最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 昭和五九年に始まった週刊文春誌の「疑惑の銃弾」記事の連載に端を発するいわゆるロス疑惑報道について、通信社からの配信記事を掲載した新聞社に対し、名誉毀損を理由とする損害賠償請求訴訟が多数提起された。本件は、そのうち、いわゆる「配信サービスの抗弁」の法理が採用できるかどうかが問...
《解 説》
一 本件は、いわゆるロス疑惑報道に関する名誉毀損に基づく損害賠償請求訴訟であり、Xがロサンジェルスのホテルで、愛人に凶器で妻を殴打させ、殺害しようとしたという事件に関する報道について、その報道内容の真実性の立証が問題になった事件である。
Y新聞社は、Xが右殴打事件を理由とする...
《解 説》
一 昭和五九年に始まった週刊文春誌の「疑惑の銃弾」記事の連載に端を発するいわゆるロス疑惑報道について、原告が名誉毀損記事を掲載した新聞社及び新聞社に記事を配信した通信社に対して損害賠償を請求した一連の訴訟の一つであり、本件では、損害賠償請求権の消滅時効の起算点が争われた。
原...
《解 説》
一 本件は、通信社であるY社がA新聞社に配信した記事が名誉毀損に当たるとして、記事の対象とされたXがY社に対して損害賠償を請求した訴訟である。本件の配信記事は、女性関係で生活が乱れていたXが昭和五二、三年ころ、自宅で大麻を所持し、その事実を捜査機関が突き止めたということを内容と...
《解 説》
一 最高裁第三小法廷が平成一四年一月二九日に言い渡した一連のロス疑惑関連の損害賠償請求事件判決のうち、平成八年(オ)第二六〇七号事件判決・民集五六巻一号登載予定(本号一〇八頁)は、民法七二四条の消滅時効の起算点の問題を扱い、「民法七二四条にいう被害者が損害を知った時とは,被害者...
《解 説》
一 事案の概要等
本件は、取締役に支払われた役員報酬等について、定款又は株主総会の決議に基づかないものであるなどとして、株主代表訴訟により代表取締役の損害賠償責任が追及された事案である。
本件会社の株主X外二名は、Yを相手方として本件株主代表訴訟を提起し、同社の定款又は株主...
《解 説》
一 本件は、厚生年金保険法(以下「法」という。)に基づく老齢厚生年金の受給権者であった者が死亡したことにより、その戸籍上の配偶者である原告及び被保険者と内縁関係にあった者(補助参加人)の両名が遺族厚生年金の請求をしたところ、いったんは原告に対し支給裁定がなされ、補助参加人に対し...
《解 説》
一 被告は、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」に基づき、和歌山市内で一般廃棄物の分別収集を実施することを決めた。実施に当たっては、ごみの分別を徹底するために、ごみ収集袋の指定制度を採用することにした。この制度は、被告がごみ収集袋の材質等について一定の要件...
《解 説》
一 本件は、約三〇年間にわたりずい道工事現場等で主に坑夫として粉じん作業等に従事し、じん肺(けい肺)にり患した後に併発した肺がんにより昭和五九年に死亡した労働者A(大正一〇年生)の妻である被控訴人(一審原告)Xが、右肺がんによる死亡は業務に起因するものであるとして、労働者災害補...
《解 説》
一 本件は、陸地が人工的に掘削され常時海面下の土地となった場合、なお従前の土地所有者の所有権が存続するかが争点となった事案である。もともとX所有の陸地であった本件土地は、Xの同意の元、Yの管理する大井川港の泊地とするために掘削され、常時海面下五・五メートルないし八・二メートルの...
《解 説》
一 本件事案の概要は、次のとおりである。
Yは、芸能プロダクションを経営していた者であるが、Aの依頼により、演歌歌手を出演させるディナーショウを企画し、X経営のホテルにおいて、平成七年一二月と平成八年一二月の二回にわたり、宴会を催した。ところが、Yがその代金を一部支払わなかっ...
《解 説》
本件は、X(原告、被控訴人)が、倒産(自主廃業)前の山一證券との間で信用取引をしていて山一證券株の買い・売りを三回した後、平成九年一一月二一日に一〇一〇万円で買付け(本件取引)した山一證券株一〇万株(額面一株五〇円、一株一〇一円で買付け)が同月二四日に山一證券が自主廃業を決定し...
《解 説》
一 Xは、画像処理システムの企画、設計、開発等を業とする会社であり、Yは、コンピュータ・事務用機器及びソフト等の販売をする会社である。Xはコンピュータグラフィックス用ボード等のA会社(カナダの法人)と取引があったが、A社の商品を日本で販売するため、Yとコンピュータグラフィックス...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Xは、Yが「ニフティサーブ」の名称で提供しているパソコン通信サービスの会員に加入し、そのサービスの提供を受けていた者であるが、ニフティサーブ上で、①ニフティサーブ会員ID番号********番(ハンドル名、丙山、以下「丙山」という)から「自...
