最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,Yに対して病院開設の許可申請をしたXが,Yから病院開設を中止するよう勧告されたため,その取消しを請求した事案である。
2 Xは,富山県高岡市内において病院の開設を計画し,Yに対し,平成9年3月6日付けで,病床数を400床とする病院開設に係る医療法7条1項の許可の申...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Xら297名はいずれも国鉄に勤務し,国鉄労働組合(以下「国労」という)に所属していた者及びその相続人であり,Yは,国鉄,鉄建公団の権利義務を承継した法人である。Xらは,昭和62年4月1日,国鉄の分割・民営化の際,JRに採用されず,国鉄から移...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,我が国において有名な日本語ワープロソフト「一太郎」及び統合グラフィックソフト「花子」の製造販売等の差止め訴訟の第一審判決(東京地判平17.2.1判タ1175号120頁)に対する控訴審判決として,報道等において大きく取り上げられた事件である。
Xは,「...
《解 説》
1 本件は,貸金業者であるY(被上告人)との間で,長期間,多数回にわたって,借入れと返済を繰り返していた債務者X(上告人)が,Yに対し,①Yに対する返済額を利息制限法に従って引き直して計算すると過払金が生じたと主張して,不当利得返還請求権に基づき,過払金の支払を求めるとともに,...
《解 説》
1 本件は,平成15年11月9日に施行された衆議院議員の総選挙のうち東京都第4区における小選挙区選出議員の選挙(以下「本件選挙」という。)について,その選挙人であるX(原告,上告人)が,公職選挙法の規定は投票価値の平等を保障した憲法に違反するなどと違憲の主張をして公職選挙法20...
《解 説》
1 本件は,固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格についての固定資産評価審査委員会の決定(以下「審査決定」という。)の取消訴訟であり,審査決定を違法として取り消す場合の取消しの範囲が問題となった事件である。
本件の事実関係等の概要は,次のとおりで...
《解 説》
1 本件は,我が国からの外国公機関に対する照会に関する文書について,文書提出命令の申立てがされ,当該文書の提出により民訴法223条4項1号の「他国との信頼関係が損なわれるおそれ」があることを理由として当該文書が同法220条4号ロ所定の文書に該当する旨の監督官庁の意見に相当の理由...
《解 説》
1 本決定の理解のためには,事実関係を押さえる必要があると思われるので,やや詳しくなるが,2審判決の認定した本件の経過について概略説明する。
被告人は,昭和58年ころから,有限会社ライフスペースの代表取締役として自己開発セミナーを開催するなどしていたが,平成7年に起きたセミナ...
《解 説》
1 本件は,数名の従業員を使って,登録を受けないで貸金業を営んでいた被告人が,多重債務者等に対し,融資を持ち掛けて少額の融資を繰り返すなどして,高利を取得し,その返済に係る元金及び利息を架空人名義の預金口座に振り込ませて架空人が取得したように仮装して,貸金業法の規制等に関する法...
《解 説》
1 本件は,農業協同組合の組合長で県議会議員の一般選挙に立候補を予定していた被告人が,対立候補の支援者で農協と関係の深い農業共済組合の幹部職員であるAに対し,対立候補を応援するなら共済組合をやめろと怒号するなどして威力を加えるとともに,農協と共済組合の特殊の利害関係を利用して威...
《解 説》
1 本件は,来日中国人による強盗致死等の事案であるが,被告人は,実際より1年繰り上げた生年月日が記載された旅券で入国し,それによれば,起訴時点で,既に20歳であったため,成人として,通常の手続により起訴された(以下「前件」という。)。前件第1審は,山形地裁で行われたが,審理が相...
《解 説》
1 本件は,被告人による覚せい剤の自己使用の事案であり,被告人の尿の採取及び押収等の経過に問題があるとして,被告人の尿の鑑定書等の証拠能力が争われた。
被告人の尿の入手経過に関する事実関係は,判文を参照されたいが,それを要約すると,国立病院A医療センターに所属する担当医師が,...
