最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,ゴルフ場経営会社が,親会社の債務を担保するために,親会社から保証料等を取得することなく,約300筆の土地等からなるゴルフ場に,極度額を200億円とする根抵当権(本件根抵当権)の設定登記をしたところ,その後,大幅な債務超過に陥り,会社更生手続の開始決定を受けたことから...
《解 説》
第1 判決要旨
1 保険契約者は,保険会社の同意を得て,保険契約上の一切の権利・義務を第三者に承継させることができる旨の約款は,上記同意をするか否かの判断を,原則として保険会社の裁量に委ねていると解される。そして,本件の事実関係においては,保険者の承諾を義務づけるような法令の...
《解 説》
1 本件は,被告人Xが,飲酒帰りのA,B,C及びYから自動車で各自の家まで送るように頼まれ,4名を乗せて出発したものの家を通り過ぎるなどしたため,火葬場までドライブすることになったが,その途中,Xと運転を交替したYがハンドル操作を誤るなどして車ごと川に転落し,X,A及びBは自力...
《解 説》
1 本件は,X1に対する昭和62年分の所得税の増額更正,X2に対する同年分の所得税の増額更正及びX3会社に対する同年3月分の源泉徴収による所得税の納税告知の取消訴訟であるが,次の所得認定が問題となった。
(1) X3会社は,有利な発行価額で新株を発行することとし,X1(X3会...
《解 説》
1 本件は,山形県の小国町(以下「町」という。)の住民であるXら(原告,控訴人,上告人)が,Y(被告,被控訴人,被上告人)が町長在職中に町の財産である砂利を低廉な価格で第三者に譲渡したことにより,町が損害を被ったとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242...
《解 説》
本件は,富山市住民である控訴人らが,富山市長である被控訴人に対し,被控訴人が住民基本台帳法30条の2第1項に基づき控訴人らに11けたの番号(以下「住民票コード」という。)を付与した行為(以下「本件行為」という。)が憲法13条で保障されている控訴人らのプライバシーを侵害する違法な...
《解 説》
1 事案の概要
(1)英国国籍であるXは,傷害致死罪により懲役4年の実刑判決を受けた者であるが,名古屋拘置所に未決勾留されていた時期に種々の違法行為を受けたと主張して,Y(国)に対し,国家賠償請求をした。
(2)Xの主張する違法行為は①懲罰に関するもの,②保護房収容に関する...
《解 説》
1 本件は,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2第1項4号に基づく住民の地方公共団体の長に対する損害賠償代位請求が一部認容された事案である。裁判所は,村が金銭を借り入れる際,村長が虚偽の申告をするなどしたために貸主から繰上償還を求められ,償還せざるをえなくな...
《解 説》
1 Xは,広島県三原市立の小学校の教務主任であったが,平成13年6月4日,5日の教職員組合の定期大会に参加する予定でいたところ,校長から5日に県教委が開催する教務主任研修への出席を求められた。そのためXは,同月1日午前中に,同月4日及び5日の年休届けを提出した。これに対し,校長...
《解 説》
1 XはY(大工)との間で,平成5年11月10日,自己所有の土地(海岸近くの丘陵地の開発地)に2階建居宅(本件建物)を請負代金2090万円で建築する請負契約を締結し,平成6年3月20日ころ本件建物の引渡を受けた。ところが,平成10年ころ,本件建物の基礎にひび割れが生じ,建物が不...
《解 説》
1 Xの娘Aは,スポーツクラブの経営等をおこなうY1のダイビング講習を受け,その企画するダイビングツアー(ファンダイビング)に参加した。Y1は,現地のダイビングサービス業者であるY2にそのツアーガイド業務を委託した。Y3はY2でアルバイトとしてダイビングガイドを務めていた者であ...
《解 説》
1 事案の概要
X会社は,A会社に対する決済のため,B銀行に119万0385円の振込依頼をしたが,誤って,振込先をY銀行のC会社の普通預金口座(本件預金口座)と指定したことにより,本件預金口座に119万0385円の入金記帳がされた(本件誤振込み)。本件誤振込みの事実を認識した...
