最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
本件は、一棟のビルを所有し賃貸していた会社が、賃借人からの更新拒絶によって賃貸借が終了したとして、ビルの一室の再転借人に対し、貸室の明渡しと賃料相当損害金の支払を求めた事案である。
原告は、昭和五〇年初めころ、ビルの賃貸、管理を業とする訴外甲株式会社の勧めにより、原告代表者所...
《解 説》
抗告人は、相手方増井海運㈱との間で、同相手方と相手方運輸施設整備事業団(旧船舶整備公団の権利義務を承継。以下「相手方事業団」という。)とが船舶共有契約に基づいて共有する本件船舶(船籍港大分県佐伯市、総トン数一五六五トン、大阪-神戸-博多-那覇間を二日に一回のサイクルで継続的に巡...
《解 説》
一 本件は、被告人らがいわゆるフランチャイズ方式により酒類販売業の免許を受けないで酒類を販売したことが無免許による酒類販売業を禁じた酒税法違反の罪に問われた事案であり、免許制度の法令違憲とともに、被告人らの行為が無免許販売に該当するかどうかが争われた。本件公訴事実は、被告人Aは...
《解 説》
一 本件は、控訴人会社が宅地開発のため一団の土地の買収を企図し、三名の地権者との間で各買受価額を秘して買い受けの話を進めて事実上話をまとめ、県知事に対し国土利用計画法の規定に従って二三条の届出をしたところ、県知事が地権者らに不勧告通知(平成一〇年改正前の同法二四条三項)をする際...
《解 説》
一 本件は、法人税の更正処分に対する取消請求訴訟であるが、唯一の争点はプリペイドカードの売上げを収益として計上すべき事業年度はいつか(プリカ販売の時か現実の商品との引換えの時か)という点である。
二 商品券等の会計処理の方法については、従来から預り金として処理するという説が有...
《解 説》
一 原告は、東京都渋谷区内に土地を有する者であるが、東京都知事が決定した右土地の平成六年度の固定資産課税台帳の登録価格が、平成五年度の登録価格に較べて約一一倍となったため、右の平成六年度の登録価格を不服として、被告である東京都固定資産評価審査委員会に審査の申出をしたのに対し、被...
《解 説》
一 事案の概要
横浜市は、同市交通局が地方公営企業として経営する市営地下鉄一号線について、横浜市戸塚区から神奈川県藤沢市湘南台まで延伸させ、小田急電鉄江ノ島線湘南台駅に接続する鉄道建設事業(以下「本件事業」という。)を計画し、平成三年に運輸大臣から工事施行の認可を受け、平成五...
《解 説》
一 本件は、被告に雇用されていた原告に対し、被告の金銭を横領等したとして被告がした懲戒解雇処分が有効とされた事例である。
二 被告は、旅客鉄道事業等を営む会社であり、原告は、被告において駅輸送係として勤務し、駅や電車内などの被告施設内の遺失物の処理を業務として担当していた。被...
《解 説》
一 事案の概要
XYは、企業の信用調査及び情報提供サービスを業とする会社である。Xは、Yの委託を受けて、信用情報の管理や調査報告書を作成するコンピューター・ソフトウェア(以下「本件ソフト」という。)の開発を行った結果、ソフトの使用許諾契約(以下「本件契約」という。)を締結した...
《解 説》
一 本件は、創価学会と日蓮正宗との対立の中で、日蓮正宗の僧侶であるY1が、創価学会の幹部であるXらから、日蓮正宗による創価学会の分離切り捨て方針の公表と宗派からの離脱を五〇〇〇万円の支払等を条件に説得されたとして、その事実を記載した文書を双方の関係者に配布し、かつ、日蓮正宗の全...
《解 説》
一 本件は、株価指数のオプション取引及び信用取引の勧誘について、証券会社従業員Y2に説明義務違反及び断定的判断の提供があったとして、不法行為責任及び債務不履行責任が問われた事案である。
本件で問題となっている株価指数のオプション取引とは、例えば、翌月第二金曜日の日経平均ダウを...
《解 説》
一 Xは、日本将棋連盟アマチュア六段の棋士であるが、昭和五〇年頃までに「居飛車穴熊戦法」を創案し確立した元祖ないし創始者であるとし、日本将棋連盟プロ九段の棋士であるYが、テレビや雑誌「近代将棋」において、「居飛車穴熊」を独立に研究して確立した元祖であるとの虚偽の事実を公言したこ...
《解 説》
一 訴外Aは、平成八年七月当時、葉山町立一色小学校四年に在学していたが、同月一一日、妹を保育園に迎えに行くため、友人らとともに、葉山町内の道路を歩行中、Y1の運転する原動機付自転車に衝突され、脳挫傷等の傷害を負って死亡した。
そこで、Aの父X1、母X2、姉X3、妹X4は、加害...
