最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,平成元年法律第86号による改正によって学生が国民年金法の強制適用を受けるようになる前の時代に,国民年金法に任意加入をしないまま障害を負い,国民年金の被保険者資格がないことを理由に障害基礎年金支給裁定申請を拒否する処分(以下「本件不支給処分」という。)を受けたXらが,...
《解 説》
1 本件は,生活保護を受けながら積み立てた学資保険の満期保険金の一部を収入として認定され,生活保護法(平成9年法律第124号による改正前のもの。以下同じ。)に基づき生活保護費減額変更処分を受けた被保護世帯に属するX1及びX2が,処分行政庁であるY(福岡市東福祉事務所長)に対して...
《解 説》
1(1) 本件は,本邦に不法に上陸してから9年余経った後に難民認定を申請したミャンマー出身の原告について,被告法務大臣が,当該難民認定申請(本件難民申請)は,出入国管理及び難民認定法(以下「入管難民法」という。)61条の2第2項本文の申請期間を経過してされている上,同項ただし書...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,ほぼ10年間にわたり,約半年毎に貸金業者から借換を続けてきた借主が,貸金業者に対し,弁済金を利息制限法に従い元本に充当すると,過払い金があるとして,その返還を請求した事件である。貸金業者は,みなし弁済の要件である貸金業法17条書面及び18条書面の交付が...
《解 説》
1 本件は,公文書非開示処分の取消訴訟における原告の死亡と訴訟の帰すうが問題となった事件である。
鹿児島県(以下「県」という。)の住民である原告ら19名は,旧鹿児島県情報公開条例(昭和63年鹿児島県条例第4号。平成12年鹿児島県条例第113号による全部改正前のもの。以下「本件...
《解 説》
1 本件は,預託金会員制のゴルフクラブが設けられているゴルフ場の営業譲渡がされ,譲渡人が用いていたゴルフクラブの名称を譲受人が継続して使用している場合,譲受人が,商法26条1項の類推適用により,会員が譲渡人に交付した預託金の返還義務を負うか否かが争われた事案である。
2 A社...
《解 説》
1 本件は,被告人両名が,被害者を事故死に見せ掛けて殺害し生命保険金を詐取しようと企て,外3名の実行犯と共謀して被害者を殺害したという,殺人の事案である。実行犯の殺害計画は,被害者を自動車内に誘い込み,クロロホルムを吸引させて被害者を失神させた上,被害者を港まで運び自動車ごと海...
《解 説》
1 本件の判旨に関係する傷害致死の事案は,大要次のようなものである。
被告人は,外数名と共謀の上,被害者に対し,その頭部をビール瓶で殴打したり,足蹴にしたりするなどの暴行を加えた上,共犯者の1名が底の割れたビール瓶で被害者の後頚部等を突き刺すなどし,同人に左後頚部刺創による左...
《解 説》
1 本件は,1審判決の理由中で無罪とされた事実につき,控訴審裁判所が職権調査を加えて1審に差し戻すことの是非が問題になった事案である。
被告人は,公園で野宿していたものであるが,パチンコ店でトイレを借用した際に,携帯していた折りたたみ式ナイフでパチンコ店従業員Aを脅迫したとさ...
《解 説》
1 本件事案の概要は以下のとおりである。
Xは,夫であるAが平成6年4月に出張先の台湾から帰国するため搭乗していた飛行機の墜落事故によって死亡したことから,労働者災害補償保険法(労災保険法)所定の遺族補償年金の給付を請求したところ,Y(名古屋北労働基準監督署長)は,同年10月...
《解 説》
一 本件は,Y(市教育委員会)から,学校外での長期研修を命じられた公立学校教員であるXが,同命令は違法であると主張して,同命令の取消しを求めた事案である。
Xは,平成12年4月,Yから,Yセンターにおける2年間の長期研修を命じられた。同研修の内容は,研修を支援する社会教育主事...
《解 説》
1 原告は,被告が設置する被告学校の平成14年度の一般入試に合格して,入学金,制服代金等を支払った。その後,原告は,被告学校への入学を辞退したとして,被告に対し,不当利得に基づき,入学金及び制服代金等利得金等支払を求めた事案である。本件は,前納学納金の返還を求める集団訴訟のうち...
《解 説》
1 本判決は,佐賀市に本部を置き,九州を中心として全国各地に支部及び指導相談所を設置していた「健康を守る会泰道」(以下「泰道」という。)に入会した原告ら(37名)が,泰道を構成する被告らに対して,入会金,塾費,資格保証金等の名目で金員を支払ったのは,法人格なき社団である泰道の組...
《解 説》
1 Xは,平成11年初めころから,左目の視力・視野異常を感じ始め,眼科医を受診したが,検査では視野異常は認められなかった。その後,Xは,眼に異常がないのに視力低下・視野異常がある場合には下垂体腫瘍が疑われることを知ったため,同年4月にY病院の内科を受診した。Xは,Y病院において...
《解 説》
1 本件は,損害保険会社のYとの間で自らを被保険者及び保険金受取人とする傷害保険契約を締結した保険契約者のXが,その受傷による保険事故の発生を理由として,Yに対し,保険金の支払を求めた事案である。Xは,本訴提起前,Yに保険金の支払を求めたが,Yにおいて,本件保険契約は,いわゆる...
《解 説》
1 本件は,マルチトール含蜜結晶(甲発明)及びその製造方法(乙発明)について特許権を有している原告が,被告製品の輸入,販売等を行う被告に対し,被告製品の輸入,販売及び販売の申出の差止め並びに廃棄を請求した事案である。原告は,被告製品が含有するマルチトール含蜜結晶は,甲発明の技術...
《解 説》
1 船主責任制限手続における届出債権の確定作業は,第1次的には債権調査期日における調査によって行われ,そこで管理人及び関係人の異議がなければ確定する。異議のある届出債権については裁判所が査定の裁判をし,査定決定に不服のある関係人は,異議の訴えを提起できる(船舶の所有者等の責任の...
《解 説》
1 本件は,Yが設置するY大学に合格して入学金及び授業料(両者を併せて学納金)を納入し,その後Y大学への入学を辞退したXらが,Yに対し,いったん納入された学納金を一切返還しない旨の特約は,消費者契約法9条1号,10条,民法90条により無効であると主張して,契約解除による原状回復...
《解 説》
本件は,保険金の取得を目的とした被害者1名の殺人及び保険会社8社に対する保険金詐欺未遂,居住者を立ち退かせる目的での現住建造物等放火,さらに暴力行為等処罰に関する法律違反,脅迫からなる事案である。
保険金殺人事件は,被告人が,一攫千金を夢見て肉牛の取り込み詐欺を画策し,暴力団...