最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は金銭債権を差し押さえた債権者からの第三債務者に対する取立訴訟事件であり、本件事案の概要は、次のとおりである。
建物新築工事の下請負人であった原告(上告人)は、元請負人である訴外会社に対して有すると主張する五七七万円余りの請負残代金債権を被保全債権として、訴外会社が右...
《解 説》
一 本件は、名古屋市中区への転居届を不受理とされた原告が、名古屋市中区長に対し、右不受理処分の取消しを求めるとともに、同処分により精神的苦痛を受けたとして、名古屋市に対し、国家賠償法に基づき、一〇〇万円の慰謝料の支払いを請求した事案である。
二 被告らは、原告がアレフ(旧オウ...
《解 説》
本件は、保険医療機関等が作成し、保険者である京都市が保有する国民健康保険に係る診療報酬明細書(いわゆる「レセプト」)の記載に誤りがあったことから、原審原告(被控訴人)が、京都市個人情報保護条例(本件条例)に基づく個人情報の訂正請求を行ったところ、原審被告(控訴人)が非訂正決定処...
《解 説》
一 児童扶養手当法(以下「法」という)一条は、「父と生計を同じくしていない児童…について児童扶養手当(以下「手当」という)を支給する」と定め、これを受けて法四条一項一号ないし四号は、手当を支給すべき対象を「父母が婚姻を解消した児童」(一号)等、具体的に定め、さらに、同項五号は、...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
Xは、大腸がんの手術を受けた平成四年以降、ストーマ(大腸を切って外に出した部分)を造設し、そこから排出される便を貯留したパウチを適宜交換して便を捨てるという人工肛門を使用している者であるが、平成九年一二月から満期出所した平成一二年七月...
《解 説》
一 本件は、厚木市長であった被告が、A社との間で厚木市の一般廃棄物の焼却灰等の処理業務(本件業務)を委託する契約(本件契約)を締結したことについて、厚木市の住民である原告らが、本件契約の締結には、地方自治法二三四条等に違反した違法があるとし、地方自治法二四二条の二第一項四号に基...
《解 説》
一 Xらは、いずれも昭和四〇年前後に高卒でY会社に採用されたが、その当時、Y会社では、職分制度が導入されており、社員の採用は採用後の任用職分を前提に一種ないし四種等の採用試験によるものとされていた。高卒の場合、男子が専門職務従事要員として職分二級任用を予定した、本社において採用...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
A(昭和二一年生まれの男性)は、昭和四二年に橋梁、鉄骨製作を業とするB会社に雇用され、同社工場において検査係としての業務に従事していたところ、平成六年一月一九日以降、同社が請け負った来島第三大橋主塔の製作工事(本件工事)における特別計...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Xの先代Aは、昭和一二年ころ、Yの先代Bに対し、本件1ないし3の土地を含む一筆の土地である七一一番の土地全部(一二六六・一一㎡)を賃貸した。Yの先代は、賃借地を順次第三者に譲渡してゆき、昭和三五年当時の賃借地は本件1ないし3の土地だけであっ...
《解 説》
本件は、顧客(宗教法人二寺)Aとの間でワラント取引を行っていた証券会社Xが、その職員(証券外務員)として同取引を担当していたYに対し、取引の開始又は継続に当たりYが顧客に対して行った勧誘又は対応に説明義務違反、補足説明義務違反等の義務違反(違法)行為があり、YがXに対して負う雇...
《解 説》
一 本件は、税理士の専門家責任が問われたケースである。
Xらは、税理士Yに、相続税申告手続を委任したが、Yは、申告の際に相続財産の評価を誤り、不適切な書類を添付したため、本来納付すべき相続税よりも高額の相続税を課税された。そのため、Xらは、別の税理士Aに税務署長に対する減額更...
