最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 被告人は、単独あるいは共犯により、夜間の侵入盗等を繰り返していたところ、その一部の犯行が、まず建造物侵入・単純窃盗の訴因により起訴されて有罪判決が確定し、その確定後に、上記前科の余罪に当たる本件の窃盗事犯(計二二件)が、単純窃盗または建造物侵入・単純窃盗の訴因により起訴され...
《解 説》
一 本件は、北海道伊達市内に鉄骨造陸屋根三階建店舗(以下「本件建物」という。)を所有していたAが、伊達市長によって決定され固定資産課税台帳に登録された本件建物の平成九年度の価格を不服としてY(伊達市固定資産評価審査委員会)に対して審査の申出をしたところ、Yからこれを棄却する決定...
《解 説》
一 ①事件、②事件ともに、中小企業等への金員の貸付けを業とする貸金業者であるYがした金銭消費貸借取引に関する訴訟である。Yを当事者の一方とする同種の事案が多数最高裁の各小法廷に係属していた。
Yと借主は、元本極度額、期限の利益の喪失約定を定めるなどして、継続的手形貸付契約を締...
《解 説》
一 本件は、建売住宅を購入したXらが、購入した建物の瑕疵を主張して、建築士事務所Yに対し損害賠償を求めた事案である。なお、Xらは、本件建物の売主B(本件建物の建築主兼施工者でもある。)との関係では、売買契約の解除による代金返還、瑕疵担保責任又は不法行為に基づく損害賠償を請求して...
《解 説》
一 本件は、不動産競売の入札の手続において、入札価額欄の記載に不備のある入札書による入札の効力が問題とされた許可抗告事件である。
本件の不動産競売事件においては、最低売却価額を二三〇四万円と定めた上で、期間入札が実施された。入札をしたのは、抗告人X及びYの二名であった。Yの入...
《解 説》
一 本件は、海運業を営んでいた朝鮮系中国人の被告人が、日本の暴力団関係者や韓国人海産物貿易業者らと共謀の上、営利の目的で、覚せい剤約一〇〇キログラムをシジミ入りの麻袋中に隠匿させるなどし、これを貨物船に積載して海路本邦に密輸入した、という覚せい剤取締法違反、関税法違反の事案であ...
《解 説》
一 本件は、被告(経済産業大臣)が自転車競技法(以下「法」という。)四条一項に基づき、M社に対してした場外車券売場設置許可処分(以下「本件許可処分」という。)について、場外車券売場が設置される地元地方公共団体(以下「地元自治体」という。)である原告が、右許可処分が違法であるとし...
《解 説》
一 本件は、阿児町の住民であるXが、阿児町情報公開条例に基づいて、水道課発注の工事の予定価格調書につき公文書公開請求をしたところ、実施機関である町長が、同条例八条七項所定の非開示情報が記載されていることを理由に非開示処分をしたことから、Xが、右処分は違法であり、これにより精神的...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
割賦販売法所定の冠婚葬祭等に関する前払式特定取引を業とする株式会社(互助会)であるXは、会員が払い込んだ月掛金全額を預り金として経理処理する方法(原告方式)で、平成六年四月から平成九年三月までの三事業年度(本件各事業年度)の法人税につ...
《解 説》
一 本件は、自動車重量税を納付したと主張する原告が、当該自動車重量税に係る自動車がいわゆる東海豪雨によって被害を受けたため、当該自動車の抹消登録をした上、被告に対し納付済みの自動車重量税の還付請求をしたところ、被告が還付請求は理由がないとの通知処分をしたので、その取消し等を求め...
《解 説》
一 本件は、内科診療所を開業し、所得税の青色申告の承認を受けていた原告が、所得税法一五〇条一項一号に該当する事実があるとして青色申告承認取消処分等が行われたことについて、被告(税務署長)に対し、その取消しを求めた事案である。
二 本判決は、被告所属の国税調査官が、第三者(記帳...
《解 説》
一 本件は、整理解雇の事案であるが、事案の概略は次のとおりである。Yは、米国ニューヨーク州に本社を置くG社の一〇〇%出資子会社の日本法人であり、平成一四年一月当時の従業員は、正社員が二四名、有期契約社員が二名、派遣社員が二名であった。Xは、高校卒業後、昭和五五年七月、Yに入社し...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
自動車賃貸業者であるXが、Aに本件自動車を賃貸したところ、AがこれをY経営のパークロックシステムの無人駐車場に放置したまま所在不明となり、Yからその連絡を受けたXが本件自動車の引渡を求めたのに対し、YがAに対する駐車料金等の請求権を被...
《解 説》
一 本件は、Y1が設置運営する野球専門学校Aに入学した学生ら及びその父母らであるXらが、Aの授業内容及び施設設備等が、入学時に説明された内容等に比して著しく不十分であったなどとして、Y1に対して、債務不履行又は民法七〇九条及び七一九条一項の不法行為に基づく損害賠償、Aの創設者で...
《解 説》
一 本件は、脳疾患によりYの設置する病院でリハビリ治療中に転倒して頭部を打撲し、死亡した患者Aの遺族Xが、Yに対して損害賠償を請求して提訴した事案である。
Aは、従前より糖尿病、陳旧性脳梗塞により、Y病院に通院していたが、平成一〇年九月一五日、嘔吐、痙摯、左半身麻痺などが発症...
《解 説》
一 本件は、Y1の製造、販売にかかる化粧品(N化粧品)の販売会社(販社)であったXが、Y1と締結したN化粧品の販社販売業務委託契約(本件委託契約)を解除された(本件解除)ことについて、それが私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)一九条で禁止されている不公正な...