《解 説》
1 国民年金法(昭和56年法律第86号による改正前のもの。以下「旧法」という。)7条1項は,国民年金の被保険者資格等について,いわゆる国籍要件を設けて,日本国籍を有しない者を除外していた。その後,難民の地位に関する条約を批准したことに伴い制定された難民の地位に関する条約等への加...
《解 説》
1 本件は,Xが9歳から11歳(平成9年から11年)のころまで,養父であったYからわいせつ行為,姦淫行為を受けたとして,Yに対し,不法行為による損害賠償請求権に基づいて,慰謝料を請求した事案である。
Yは,わいせつ行為等を否認した上,本訴提起時(平成15年5月6日。これに先立...
《解 説》
1 本件は,新東京国際空港(現・成田国際空港)において上陸を禁止された外国人(上禁者)に対し,当該外国人を出入国管理及び難民認定法59条の規定に従い本邦外の地域に送還するまでの間,その警備を担当した警備会社の従業員が不法行為を行った場合に,その被害を受けた上禁者(X1及びX2)...
《解 説》
本件は,交通事故により死亡した被害者(当時高校3年)の両親ら(Xら)が,加害者及び保険会社(Yら)に対し,不法行為に基づく損害賠償請求をした事案である。
Xらは,被害者の死亡逸失利益につき,定期金賠償を求め,予備的にも一時金賠償を求めなかった。Xらは,定期金賠償を求める理由と...
《解 説》
1 X1は,平成3年1月19日,Yの経営するA病院において,帝王切開手術によりX2を出産したが,X2は,出生時,心肺が停止し,自発呼吸がないため,A病院で治療を受けた後,同年3月,B病院に転院して治療を受けたが,脳性麻痺の後遺障害が残り,終生介護を要する状態になってしまった。
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《解 説》
1 Xは,平成8年7月4日,下腹部痛が出現したとの主訴により,Yの経営するA病院の救急外来を受診したところ,急性虫垂炎の疑いがあると診断され,経過観察をするため,A病院に入院した。
翌7月5日,Xには強度の腹膜刺激症状が見られたため,A病院の医師は,急性腹症として緊急手術をす...
《解 説》
1 本件は,Xが,Yに対し,YがXを相手取り特許権に基づく差止請求権を被保全権利として仮処分命令申立てをし,仮処分命令を得てその執行をした後に,上記特許権に係る特許を無効とする審決が確定したため,違法な仮処分命令の執行により損害を受けたと主張して,不法行為に基づく損害賠償等を求...
《解 説》
1 本件は,布団用除湿具に係る意匠権(本件登録意匠)を有していたXが,Yの販売した布団用除湿具が,Xの有していた意匠権(登録料不納により権利消滅している。)を侵害するものであったと主張して,Yに対し,損害賠償を請求した事案である。
Yは,自己の販売する布団用除湿具はいずれもX...
《解 説》
本件は,前身頃にフリルの配されたノースリーブ型のカットソーを販売する原告が,同種のカットソーを販売する被告に対し,被告商品が原告商品の形態を模倣したものであると主張して,不正競争防止法2条1項3号,4条に基づく損害賠償を請求した事案である。原告と被告はいずれも独自のブランドで1...
《解 説》
1 Yは,健康保険法に基づく健康保険組合であり,同法45条(平成14年法律第102号による改正前。現行法の99条に相当する。)所定の傷病手当金の給付に関する権限を有する者であり,Xは,Yの組合員であった者である。
X(事故当時47歳)は,タクシー運転手としての業務に従事中,事...
《解 説》
本件は,木造居宅に放火することを決意した者が,居宅内の廊下や玄関板張り床上等に灯油を散布した上,玄関前屋外で,手に持った新聞紙にライターで点火したが,その段階で,通行人に新聞紙をはたき落とされたため,玄関床等への点火行為には至らなかったという事案について,現住建造物等放火未遂罪...