最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
第1 事案の概要
1 Xらの子であるA(当時9歳)は,Yの過失によって発生した交通事故(以下「本件事故」という。)により死亡した。
Xらは,本件事故によるAのYに対する損害賠償請求権を法定相続分である各2分の1の割合で相続により取得した。本件においては,損害賠償額の算定に当...
《解 説》
1 本件の事案の概要及び公判の経過等
(1)事案の概要は,判決の認定によると,被告人が,勤務先病院に平成10年11月2日から気管支喘息重積発作に伴う低酸素性脳損傷で意識が回復しないまま入院中の当時58歳の男性患者に対し,自分が考える「自然なかたち」で看取りたいとの気持ちをいだ...
《解 説》
1 本件は,大阪証券取引所の副理事長(本件の該当期間の前半は専務理事)であった被告人が,同取引所が開設する有価証券市場に上場されている株券オプションにつき,投資家にその取引が繁盛に行われていると誤解させようと企て,同取引所の職員数名と共謀の上,①252回にわたり,A社又はB証券...
《解 説》
1 本件の2つの判決は,いずれも,山口組系暴力団五菱会の関わる闇金融組織の関係者による法定外利息の受領又はマネーロンダリング(資金洗浄)の事件について,同一の裁判所(東京地裁刑事第8部)が言い渡したものである。組織犯罪処罰法に基づく犯罪収益等の没収・追徴の可否が問題となり,次の...
《解 説》
1 事案の概要
消費税法は,国内で仕入れた商品を輸出した場合は,仕入代金に課税された消費税(控除不足還付税額)を還付するものとしている(同法7条,45条1項5号,7号,46条,52条,53条)。
被控訴人X(以下「X」という。)は,電子機器等の輸出取引(以下「本件輸出取引」...
《解 説》
1 本件は,原告(仙台市民オンブズマン)が,宮城県情報公開条例(以下「県条例」という。)に基づき,「宮城県警刑事部,交通部,警備部の報償費支出に関する一切の資料(平成11年度)」につき開示請求をしたところ,被告(宮城県知事)は,非開示事由を定める県条例8条2号(個人識別情報),...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Xは,従業員約6000名を擁するコンピューター関連の会社Yの金融営業本部長として取締役(6名),執行役員(20名)に次ぐ地位にあったものであるが,Yから,平成15年7月17日に,部下の女性従業員に対しセクシュアル・ハラスメント行為(以下「セ...
《解 説》
1 本件は,①Y1会社の女性従業員であったXが,当時の上司であったY2から,「性的嫌がらせ」(いわゆる「セクシュアル・ハラスメント」)行為をされ,そのため退職を余儀なくされたとして,不法行為に基づき,Yらに対し,連帯して,慰謝料,逸失利益等の損害賠償を請求するのに対し(甲事件)...
《解 説》
1 事案の概要
Xは,Yが開設するAクリニックにおいて豊胸術を受けることにし,いずれもB医師の執刀によって,合計5回にわたって手術を受けた。
Xは,1回目は経腋窩大胸筋下食塩水バッグ挿入術を受け,その後,大胸筋下再剥離の上でバッグ入替術を受けてバッグの大きさを変更したものの...
《解 説》
1 本件は,ニキビ痕のレーザー治療術(レーザーをニキビ痕とその周囲に照射して皮膚に損傷を与えることにより再組織化を促すもので数回の施術が必要である)を受けたホステスとして稼働するXが,長期間にわたって顔に赤みなどが生じ仕事の復帰が遅れたとして,施術者であるYに対し,(1)本件施...
《解 説》
本件は,がんに罹患していた患者Aが,Y1が開設するY1病院に入院中に自殺したものであるところ,同病院に勤務し,Aの主治医であったY2医師及びY3医師において,①速やかにAに対し検査結果及び治療方針を説明しなかった適時説明義務違反及び②Aに対するがん告知の際に告知方法配慮義務違反...
《解 説》
1 訴外Aは,平成5年3月8日,Yの開設するB病院で胃痛,悪心等を訴えて診察を受けたところ,胃癌と診断されたため,B病院に入院し,同月17日,胃の切除手術を受けた。
Aは,同年4月6日,経過が順調であるとして退院を許可されたため,帰宅することにしたが,途中うどんを食べたところ...
《解 説》
1 Xは,平成11年7月2日,Yの経営する産婦人科医院において,父A,母Bの子として出生したが,早発型敗血症及び髄膜炎に罹患し,重度脳機能障害及び精神発達遅滞等の後遺症が残った。
そこで,Xは,Yが,Xの出生後十分な観察を行わず,Xに敗血症を疑うべき症状が発現しているのにこれ...
《解 説》
1 X(昭和24年生)は,平成3年6月1日,左乳房腫瘤を訴えて,Yの経営するA病院で受診したところ,乳頭腺管癌であると診断されたため,同月7日,A病院に入院し,乳癌の摘出手術(以下「本件手術」という。)を受けた。
その後の平成3年10月2日,身体の異常を訴えて他の病院で受診し...
《解 説》
1 訴外A女は,平成6年1月,Yの開設経営する「下館市民病院」(以下「B病院」という)で診察を受けたところ妊娠6週6日,出産予定日9月8日と診断され,それ以後B病院で定期検診を受けるなどして順調に経過してきた。
そして,Aは,同年8月30日午前,B病院で診察を受けたところ,特...
《解 説》
1 亡Aは,もと助産婦会会長を務めていた人物であり,X1及びX2は亡Aの実子,Yは亡Aの異母妹である。亡Aは,平成10年,いずれも弁護士であるX3及びBの立会のもと,公正証書遺言をし,X3を遺言執行者に指定した。同遺言は,遺産の大半をX1,X2に相続させるほか,2000万円をY...
《解 説》
1 X1は,建築資材等の販売を業とする会社,X2は,木製サッシの製造・販売等を業とする会社であり,Yは,建築材料の開発・改良,建築材料及び構造・工法の提案等を行っている。Xらは,ある木製カーテンウォール工事を受注するため,共同して開発を行い,その設計図(本件設計図)を作成して元...
《解 説》
1 本件は,日本法人であるAに資金を融資したXが,外国法人であるY(日本国内に事務所等を有しない。)に対し,Aの同債務の一部についてグループ会社としてYが保証(本件保証)したとして,保証債務の履行を求めた事案であり,XはAとYを共同被告として訴えを提起したが,Yは,本件保証した...
《解 説》
1 事案等の概要について
本件は,いわゆるファイナンス・リース契約におけるリース業者であるXが,ユーザーであるYに対し,Yにつき民事再生手続開始の申立てがされたことがリース契約上の解除事由に当たり,Xのした解除の意思表示により同契約が終了したとして,未返還のリース物件の引渡し...
《解 説》
本件は,判文中「量刑事情」欄冒頭に要約されているとおり,平成10年から平成13年にかけて,被告人が,バイク窃盗,暴走族の暴走行為,これに関連する身代り作出,いわゆる美人局による恐喝,無断での他人の住民異動とこれに基づく国民健康保険被保険者証の詐取(一部未遂),車両窃盗とこれを用...
《解 説》
1 本件は,「加江田塾ミイラ事件」として世間を騒がせた事案である。概要は次のとおりである。被告人両名は,全国各地でセミナーを開いて悩み事の相談に乗る「加江田塾」という団体の主宰者とその活動を補佐する内妻である。本件の被害者は2名で,1名は難病に罹患した6歳の男児,もう1名は重度...