《解 説》
一1 本件は、控訴人が設置する大学病院で心臓手術を受けた後、その術後回復期に容体を急変させて死亡した患者の遺族らが、「患者が死亡したのは、担当医師がMRSA感染症に対する配慮を怠り、本件手術を施行したことによって、同感染症が悪化し、敗血症を生じたためである。」などと主張し、診療...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Aは、Y1の経営するB病院に入院し、平成六年六月一四日、大腸癌の摘出手術を受けたが、同七年九月二一日、大腸癌が肝臓に転移したことにより死亡した。X1(Aの夫)とX2(Aの子、以下X1、X2を併せて「Xら」という)は、①医師であるY2が、Aの...
《解 説》
一 訴外Aは、平成八年八月当時、北海道立札幌手稲高等学校の一年生であったが、同月二九日、体育の正課授業として、B教諭の指導により水泳の授業を受け、学校のプールの六コースで四番目に泳ぎだしたが、途中で大量の水を飲み、プールの中央付近で水面にうつ伏せになっているところを発見され、プ...
《解 説》
本件は、被相続人である母がその財産を末娘のYに与えるとした自筆遺言証書の効力を、その姉のX1及び兄のX2が争った事件である。
被相続人は、四人の子があったが、上の三人がそれぞれ結婚して家を出た後、末娘のYは、結婚まで両親と同居し、結婚後も近隣に居住し、その後夫婦で両親と同居し...
《解 説》
一 本件において、Xは、電着画像の形成方法の発明に関する特許権(方法の特許)を有し、Yは、判決別紙目録記載の時計文字盤等用電着画像(「Y製品」)を製造し、これを時計文字盤等の製造を業とする企業(文字盤製造業者)に販売している。Xは、Y製品は、Yにおける製造工程に、これを購入した...
《解 説》
一 Xは、指定商品を第九類として「TECMO WORLD SOCCER」の欧文字及び「テクモワールドサッカー」の片仮名文字を上下二段に横書きして成る、登録第三三六七一五一号商標(いずれも平成六年一二月二一日出願、平成九年一二月一九日設定登録)(本件商標)の商標権者である。
Y...
《解 説》
一 本件は、電話用線路保安コネクタ配線盤装置の特許権を有していた原告が被告に対し、被告の製造・販売する配線盤装置(被告製品)が原告の特許権に係る発明(本件発明)と均等であり、その技術的範囲に属すると主張して、特許権侵害を理由とする損害賠償を求めた事案である。
被告製品は、第一...
《解 説》
一 本件は、「発熱組成物収納用袋の袋材」の特許発明の特許権(発明者は、原告社員Aとされている。)を有する原告が、被告に対し、被告の製造、販売する使い捨てカイロの収納用袋の袋材は同特許発明の技術的範囲に属すると主張して、その差止め等と損害賠償を請求した事案である。
被告は、被告...
《解 説》
一 本件は、貸金業者Yから継続して融資を受けていたXが、利息制限法の制限利率を超えて返済したとして、過払い金の返還を請求するとともに、貸金業者YがXの委任した弁護士に対して取引経過の開示を拒んだことを不法行為として、損害賠償を請求した事件である。
二 事実経過と争点
(一)...
《解 説》
一 日本法人である原告が、外国法人であるED社との間で、同社が原告に送付する昭和天皇ご在位六〇年記念拾万円金貨を原告名義の銀行預金口座に入金し、払戻金を右訴外会社及びスイス連邦の法人であるユニオン銀行に送金する委任契約を締結し、これにしたがって、ED社から送付を受けた天皇金貨一...
《解 説》
一 A社は、Yに対し、Bを抵当権者とする抵当権設定後に、本件建物を賃貸した。本件建物の賃料(以下「本件賃料」という。)は、四〇万八〇〇〇円であったが、本件建物に対して、右抵当権に基づく競売申立てがなされ、その差押登記がされた後に、A社とYとは、本件賃料を半額に近い二三万八〇〇〇...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和六〇年九月から、B病院を開設して、内科、外科等の診療を行ってきたが、経営が行き詰まり、平成九年一〇月、多額の債務を抱えて破産宣告を受けるに至り、Xが、破産者Aの破産管財人に選任された。
そこで、Xは、Aが破産前の平成八年一一月二六日付でYに対してしたAの県国...
《解 説》
本判決は、いわゆる酒気帯び運転による道路交通法違反被告事件の控訴審判決である。
本件控訴趣意は、訴訟手続の法令違反及び量刑不当を理由としており、そのうち訴訟手続の法令違反についての論旨は、原審公判調書には、検察官の論告が「本日付け論告要旨記載のとおり」と記載され、その末尾に検...