最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、二〇〇五年の愛知万博の開催に伴い、その会場となる元愛知青少年公園(以下「本件公園」という。)内の管理棟等が撤去されることになったところ、愛知県の住民である原告らが、愛知万博は県民の合意を得ずに決定された事業であり、また同事業のために莫大な公金を支出することは県財政に...
《解 説》
一 本件は、大阪地判平11・3・29本誌一〇一〇号九六頁の控訴審判決である。
本件は、いわゆる信楽高原鐵道列車事故(以下、「本件事故」という。)によって死亡した乗客の遺族が、事故を起こした列車の所有者である信楽高原鐵道(株)(以下、「SKR」という。)と西日本旅客鉄道(株)(...
《解 説》
本件は、市が設置した公園の箱ブランコで児童が遊んでいた際の傷害事故について、営造物の設置管理に瑕疵があったとして、児童とその母が、市に対して損害賠償を求めた事案である。
Xは、本件事故当時七歳(小学二年生)であったが、Y市が設置した公園で、姉とその友人の乗った箱ブランコの背も...
《解 説》
本件は、損害保険会社Y社を普通解雇されたXらが、Xらには解雇事由がなく、さらには、解雇権の濫用に該当するから無効であるなどとして、Y社に対し従業員の地位の保全及び解雇後の賃金の仮払いを求めた事案である。
Xらは、いずれも大学卒業後間もなくY社に正規従業員として入社して二〇年以...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。貸金業者であるX(原告・控訴人)は、借主であるY(被告・被控訴人)に対し、平成一一年三月二九日、五〇万円を貸し付けたところ、未だ残元本三六万一七六二円の返還がないとして、前記残元本及びこれに対する約定の年三〇パーセントの割合による遅延損害金...
《解 説》
一 本件は、Y2市立小学校に勤務する教諭のXが、平成一一年度夏季休業期間中の同年七月二八日午後及び同年八月四日午前を研修とし、同月二日を家族休暇と記入した「夏季休業中職員動向表」を学校長のY1に提出して、研修及び家族休暇の取得を申請したが、Y1において、研修については、半日研修...
《解 説》
一 水産業協同組合法に基づき設立された漁業協同組合Yは、その理事会において、第三者から海砂利採取等による漁業補償金(本判決にいう砂利採取同意料)の支払を受けたため、これを組合員に配分することになったところ、正組合員をA・船頭(1・自船で一年のうち七か月以上営業している者、2・自...
《解 説》
一 本件は、宗教法人世界基督教統一神霊協会(以下「統一協会」という。)の信者から勧誘されて統一協会に入会し、献金等の金員出捐をなした原告ら一〇名が、統一協会に対して不法行為に基づき金員出捐額相当の損害賠償と慰謝料の支払を求めた事案である。
二 原告らは、①一連の金員出捐勧誘行...
《解 説》
一 事案の概要
(1) 本件は、被告の少年が、エアーガンで原告の少年を撃ち片目を負傷させたことに対し、原告が、被告の少年とその両親に対して不法行為に基づく損害賠償を求めた事案であり、本判決が認定した事実関係は、以下のとおりである。
原告は、本件当時一二歳の中学一年生であった...
《解 説》
一 本件の事案の概要は次のとおりである。
1 洋品店の店員から市議会議員であったA(X1の妻、X2の母)に洋服を万引きされたとの被害届が警察に出され、警察はAを窃盗事件の被疑者として検察官に送致したが、その後Aはマンションの非常階段から転落して死亡した。
2 この事件につい...
《解 説》
一 酩酊したAは、深夜、自動車を運転中に交通事故を起こし、午前二時頃救急車でYが経営する病院(Y病院)に搬送されて医師の診療を受けたが、診療の続行を拒否して午前五時頃に自ら病院を去った。その後、Aは、スポーツ飲料を飲んだ途端に倒れて、午前五時四五分頃再びY病院に搬送されたが、搬...
《解 説》
一 Xは、平成八年一〇月当時、Y2の設置する「横浜高等学校」の一学年に在籍し、柔道部に所属していたが、同月一五日、柔道部部室において雑巾がけをしていた際、上級生のY1によって前部からプロレス技をかけられたため、頭部から床に落下し、頸椎損傷の傷害を負った。
そこで、Xは、Y1に...
《解 説》
一 事案の概要
本件の原告は、文化庁長官の登録を受けた音楽著作権等管理事業者である。他方、被告ら(会社及び会社代表者、元被告会社代表者)は、歌手等が音楽演奏会を行うに当たって、演奏会場の設定やチケットの販売等を行う、演奏会を主催した、いわゆるプロモーターである。原告は、被告ら...
《解 説》
一 原告は、不動産鑑定業を目的とする有限会社であるが、社団法人日本不動産鑑定協会の下部団体であり、茨城県内に事務所を有する不動産鑑定士及び不動産鑑定を業とする法人によって組織される社団法人である被告が、会員二名の推薦を被告への入会の要件とするなどして、原告による、茨城県内の各市...
《解 説》
一 本件は、堺市内に住む老夫婦(A男、B女)が自宅で殺害されて金品等が奪われ、その翌日死体が休耕地に遺棄されようとしていたという強盗殺人、死体遺棄等事件について、第一審が死刑を言い渡した被告人に対する控訴審判決である。
本件の概要は、被告人が、①ほか二名と共謀の上、被害者夫婦...
《解 説》
一 被告人Xは、不動産の売買・仲介を業とするA社の代表取締役であるが、工事完了後に代金を支払う、いわゆる立替工事によってマンションを建築し、分譲・販売することを計画し、建築請負業者Y社との間で、請負工事代金を五億七三〇〇万円とするマンション工事請負契約を締結した。A社は、マンシ...