最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 事案の概要
本件は,大韓民国籍の外国人であり,日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法に定める特別永住者として我が国に在住するX(控訴人,被上告人)が,昭和63年4月,Y(被控訴人,上告人)に保健婦(その後,保健婦助産婦看護婦法の一部...
《解 説》
1 本件は,いわゆるストックオプションの権利行使益の所得税法上の所得区分が争われた事件である。ストックオプションの権利行使益の所得区分をめぐっては多数の訴訟が提起されているが,本件はこれらのうち最高裁に係属した最初の事件である。本判決は,ストックオプションの権利行使益が給与所得...
《解 説》
1 A社は,乳酸菌飲料等の製造販売を主たる業とする株式会社であるが,資金運用業務の担当取締役であるY1の指示のもと,投機性の高いデリバティブ取引を行い,平成5年5月から同10年3月までの間に行われたデリバティブ取引(以下「本件取引」という。)によって,A社は約533億2046万...
《解 説》
1 本件は,Y保険会社との間で多数の積立普通傷害保険契約等の保険契約を締結していた破産者Aの破産管財人Xが,Y保険会社に対し,破産宣告後に満期が到来した満期返戻金及び破産宣告後に解約により停止条件が成就した解約返戻金の履行を求める事案である。これに対し,Y保険会社は,Aが破産宣...
《解 説》
1 本件は,いわゆる狭山事件の第2次再審請求の特別抗告事件である。
申立人は,昭和38年5月1日,埼玉県狭山市内において,自転車で下校途中の女子高校生を雑木林に連れ込み,同女を強姦,殺害して腕時計,財布,万年筆等を強取し,同女の死体を一時付近の芋穴に隠した後,かねて用意してい...
《解 説》
1 本件は,納税者から所得税の申告を委任された税理士が脱税行為を行った事案において,当該納税者に対してされた重加算税賦課決定及び過少申告加算税賦課決定の適否が争われた事件である。
2 本件の事実関係の概要は,次のとおりである。
(1) 大学教授をしていたX(原告,控訴人,被...
《解 説》
1 本件は,交通事故により後遺障害を負ったXが,加害者であるYに対し,民法709条に基づき損害賠償を請求した事案であり,不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算点が争点となったものである。
Xは,平成8年10月14日,Yの過失による交通事故で負傷し,これが原因で右膝の神...
《解 説》
1 本件は,事後強盗における「窃盗の機会の継続性」が問題となった事案である。事案の概要は判示にも要約されているとおりであり,留守宅に侵入して財布等を盗んだ犯人が,だれからも発見,追跡されずに現場を離れ,自転車で1km離れた公園に行き,現金を数えると思ったより少なかったため,もう...
《解 説》
1 本件は,死刑の量刑の是非が争点となった殺人,窃盗被告事件の上告審判決であり,事件の概要は次のようなものである。被告人は,かつて被害者に対する強姦致傷等とこれを主にした恐喝未遂に及び,被害者が警察に届け出て逮捕され懲役7年に処せられたが,これを深く恨み,出所した暁には被害者を...
《解 説》
1 本件は,平成15年11月9日施行の衆議院議員総選挙に際し,宮城県第1区又は同県第2区における民主党公認候補の支援組織となった労働組合の幹部である被告人らが,共謀の上,(1)民主党において小選挙区選出議員選挙の候補者かつ比例代表選出議員選挙の衆議院名簿登載者として届出をする予...
《解 説》
1 事案の概要
患者Xは,平成11年8月13日午後6時30分ころ,身体の震え,咽頭部痛等を訴えて,Y1が運営する被告甲病院を受診したところ,同病院の医師から,感冒,咽頭炎,扁桃炎との診断を受け,抗生物質等の投与を受け,一旦帰宅した。その後,Xは,呼吸困難を覚えて,同日午後9時...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 本件は,株式会社ダスキン(ダスキン)が,食品衛生法に違反して,人の健康を損なうおそれのない場合として厚生大臣(当時)が定めていない添加物であるt-ブチルヒドロキノン(TBHQ)を含む「大肉まん」を販売し,その事実が新聞報道されたことなどから,ダスキンの...
《解 説》
1 本件は,Xの妻Aが,病院に入院して胸腺摘出・気管切開の手術を受けたが,心電図検査を行った技師がベッドを倒した際,Aの人工呼吸器が外れて呼吸不全に陥り死亡したと主張し,積立家族傷害保険契約(以下「本件保険契約」という。)を締結していたY保険会社に対し,死亡保険金300万円の支...
《解 説》
本件は,女性の被告人が,酔った被害男性の胸部付近を両手で押し,手指を同人の左眼に当てるなどの暴行を加えて左眼眼球破裂の傷害を負わせたとして一審で有罪とされた事案について,被告人が故意に手指を同人の左眼に当てるという暴行に出た事実は認めることができないが,手で同人の胸か肩の辺りを...