《解 説》
1 本件は,未成年時に,4名を殺害したとして逮捕され殺人罪等で起訴されたX(本件記事掲載当時は成人)が,Yが発行する週刊誌に,容易にXと推知することができる仮名X'を用いて,その犯行態様,非行歴,交友関係等を記載し,またXが法廷で着替えた,反省していない等の虚偽の事実を記載した...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,安定型産業廃棄物最終処分場の建設予定地の周辺住民が,人格権(身体的人格権,平穏生活権)による妨害予防請求権に基づき,処分場の建設・使用・操業の差止を求めた事案である。
最終処分場は,搬入される廃棄物の種類に応じて遮断型,管理型,安定型に分類されるとこ...
《解 説》
1 訴外Aは,平成3年9月から平成6年11月までの間に,Yに対し,4回の定額郵便貯金をしていたが,平成8年5月13日,死亡した。
Aの相続人であるXらは,平成16年11月17日,Yに対し,Xらの法定相続分に応じた前記定額郵便貯金(以下「本件定額貯金」という。)の払戻しを請求し...
《解 説》
相続が開始された場合において,特別の事由があるときは,家庭裁判所は,期間を定めて,遺産の全部又は一部について,分割を禁ずることができる(民法907条3項,家審法9条1項乙類10号)。この「特別の事由」がいかなる場合に存在するかについて,従来から種々議論がされており,審判例も個別...
《解 説》
1 Xは,平成12年12月1日,Yとの間で,前代表取締役であったAを被保険者,Xを保険金受取人として生命保険契約を締結していたが,Aが平成14年11月6日に死亡したため,Yに対して,死亡保険金5000万円の支払を求めた。
これに対し,Yは,Aは,人間ドックの結果,膵臓の異常を...
《解 説》
1 訴外Aは,平成9年5月当時,訴外B社とC社の代表取締役であったが,同月25日午前零時頃,福井県武生市内の国道8号線を普通乗用自動車を運転して走行中,武生トンネル入口の左側コンクリート門壁に衝突し,同日,死亡した(以下これを「本件事故」という。)A,B社,C社は,Y(保険会社...
《解 説》
本件は,漁業協同組合所属の組合員ら222名が港湾環境整備事業実施に伴う区画漁業権の一部放棄の対価として取得した補償金の分配について,その放棄により現実に損失を被っていない組合員にも配分するという不公平な配分が行われたとして,理事らに対し,水産業協同組合法37条3項の理事の第三者...
《解 説》
1 本件の事案の概要は,次のとおりである。亡Aは,埼玉県内のK郵便局扱いで元本合計1287万7000円の22口の定額郵便貯金を有していたが,平成6年7月1日に東京都内で死亡した。同月27日,亡Aの内妻であったBは,氏名不詳の男性と共にK郵便局を訪れ,上記貯金全額の払戻しを求めた...
《解 説》
1 抗告人は,不動産競売事件において競売対象土地(本件土地)を最低売却価額で買受けの申出をし,同価額で売却許可決定がされた。その後,抗告人が本件土地を測量したところ,その面積が登記簿記載の面積(合計3408平方メートル)よりも596.60平方メートル少ない2811.40平方メー...
《解 説》
1 本件は,築10年余りの賃貸マンションの一室で発生したガス瞬間湯沸器(居室の設備・備品として,室内に設置されていたもの)の不完全燃焼に起因する一酸化炭素中毒による死亡事故について,同マンションの所有会社の代表者である被告人が業務上過失致死罪に問われた事案である。
本判決の認...
《解 説》
1 本件は,被告人が,内水面である河川において,さく河魚類であるさけ2匹をあみですくいあげて採捕したという水産資源保護法違反の事案である。被告人は,罰金10万円に処するなどとする略式命令を受けたが,この命令には不服があるとして正式裁判を申し立て,公判では,本件犯行場所は内水面で...