最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 事案の概要
(1) 原告らは,いずれも,戦前の昭和5年に台湾に設置された療養所である台湾総督府癩療養所楽生院(以下単に「楽生院」という。)に入所していた者である。原告らの入所時期は,それぞれ昭和12年5月から昭和20年2月までと幅がある。
(2) 楽生院は,昭和5年10...
《解 説》
1 我が国ではかつて,昭和28年制定の「らい予防法」(本判決ではこれを「昭和28年法」という。)が平成8年に廃止されるまでの間,ハンセン病の患者に対し,療養所への隔離政策がとられていたところ,平成13年5月11日,熊本地裁において,遅くとも昭和35年には「らい予防法」の隔離規定...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,Xを特許権者とする「偏光フィルムの製造法」の特許につき,平成15年法律第47号の施行(平成16年1月1日)前にされた特許異議申立てについて,特許出願の願書に添付した明細書(平成14年法律第24号による改正前の,「特許請求の範囲」を含む出願書類としての「...
《解 説》
1 本件は,被告人が,電車内で隣に座った女性の臀部を触るなどの痴漢行為を行ったという大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反等の事案である。
問題となったのは,捜査段階において本件条例違反事件について被告人が被疑者として犯行状況を再現した結果を警察...
《解 説》
1 本件は,「和歌山カレー事件」などとして知られる殺人,同未遂,詐欺被告事件の控訴審判決である。
本件公訴事実は,夏祭りに提供されたカレーに砒素を混入して67名を急性砒素中毒に罹患させ,うち4名を死亡させたという殺人,同未遂(カレー毒物混入事件),保険金詐欺目的で夫及び知人ら...
《解 説》
1 本件は,平成15年11月9日に施行された衆議院議員の総選挙(以下「本件総選挙」という。)のうち東京都第1区における小選挙区選出議員の選挙(以下「本件選挙」という。)について,その選挙人であるX(原告・上告人)が,①本件総選挙に係る小選挙区選出議員の選挙区割りを定めた公職選挙...
《解 説》
1 本件は,Xら夫婦が,胎児が骨盤位(いわゆる逆子)であることなどから帝王切開術による分娩を強く希望する旨を担当医に伝えていたにもかかわらず,担当医が骨盤位の場合の経膣分娩の危険性や帝王切開術との利害得失について十分説明しなかったため,Xらが分娩方法について十分に検討した上で意...
《解 説》
1 本件は,不当利得返還請求事件において,民法703条所定の「損失」の発生の有無が争われた事案である。
2 Aは,X銀行に対し,定期預金債権等合計約4437万円の預金債権を有していたところ,平成10年3月に死亡した。Aの相続人は,前夫との間の子であるBと後夫との間の子であるY...
《解 説》
1 本件は,亡夫が購入したマンションの専有部分(本件マンション)の寝室から出火した火災(本件火災)について,室内に設置された防火戸(本件防火戸)の電源スイッチが切られており,本件防火戸が作動しない状態で引き渡されたことから,本件火災による延焼等の損害を被ったなどと主張して,亡夫...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Xは,Yにタクシー乗務員として雇用されている者であるが,①Xが平成14年8月から同16年4月までの間に有給休暇を取得した月(以下「有給休暇取得月」という)の賃金(以下「本件賃金」という)に関するYの算定方法は,有給休暇中の賃金について所定労...
《解 説》
1 原告は,被告を通じて飛栄産業株式会社(以下「飛栄産業」という。)から飛栄産業が新築したビル(以下「本件ビル」という。)の一部を持分として取得するとともに,被告と信託契約を締結して,被告が信託契約上の受託者となり,ビルの持分の取得者が受益者になるという商品(以下「本件商品」と...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 平成11年11月10日午前2時ころ,患者X(昭和19年生まれの女性)は,右半身麻痺と言語障害を訴え,救急車でY病院に搬送された。Y病院当直医Aらは,Xを一過性脳虚血発作(TIA)と診断したが,Xを入院させることなく帰宅させた。また,このとき,A医師らは...
《解 説》
1 本件は,Xが,Yとの間で締結していた自家用自動車総合保険契約(本件保険契約)の被保険自動車(本件自動車)につき,その管理及び使用をNに任せていたところ,Nが本件自動車を使用中,その運転を誤って海に水没させたため,本件自動車は全損となってしまったと主張して,Yに対し,本件保険...
《解 説》
1 X(原告,被控訴人)は,夫である債務者Aと別居中であったため婚姻費用分担の調停を申立てたところ,平成6年7月,AがXに対し婚姻費用分担金として月額12万円を支払う等の調停が成立した。しかし,その後Aが同債務の一部しか履行しなかったため,Xは,平成14年7月,Aを債務者,当時...
《解 説》
1 本件は,公園の中の木に首を吊り,胸部を刺されて死亡していた当時39歳の男性について,その父親である被告人(当時71歳)が殺人罪に問われた事案である。本件においては,被告人の自白や現場の状況等から,被害者の承諾に基づいて殺害したことが窺えたが,検察官は,その承諾は,被告人が追...