《解 説》
一 本件は、場外車券売場を設置しようとする地方公共団体(開催公共団体)とその設置場所として予定される地方公共団体(設置公共団体)とがその設置を巡って対立していたところ、開催公共団体が、その市報に「(設置に)反対するのであれば、設置許可が出る前に、許可権者である通産大臣に対して明...
《解 説》
一 本件の事案の概要は、以下のとおりである。
美顔器の一種である超音波美容器と付属化粧品(本件商品)を販売しているA社は、原告らに対し、本件商品を一セット三六万七五〇〇円で売却した(本件売買契約)。原告らの大半は、本件商品の購入代金について、クレジット会社との間で分割払のクレ...
《解 説》
一 本件は、母親Aに連れられて幼稚園に通園途中のXが、すれ違った散歩者Y1の連れていた犬に咬まれて負傷したとして、Y1及びその親である加害犬の所有者Y2に対して損害賠償を求めた事案である。
Yらは、Y1が、Xとすれ違う際、加害犬をつないでいたひもをぐるぐると巻き付けて首輪の鎖...
《解 説》
一 事案の概要
宗教法人X1の元信者Y1は、Y1の幹部であるX2及びX3から多額の献金を強制されたとして、弁護士であるY2を訴訟代理人として、Xらに対する損害賠償請求訴訟を提起し、Y2は提訴記者会見を開くなどした。
本件は、Xらが、提訴記者会見等により名誉を毀損されたなどと...
《解 説》
一 X(昭和三九年生、独身)は、平成一一年四月二三日、彦根市内の道路を犬を連れて散歩中、Yの運転する普通貨物自動車に衝突され、肋骨骨折、骨盤骨折等の傷害を負った。
そして、Xは、平成一一年四月二三日から同年六月九日まで彦根中央病院に入院したほか、平成一二年三月一七日まで同病院...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Aは、平成九年八月七日午後八時ころ、喉の痛みや呼吸困難等を訴え、Yが経営する総合病院のB病院でC医師らの診察を受けたが、診察後の点滴中に病態が急変し、翌八日午前五時ころ、低酸素症による肺機能及び脳機能等の低下により死亡した。Aの相続人である...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、美容整形外科手術(頬骨、下顎骨切除手術)における医療過誤事件である。
被告の経営する美容整形医院において、頬骨及び下顎骨を削る美容整形手術を受けた原告が、①頬骨を削る手術について頬の状態を事前に説明する義務に違反した、②下顎骨手術について、原告の美的...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、当時中学生であった原告らの子(被害者)が被告知覧町を除く被告加害少年らから継続的にいじめを受けた結果自殺したとして、原告らが、被告加害少年らに対し、共同不法行為に基づき、中学校を設置管理する被告町に対し、いじめを防止すべき措置を怠ったなどとして国家賠償...
《解 説》
一 本件は、資本金が三〇〇万円であったY株式会社が、平成二年改正商法の最低資本金制度の導入によって、増資により資本金を一〇〇〇万円としなければ組織変更をせざるを得ず、これを放置するとみなし解散とならざるを得ない状況下で、新株発行を行ったとし、その旨の登記等がなされていたが、同社...
《解 説》
一 Xは、本願商標「ABIROH」の商標登録出願をしたが、指定商品役務が同一又は類似する引用商標を理由に、出願拒絶の審決を受けた。Xは、その取消訴訟係属中に、審決指摘の類似商品部分につき商標法一〇条に基づく分割出願をするAともに、同日付けで当該類似商品部分を本件出願から削除する...
《解 説》
一 本件は、XがYに対し商標権侵害に基づく損害賠償を求めた事案であるが、その概要は次のようなものである。
Xはカナダからメープルシロップ等を輸入販売している食品輸入会社であり、カナダ産メープルシロップを指定商品とする本件商標権を有している(但し、Xが実際に使用していた商標は、...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、汎用設計ソフトであるAutoCAD上で作動する電車線設計用プログラムを作成したXが、XプログラムとYプログラムは実質的に同一であり、Yプログラムを格納した製品の製造、販売等は、Xプログラムの著作権(複製権、翻案権、譲渡権)の侵害に当たるとして、Yに対し...
《解 説》
一 本件は、Y1信用金庫から、同金庫のZに対する貸付けにつき、Zの連帯保証人となったとして、Zと共に、貸金の返還を求める訴訟(前訴)を提起されたXが、その訴訟に欠席して敗訴判決を受け、同判決が確定した後、Y1主張の連帯保証契約の締結当時、Xに意思能力はなかったから、当該連帯保証...
《解 説》
一 本件は、給与所得者等再生手続において、生命保険契約における契約者貸付による債権が再生債権として取り扱われたまま、再生債務者が提出した再生計画案に基づいて、裁判所が再生計画を認可する決定をしたことに対し、債権者である生命保険会社が即時抗告をした事案である。
本決定は、まず、...
《解 説》
一 本件は、無認可保育施設の園長をしていた被告人が、八か月あまりの間に、預かり保育していた園児六名に対し暴行を加え、うち二名を死亡させ、四名に骨折の傷害を負わせたという事案について、被告人に懲役二〇年の刑が言い渡されたものである。
二 本件各事実については、一部犯行を認める部...
《解 説》
一 事案の概要
1 事実関係
(1) 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(特措法)は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条...
《解 説》
一 本件は、大手都市銀行に勤務し、M&A(企業の合併、買収)に関する仲介、助言業務等を行う部署に所属していた被告人甲が、同銀行がK社と締結していた、同社がM社の株式を購入するための仲介、助言等を内容とするアドバイザリー契約の履行に関し、M社株券の公開買付けの実施に関する事実を知...