最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 事案の概要
本件は,仮処分申立て当時すでに債務者の発行済株式総数の約35パーセントの割合を保有する株主であった債権者が,ラジオ放送事業を行う株式会社であり,その発行する普通株式を東京証券取引所第2部に上場している債務者に対して,そのすべてが行使されると従来の発行済株式総数...
《解 説》
1 本件は,交通事故により死亡した被害者の遺族が提起した損害賠償請求訴訟であり,損害額の算定等が争点とされた。
事実関係及び訴訟の経過の概要は,次のとおりである。
(1) 被害者Aは,平成11年2月24日,横断歩道上で自動車に衝突される交通事故により死亡した。Aは,当時43...
《解 説》
1 本件は,火災保険契約の約款に基づき火災保険金の支払を請求する者が,火災発生が偶然のものであることについて,主張立証責任を負うか否かが問題となった事件である。
2 ①Xは,Y保険会社との間で,自己所有の店舗兼住宅用ビル等を保険の目的として店舗総合保険契約を締結した。②同保険...
《解 説》
1 本件は,受刑中の者が,刑の執行猶予言渡しの取消決定に対して約3年後に不服申立てをした事案である。
本件では,判示事項との関係で次のような経緯があった。すなわち,申立人からの即時抗告を棄却した高裁の決定は,平成16年7月15日に刑務所で服役中の申立人に送達された。これに対し...
《解 説》
1 本件は,不動産を目的とする1個の抵当権が数個の債権を担保し,そのうちの1個の債権のみについての保証人が当該債権に係る残債務全額につき代位弁済した場合において,当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときには,債権者が保証人に優先して上記売...
《解 説》
1 本件は,被相続人の有していた預貯金につき,同人の死亡後に非嫡出子が払戻しを受けたことを巡り,被相続人の妻及び2人の嫡出子が,当該非嫡出子に対し,自己の相続分を超える分について不当に利得をしたと主張して不当利得金の支払を求めた事件である。上告審では,不当利得金の額に関して,非...
《解 説》
1 いずれも弁護士であるXとその配偶者Aは,同居し生計を同じくしているが,別々に業務を行い,経理処理も別にしている。Xは,その営む弁護士業にAが従事したとし,その労務の対価として支払った報酬を自己の事業所得の金額の計算上必要経費に算入して所得税の申告をした。Yは,XとAとの間の...
《解 説》
1 本件は,福井県(以下「県」という。)の住民であるXら(原告,控訴人,上告人)が,県の旅費の支出について,公務出張の事実がないのに支出された違法なものがあるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第1項4号に基づき,県に代位して,当時,上記旅費...
《解 説》
1 本件は,平成5年3月に締結され,賃料額を2年ごとに5%値上げする旨の賃料自動増額特約が付されたいわゆるサブリース契約において,①賃借人であるX(上告人)が,平成11年4月以降の賃料及び平成13年4月以降の賃料について,借地借家法32条1項に基づく賃料減額請求権を行使して,賃...
《解 説》
1 本件は,遺産分割事件において,共同相続人の1人を死亡保険金の受取人とする養老保険契約に基づく死亡保険金請求権が特別受益ないしこれに準ずるものとして持戻しの対象となるかが争われた事案である。
2 抗告人ら3名及び相手方の父と母は相次いで亡くなった。抗告人らは父及び母をそれぞ...
《解 説》
1 本件の事案の概要は次のとおりである。ノンフィクション作家である原告は,数回にわたり,防衛庁長官に対して情報公開法に基づく行政文書開示請求を行い,その際,氏名,住所,電話番号等を記載した行政文書開示請求書を提出したほか,原告の手続を担当した防衛庁職員に対して,「私もジャーナリ...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。K地方労働委員会は,Y労働組合等がX旅客鉄道会社を被申立人として申し立てた不当労働行為救済申立事件につき,Xが,①平成2年7月1日付けでY労組T駅分会所属の副分会長AをT駅からT第二ベンディング事業所に配置転換したこと,②平成3年2月9日付...
《解 説》
1 本件は,Yから語学レッスンに関する登録ポイント(600ポイント)を購入したXが,購入の際のY担当者の説明と実際の精算方法に齟齬があるなどとして,当該レッスンポイントの購入契約(本件契約)につき,詐欺を理由にこれを取り消すとか,錯誤により無効であると主張し,また,特定商取引に...
《解 説》
1 本判決は,対向車線に進出してきた加害車両と衝突し,硬膜下血腫,脳挫傷,びまん性軸索損傷等の傷害を負った被害車両の運転手であるXが,加害車両の保有者であり,かつ,加害車両の運転手を雇用しているYに対して自動車損害賠償保障法3条及び民法715条に基づき損害賠償を請求した事案であ...
《解 説》
1 X(昭和19年生)は,平成元年,会社勤めをやめて喫茶店の経営をはじめたものであるが,平成4年1月10日,軽貨物自動車を運転中,後方から右側追い越しをしようとしたY1の運転する小型貨物自動車に衝突され,頚椎捻挫,頭部打撲等の傷害を負い,即日,救急車でA病院に入院した。
Xは...
《解 説》
1 事案の概要等
訴外Aは,四肢の感覚障害等が生じたため平成10年8月24日に被告国が開設するY病院整形外科へ入院したが,諸検査の際,偶然に肺に癌の疑いのある陰影が発見された。そこで,Aに対し,主治医であるY病院整形外科のB医師は,同年9月8日,四肢の感覚障害の治療のための頚...
《解 説》
1 Xは,広告会社の営業部副部長代理の地位にあったが,平成10年8月,Y1(会社)の経営するフィットネスサロンの会員として入会し,同年10月,Y1の委任を受けて医療類似行為を業としているY2(会社)の治療室内において,Y2の社員であるマッサージ師Y3から整体アジャストメント・頸...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,柔道整復師の免許取得の専門学校(Y1学校法人)に在籍していたX1が,同学校の教育課程の一環として参加した,区柔道会(Y2)主催の柔道大会(本件大会)の試合(本件試合)において,対戦相手(A)に背負い投げの技をかけようとした際,倒れ込み,第4,第5頚椎脱...
《解 説》
1 X及びYは,コンピュータソフトウェアの開発等を業とする会社であり,両者とも,ユーザーの作成したデータベースのデータと表計算ソフトウェアで作成する表などを相互に関連させる機能を有するソフトウェアを製造している(以下,それぞれ「Xソフトウェア」,「Yソフトウェア」という。)。
...
《解 説》
1 原告(キタムラ機械株式会社)及び被告(株式会社北村製作所)は,工作機械の製造,販売等を目的とする会社である。原告と被告は,平成12年1月31日,標章「KITAMURA」(本件標章)について,被告は,本件標章及びこれに類似する標章を,日本国その他一切の国及び地域において,今後...
《解 説》
1 本件は,パキスタン国籍の被告人が,在留期間更新の許可申請をした上で,在留期間経過後も本邦に残留し,申請の約2年10か月後に不許可決定がなされたもののこれが被告人に到達していないという事案において,不許可決定発送のころ以降の在留が不法残留罪に問われた事案である。
不法残留罪...