庭日用品等の輸入,販売等を営業する米国の外資関連会社であるYに,課長として入社し,流通,営業企画,マーケティング等の業務を歴任・担当してきたXが,不当な配転・降格処分(本件処分)を受けたとして,本件処分は無効であるから現配属部署に勤務する義務を負わないこ...
《解 説》
1 訴外Aは,昭和39年4月,大手の段ボールの製造販売会社に入所し,松山工場,新潟事務所の勤務を経由した後,平成6年4月から小山工場の販売担当課長として,コンピュータを使った販売計画の書類や会議資料の作成などの内勤業務を担当してきた。
Aは,平成7年4月13日,出勤直前に自宅...
《解 説》
1 本件事案の概要は,次のとおりである。
X1は,建築会社であるAとの間で,自宅の建替工事に係る請負契約(以下「本件請負契約」という。)を締結し,この請負代金支払のために,貸金業者であるYから,金銭を借り受けた(以下「本件消費貸借契約」という。)。また,X1の息子であるX2(...
《解 説》
1 X(原告,被控訴人)は,本件土地の所有者である。Xは,本件建物の前所有者に対し,その敷地として本件土地を賃貸していたが,本件建物が競売され,Y(被告,控訴人)がこれを競落して所有権を取得した。Xは,借地権譲渡についてXの承諾がないことから,本件土地の所有権に基づき,Yに対し...
《解 説》
1 事案の概要
Xは,Y1から宅地(以下,「本件土地」という。)を購入したが,A社に対し転売するに際して,測量のために本件土地を掘り起こしたところ,地中から従前存在したガソリンスタンドの地中基礎部分等に使用されたコンクリート構造物,コンクリート塊が多数発見された。
本件は,...
《解 説》
1 本件は,Xが,弁護士であるYに対し,Xがその後吸収合併したそのグループ企業Aの元取締役ら(以下「Zら」といい,代表取締役であった中心人物を「Z」という)に対して,Yにおいて,①株主権行使妨害禁止仮処分を潜脱する違法行為(Zらによって違法に発行され,Zらの妻らに引き受けられて...
《解 説》
本件は,格闘技イベントの企画及び興業等を目的とする株式会社Kの元代表取締役である原告が,K社の所得を4事業年度にわたって隠し,3億円余りの法人税を脱税していたが,国税局から査察を受けて対応を被告に相談したところ,被告から,K社と訴外Aとの間で有名プロボクサーのMの日本招へいに関...
《解 説》
1 信用取引とは,顧客が証券会社から信用の供与を受けて行う証券取引,すなわち,顧客が証券会社から購入代金を借りて株式等を買い付け(信用買い),又は顧客が証券会社から売却株式等を借りて当該株式を売却する(信用売り)という取引のことである。信用売りの場合に,顧客に貸し付けるべき銘柄...
《解 説》
1 本件の事案の概要は次のとおりである。
Y1は,週刊誌等の出版物を発行する会社であるが,平成12年10月25日発売の写真週刊誌「フォーカス」平成12年11月1日号において,当時内閣官房長官であったXに関し,(1)Xが,愛人を妻が居住するXの自宅に招き入れ,夫婦の寝室で写真を...
《解 説》
Xは,平成15年8月に交通事故に遭い,傷害を被ったが,加害車両は任意保険に加入していなかった。Xは,病院に入院し,その間,老人保健法に基づく医療給付として,大阪市長より合計206万4200円の支払を受けた。老人保健法に基づく医療給付は,市町村長により,原則として,当該市町村の区...
《解 説》
1 原告Xは,平成13年には東証・大証第1部に上場し,眼鏡専門店では売上額第2位の会社であって,指定商品を眼鏡等とする,「メガネの愛眼」(X登録商標1),「AIGAN」(X登録商標2),「愛眼」(X登録商標3)の商標権者である。被告Y1~Y4は,眼鏡販売業等をしているグループに...
《解 説》
1 事案の概要
Xは,「水晶振動子及びその製造方法」という名称の特許権(本件特許権)を有している。Y2は,業として,水晶振動子(被告製品)を製造し,Y1は被告製品を販売していた。
本件は,Xが,Yらの行為が本件特許権を侵害すると主張して,Yらに対し,民法703条に基づき,実...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,債務者に対する預託金300万円の返還請求及び遅延損害金請求を認容する判決に基づいて,債務者の訴外会社に対する売上金返還請求権を差押え,取立訴訟を提起し,訴外会社と訴訟上の和解をした原告が,訴外会社がその後,債務者の再生手続開始決定に伴い,解決金210万...
《解 説》
本件は,XがY農業協同組合に対し,建物更生共済契約消滅による返戻金等の支払を求めたのに対し,Yが破産免責の対象となったXに対する貸金債権との相殺等を主張した事案である。事実経過は次のとおりである。Xは,昭和56年にYとの間で建物共済契約を締結し,以後毎年共済掛金を支払っていたと...
《解 説》
1 本件は,大学3年生の被告人が,アルバイト先に向かうため,同じ大学に通う友人4名を同乗させて普通乗用自動車を運転中,自車のタイヤが摩耗しており,雨天で路面が濡れていたにもかかわらず,時速約100キロメートルの速度で進行し続けたため,その進行を制御できず,直線道路において,同車...