最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,貼用印紙の不足を理由に訴状一部却下命令を受けたXからの抗告を棄却した原決定について,Xから最高裁に許可抗告がされた事案である。本件の争点は,Xの貼用した印紙に不足があるかどうかであるが,その判断の前提として,本件の本案訴訟に係る各請求が行政事件訴訟法13条6号所定の...
《解 説》
1(1)本件は,被告人らが,自衛隊のイラク派遣に反対する趣旨のビラを防衛庁立川宿舎各室玄関ドア新聞受けに投函する目的で,管理者及び居住者の承諾を得ないで,同宿舎の敷地に立ち入った上,同宿舎の建物の階段1階出入口から4階の各室玄関前まで立ち入ったことが住居侵入罪に問われたものであ...
《解 説》
1 被告人は,覚せい剤取締法違反の事実で勾留の上,起訴された。被告人の父親は,第1回公判前に被告人の保釈を請求したが却下された。
この裁判に対し,父親が準抗告を申し立てたところ,原裁判所は,「申立人は刑訴法352条所定の『決定を受けたもの』には当たらないから,同法429条1項...
《解 説》
1 Xは,父から贈与されたゴルフ会員権を第三者に譲渡し,その譲渡所得の金額の計算において,贈与を受けた際にゴルフクラブ経営者に支払った名義書換手数料の額を所得税法38条1項にいう「資産の取得に要した金額」に算入して所得税の確定申告をした。Yは,この名義書換手数料の額は「資産の取...
《解 説》
1 本件は,警視庁警察官による単純収賄(刑法197条1項前段)の事案である。被告人は,当時,警視庁警部補として調布警察署地域課に勤務し,犯罪の捜査等の職務に従事していたが,公正証書原本不実記載等の事件につき警視庁多摩中央警察署長に告発状を提出していた者から,同事件について,告発...
《解 説》
1 本件は,少年保護事件の抗告裁判所において,非行事実の認定に関し家庭裁判所で検討していない点について事実の取調べを行ったことが,合理的な裁量の範囲内にあるかどうか争われた事案である。
2 原決定によれば,本件の審理経過は,以下のようなものである。
(1)本件少年は,外9名...
《解 説》
1 A市は,食肉センターを新設するにあたり,付近の河川を漁場として,のり等の養殖漁業を行っていた漁業協同組合の組合員全員との間で,同組合員らが,食肉センターの建設及び創業に伴い処理水を放流することに同意すること,同組合員らが漁業権等を放棄して漁業を廃止し,漁業協同組合を解散する...
《解 説》
1 本件は,地方公務員でありT地方自治体のN事務所係長であったX(当時33歳)が,平成10年8月1日,上司である同事務所長(以下「A所長」という。)から性的暴行を受けた(以下「本件性的暴行」という。)上,その後もA所長の下で公務に従事し続けたこと(以下,本件性的暴行とその後の公...
《解 説》
本件は,平成15年法第136号による貸金業規制法の改正法施行前において,無登録で貸金業を営んでいた被控訴人が,控訴人との間で締結した,月利1割の利息を約した金銭消費貸借契約,あるいは同様の利息を約した貸金債務についての連帯保証契約に基づいて,残元金のみの支払を求めたのに対し,控...
《解 説》
1 本件は,抵当証券取引業者(大和都市管財)から抵当証券の共有持分を証する証券(いわゆるモーゲージ証書)を購入した原告らが,ゴルフ場の敷地及び施設建物についての抵当証券交付申請書に添付することを目的として不動産鑑定士らが行った不動産鑑定につき,不動産鑑定士として負うべき注意義務...
《解 説》
1 本件は,出産後に母子ともに死亡した事故について産科婦人科医の責任が問われた医療過誤訴訟である。裁判所は,医師による診療録等の改ざんや看護婦に対する偽証教唆などの証明妨害行為を認定しながら,母親の死亡に対する医師の過失責任を否定したが,上記証明妨害行為は遺族に対する説明義務違...
《解 説》
1 訴外乙子(昭和20年生)は,平成9年10月2日,鼻閉を訴えてYの経営する「帯広厚生病院」で受診したところ,両側慢性副鼻腔炎及び鼻茸と診断されたため,平成10年2月5日,鼻茸切除術等の手術(以下「本件手術」という。)を受けた。
しかし,本件手術後,乙子には,瞳孔左右不同の症...
《解 説》
1 X(大正15年生)は,平成元年2月,Y(静岡市)の設置する「静岡市立静岡病院」における腹部CT検査及び同造影CT検査の結果,肝臓に腫瘤陰影が認められ,肝癌等の悪性腫瘍の疑いがあったため,同年3月,同病院において腹部血管造影検査(以下「本件検査」という。)を受けた。
しかし...
《解 説》
1 訴外Aは,平成6年4月ころから,肩凝り,高血圧等の症状で病院に通院し,治療を受けていたが,その後も発熱,頭痛,痒みの症状が続くため,平成8年4月1日,Yの開設する「国立名古屋病院」で受診した。そして,同病院では,薬疹の疑いがあり,膠原病についても精査する必要があると診断され...
《解 説》
1 本件は,82歳の女性のXが,約4年前に養子縁組をした僧侶であるY1とその妻であるY2に対し,離縁を求めた事案であり,その争点は,(1)養子縁組を継続し難い重大な事由があるか否か,(2)有責当事者の請求として本件離縁の請求が権利の濫用となるか否かである。
2 本判決が認定し...
《解 説》
1本件は,日本債権信用銀行(特別公的管理を受け,平成13年1月4日あおぞら銀行に商号変更した。以下「日債銀」という。)から債権を譲り受けた原告が,日債銀の取締役であった被告らに対し,被告らの行った日債銀の系列ノンバンクへの支援計画の策定とこれに基づく融資の実行につき,善管注意義...
《解 説》
本件は,被告との間で国際海上運送契約を締結し,貨物を運搬したと主張する原告が,被告に対し,主位的には,国際海上物品運送契約に基づき,荷送人である被告に対し,予備的には,国際海上物品運送法20条1項で準用する商法753条に基づき,現地代理店を通じて貨物を受け取った被告に対し,未払...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 「VOGUE」は,アメリカ合衆国において100年以上にわたり販売され続けている世界的に知られたファッション雑誌であり,米国法人X1及びその関連会社が世界各国版を発行し,我が国においても,昭和24年ころから米国版「VOGUE」を発刊していた。日本法人X2...
《解 説》
1 本件は,火災保険金等を取得する目的で,被告人Aの所有する建物に放火した上,その事実を隠して火災保険会社等に保険金等を請求してこれを受領したとして,首謀者とされた被告人A及び実行犯とされた被告人Bが非現住建造物等放火,詐欺の各罪に問われたものである。被告人両名は,捜査公判を通...
《解 説》
1 いわゆる地下銀行とは,銀行の免許を受けずに,やみで海外への送金等を請け負う組織のこととされている。銀行を通す正規の送金では,送金者の身元,送金先銀行などが確認され,資金の流れも把握することができるが,地下銀行では,偽名の使用等により送金者の正確な記録を残さずに送金を行い,資...