最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
本件は、株式会社日本長期信用銀行が、静岡県熱海市の初島における大型リゾート施設の開発・運営プロジェクト(以下「本件プロジェクト」という。)に対して行った追加融資が、同プロジェクトの破綻により回収不能となったため、日本長期信用銀行から特別公的管理を経て商号変更さ...
《解 説》
一 本決定は、被告人が砒素を使用したカレー毒物混入事件、保険取得目的の殺人未遂事件等合計五件の殺人・同未遂事件及び四件の保険金詐欺事件を実行したとして起訴された係属中の事件において、検察官が保険金取得目的の殺人未遂事件の証拠調べとして証人尋問請求したことに関し、弁護人が、類似事...
《解 説》
一 本件は、起業者Yの変電所新設事業に関して土地収用法(以下「法」という。)に基づく土地等の収用裁決を受けたXらが、起業者Yに対し、法一三三条に基づき、損失補償額の変更及びその支払を求めた事件である。 一審及び原審では、被収用地の範囲、被収用地及びその地上物件の価格、残地補償の...
《解 説》
一 本件は、地方公共団体が発注するごみ焼却施設に係る入札談合について被告が開始した審判事件の被審人である原告らが、被告が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「法」という。)六九条に基づいて参加人らほか二名に対してした同審判事件の審判記録の謄写の申請に応じる旨の各処...
《解 説》
一 本件は、抹消登録された自動車を譲り受けた原告が、抹消登録前の登録番号を使用すべく、抹消登録の回復申請をしたところ、被告が、回復申請をなし得べき場合に当たらないとして、自動車登録令(以下「登録令」という。)二一条一項二号に基づき申請を不受理としたことから、原告がその取消しを求...
《解 説》
一 Xは、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反容疑で逮捕され、大阪府曽根崎警察署の代用監獄に勾留されていた被疑者A及び大阪府旭警察署の代用監獄に勾留されていた被疑者Bの弁護人であった者である。検察官は、A及びBが勾留されていた各警察署長あてに接見指定のあり得る旨を記載した「接見等の指...
《解 説》
一 訴外Aは、平成六年七月当時、埼玉県立春日部高校二年に在学し、山岳部に所属していたが、同月二〇日、山岳部教諭三名に引率され、同校山岳部八名とともに、山形県西村郡朝日町の大日岳(標高一八七〇メートル)の夏山登山合宿に参加し、登頂に成功した後下山をしたが、途中で自力で動けなくなり...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
本件は、訴外有限会社(以下「訴外会社」という。)を吸収合併した(以下「本件合併」という。)X株式会社(以下「X会社」という。)が、本件合併により訴外会社に清算所得が生じたとして確定申告を行い、また、訴外会社の社員X(以下、X会社と併せ...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
Xらは、平成六年一一月、A財団法人に対して、同年四月に開始されたBに係る相続(本件相続)により取得したC会社(ただし、同社は同年九月にD会社を合併会社とする合併登記を了している。)の株式六〇〇〇株(本件株式)を同財団法人の基本財産に組...
《解 説》
一 本件は、食堂で給食調理業務に従事していたAが、死亡の三週間前から肺炎に罹患し、診察した医師からも休養等の指示を受けていたにもかかわらず勤務を続け、特に死亡直前には連続五日にわたって夜間勤務を続けたところ、一人夜勤中に急性肺炎等を発症して死亡したことから、Aの遺族であるXが、...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、本件土地(一筆の田。一二二二平方メートル)を、二〇年以上にわたって耕作などしてこれを時効取得したと主張する被控訴人(原告)が、本件土地の登記簿上の所有名義人T女(昭和三〇年一月二二日死亡)の相続人である控訴人ら(被告ら)に対して、その占有開始の時期であ...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Xは、四六筆からなる一団の土地(以下「本件一団の土地」という)の所有者であった。本件一団の土地のうち一一筆の土地、約七〇〇〇坪が、土地収用法に基づき、国に収用された。その結果、本件一団の土地は、南北二区画に分断されることになった。そこで、国...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Y(医師)は、現在、本件建物で、A眼科の院長として眼科の診療行為をしている。X(医師)は、Yが本件建物を占有して診療行為をしているのは、XY間に、XがB病院院長の職務を終えるまでの間、本件建物において、医療開設者兼管理者として医療施設を適切...