《解 説》
一 信販会社であるXは、昭和五〇年九月、A呉服店との間で業務提携契約を締結し、A呉服店が呉服を購入した顧客の売買代金を立替払いする旨の契約をした。
しかし、呉服を購入した顧客の中にXに対する立替金の支払金の支払を遅滞する者が多くなったため、Xは、平成六年一〇月、A呉服店との間...
《解 説》
一 X1は、平成一〇年一月当時、帝京大学の学生であって、ラクビー部員であったが、同月二〇日、東京都内のカラオケボックス内において、他の同大ラクビー部員らと共に一九歳の女性を強姦したという被疑事実により逮捕された。
Yは、同月二一日、いわゆるワイドショウ番組「おはようナイスデイ...
《解 説》
一 本件は、大学生であるXが、「大学教授であったYから、試験をすると称して自宅に呼びよせられて結婚を求められたり、執拗に電話をかけられたりするなどのストーカー行為を受けた。」などと主張して、Yに対して、慰謝料の支払を求める本訴を提起したのに対し、Yは、Xを自宅に呼びよせたこと、...
《解 説》
一 平成九年四月三日午後九時ころ、大韓民国南岸の巨済島南方約一〇キロメートルの海上において、同国籍のタンカー「オーソン№3号」(以下「オーソン号」という)が座礁し沈没した(以下「本件事故」という)。本件事故により、タンカーの積み荷であったC重油推定約一八六キロリットルが流出し、...
《解 説》
一 Xは、平成三年八月二四日、尿が失禁することがあるため、Yの経営する総合病院において、泌尿器科医師の診察を受けたところ、外科的治療の必要な前立腺肥大症と診断されたため、同年一二月五日、経尿道的前立腺切除術を受けたが、手術後に血尿が出現したため、経尿道的凝固止血術を受け、更に尿...
《解 説》
一 Xは米国法人であって、ヒト疾患(腫瘍)に対する実験動物(マウス)に関する特許権(本件特許権)を有する。本件は、Xが、国立医科大学の行った実験において使用された実験動物(ヌードマウス)は、Xの特許発明の技術的範囲に属するものであり、右実験は、当該医科大学が、製薬会社(Y2~Y...
《解 説》
一 本件は、「JAMJAM」の商標権(本件商標権)を有する原告が、「JamJam」の名称を付してホームページを開設していた被告毎日新聞社に対し、商標権侵害を理由として五〇〇〇万円の損害賠償ないし不当利得返還を請求した事案である。なお、原告は本件登録商標を全く使用していない。
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《解 説》
一本件は、Xの商品の形態が周知な商品等表示であるとして、不正競争防止法二条一項一号に基づき被告商品の製造販売の差止等を求めた事案であり、その概要は、以下のとおりである。X(原告)は、合成樹脂製品等の製造販売等を業とし、昭和四二年ころから、ホームセンターなどで、購入者(以下「需要...
《解 説》
一 本件は、工事現場から現金四〇〇〇万円(一万円紙幣四〇〇〇枚)の入ったクーラーボックスを発見した右工事の下請業者の従業員が、右現金が遺失物法上の埋蔵物件ないし遺失物件にあたるとして、現金の返還者である被告に対し、遺失物法四条一項、一三条に基づき、報労金を請求した事案である。
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《解 説》
本件二事例は、一年以上の懲役刑が求刑されたが、いずれも罰金刑が言い渡されたものである。包丁等の凶器が使用された傷害罪に関して罰金刑で処断するか懲役刑で処断するかに関しては必ずしも明確な一線があるわけではなく、いわばケースバイケースで処理されている。地裁に起訴され、懲役刑が求刑さ...
《解 説》
一 ①事件及び②事件は同一の共犯事件であり、被告人AないしFの六名が、共謀の上、帰宅するG、Gの妻H及びIを待ち伏せし、普通乗用自動車を運転して帰宅したGの頭部等を角材で数回殴打する暴行を加え、Gから上記自動車等を強取し(強盗傷人)、Gとともに帰宅したH及びIを普通乗用自動車内...