《解 説》
一 本件は、待ち帰り弁当のフランチャイズ・システム(チェーン)のフランチャイザーである株式会社ほっかほっか亭総本部の「九州地域本部」の地位にあるYが、Xとの間のフランチャイズ契約(以下「本件地区本部契約」という。)について、平成九年一〇月二七日ころ、Xに対し、平成一〇年四月三〇...
《解 説》
一 Xらは、平成六年に、不動産会社であるYから、京都右京区梅ヶ畑高鼻町所在のマンション「シエモア広沢北」を購入したが、その当時、右マンションが未完成であったため、モデルハウスで間取りの確認等を行って購入した。
Yが作成したマンションのパンフレットには、「全戸南面・採光の良い明...
《解 説》
本件は、亡三郎の遺族である原告らが、被告組合が経営する給油所に勤務していた亡三郎が自殺したのは、被告組合に過失ないし安全配慮義務違反があったためであるとして、被告組合に対し、不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償を求めた事案である。
本判決は、
第一に、亡三郎の自殺前の言動、...
《解 説》
本件は、フランチャイズチェーンの焼き鳥店の近隣に住宅を有する住民三名が、焼き鳥店の経営者及びフランチャイズチェーンの親会社に対し、人格権及び土地建物の所有権に基づき、焼き鳥店の発する臭気排出の差止めを求めると共に慰謝料の支払いを求めた事案である。
本件焼き鳥店は、平成一〇年三...
《解 説》
一 X1は、昭和六〇年八月三日、清水総合病院を訪れて受診したところ、妊娠五週との診断を受け、昭和六一年三月二四日、出産のため、同病院に入院した。
同病院において、X1は分娩誘導のため、陣痛促進剤の授与を受けたが、翌二五日、X1に異常が発生し、意識不明の状態になったため、緊急帝...
《解 説》
本件は、水性ボールペン等の筆記具のインキ筒に関する考案につき実用新案権を有していた原告が、被告に対して実用新案権侵害を理由として損害賠償を請求した事案であるが、主たる争点として、考案の実用新案登録請求の範囲にはインクの逆流防止剤が「ポリブテン」よりなることとされていたところ、被...
《解 説》
一 本件は、ホームページ上の掲示板に文章の書き込みをしたと主張するXらが、同文章の一部を複製(転載)して書籍(以下「本件書籍」という。)を作成し、これを出版等したYらに対し、Yらの同行為は、上記文章についてXらの有する著作権を侵害するとして、本件書籍の出版等の差止め及び損害賠償...
《解 説》
一 Xは、警備、車両運行管理等を業とする会社であるが、競業会社であるYはXを退社した従業員を通じて不正に取得した営業秘密を用いて営業活動をしていると主張して、Yに対し、不正競争防止法二条一項四号に基づき、当該情報を用いた営業活動の差止めを求めた。
Xが「営業秘密」として保護を...
《解 説》
一 商標法七八条、三七条四号の輸入罪の成否が問題となった事案である。
判文によると、被告人は、クレジット会社の登録商標類似の商標の付いた偽造途中のカード(「生カード」)を輸入したが、その目的は、このカードを日本国内で、関係者に渡し、関係者が偽造を完成させた上、不正に使用して、...
《解 説》
一 本件は、速度違反自動監視装置(いわゆる「オービス」)による写真撮影を困難にするナンバープレートを製造した行為が、道路運送車両法九八条一項にいう自動車登録番号標の偽造に当たるとされた事案である。
二 自動車登録番号標は、道路運送車両法施行規則一一条でその様式が定められており...
《解 説》
一 本件は、旧刑事訴訟法(大正一一年法律第七五号、以下「旧法」という。)の適用されていた昭和二〇年に恐喝、殺人未遂、殺人の各罪を犯したとの理由で逮捕勾留された被告人が、予審の請求をされた後に勾留場所の名古屋拘置所から逃走し、以後被告人の所在不明のため長期間審理を行うことができず...
《解 説》
一 一審原告甲野は、大学院理学研究科を中退し、昭和五一年三月に、奈良県が設置する奈良県立医科大学の助手に採用され、以来、同大学の公衆衛生学教室に勤務するものである。
一審被告乙野は、平成五年四月に、甲野が所属する公衆衛生学教室の教授に就任した。
二 一審原告は、一審被告乙野...
《解 説》
第一 事案の概要
本件は、中国の国民である原告らが、日本政府が昭和一七年一一月二七日に行った「華人労務者内地移入に関する件」と題する閣議決定により、昭和一八年及び昭和一九年ころ、被告らによって日本へ強制的に連行された上、被告会社が経営する三池鉱業所及び田川鉱業所等において過酷な...