《解 説》
一 本件は、松山市中央消防署の消防士(Y1)が、勤務時間中に、同署庁舎内で、上司である同署の署長を包丁で突き刺して殺害したことにつき、相続人ら(X1ないしX3)が、Y1とその使用者である松山市(Y2)に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。
二 本件の主たる争点は...
《解 説》
一 本件は、Y2銀行の行員であったXが、勤務先の支店長であるY1からいわゆるセクハラ行為を受け、その結果、Y2銀行を退職せざるを得なくなったなどと主張して、Y1に対しては不法行為に基づき、Y2に対しては、不法行為、労働契約上の債務不履行に基づいて損害賠償及び謝罪広告を請求したと...
《解 説》
一 事案の概要
被控訴人Y夫婦は、平成五年八月ころ、被控訴人Z会社との間で自宅の建替工事請負契約を締結し、幅員約五メートルの道路を挟んだ向かい側に居住する控訴人Xには、解体工事のためにはシートで囲ってするので、埃や大きな音は出さない旨説明した。そして、被控訴人Zが解体工事を主...
《解 説》
一 X(水産業を営むロシア法人)は、日本の商社Y1(代表者Y2)との間の売買契約に基づきY1に対し冷凍紅鮭セミドレスを引き渡したが、この売買契約はY2が代金支払の意思がないのに締結したものであると主張して、①(主位的に)Yらに対し、共同不法行為に基づく損害賠償として売買代金相当...
《解 説》
一 X(視覚障害者)は、Y(世田谷区)が実施主体となっているホームヘルパー(家庭奉仕員・家事援助者)派遣事業に基づき家政婦(家事援助者)Aを派遣してもらい、Aに家事・介護等の日常生活の世話をしてもらっていた。ところが、Aは、二一七〇万円余の預貯金を着服し、Xは被害を被った。そこ...
《解 説》
Xらの子であるA(女児、当時四歳)は、平成九年四月三日、伝染性単核症の疑いとの診断を受けて、Yの開設する病院に入院したが、同月五日朝、病院食であるバナナを誤嚥し、医師らの救命処置にもかかわらず窒息死した。伝染性単核症とは、腺熱と同義語であり、EBウィルスを病原体として、①二週間...
《解 説》
一 A(本件当時七一歳)は、長年糖尿病を患っていたが、平成六年七月二日、糖尿病が悪化し、自宅で意識不明となった。Aの妻と子であるX1、X2(原告ら)は、一一九番通報により救急車の派遣を要請し、Aは、Y1(甲事件被告)の開設する被告病院(第二次救急病院に指定されている。)に搬送さ...
《解 説》
一 原告の母親である亡Aは、海外で心臓移植手術を受けた後、国内で免疫抑制剤の投与等による術後管理を受けていたが、約四年後、慢性拒絶反応により死亡した。
本件は、原告が、亡Aが死亡したのは、免疫抑制剤の投与量等につき、術後管理が不適切であったためであるとして、担当医師及びその所...
《解 説》
一 亡訴外人Aは、各相続人の相続分を、妻であるY1に四分の一、子であるY2、Y3にそれぞれ一二分の一、補助参加人Zに一二分の七と指定し、生前自己が所有していた土地の持分(以下「本件土地持分」という。)等を、Zの前記指定相続分に満つるまで相続させると共に、Xを遺言執行者にする旨の...
《解 説》
造園業を営むX1及びその代表者であるX2は、その所有する建物及び家財について、損害保険会社であるY1及びY2との間で、火災保険契約を締結していたが、同建物及び家財が火災事故により焼失した。そこで、X1及びX2は、Y1及びY2に対して、右火災保険契約により火災保険金の支払いを請求...
《解 説》
一 訴外A(大正三年七月生)は、東武観光主催の「宮城作並の湯」の国内旅行に参加し、平成八年八月二八日、作並温泉に所在する「ホテルグリーン・グリーン」に宿泊した。
しかし、Aは、同日午後、飲酒した後、本件ホテルの浴場で入浴していたところ、急に意識を喪失し、溺水したため、救急車に...
《解 説》
一 Xは、「耐震ロック装置」に関して特許権(請求項の合計一六、本件特許権)を有するが、耐震ロック装置を搭載した家具、吊り戸棚(被告製品)を製造販売するYの行為は本件特許権を侵害すると主張して、Yに対し、補償金及び損害賠償の支払を求めた。これに対し、Yは、本件特許には、特許法一七...
《解 説》
一 本件は、その所有する不動産等につき根抵当権に基づく不動産競売手続を進められていた被告人が、特別売却手続において買受人は現れないと予想していたところ予期に反して買受人が現れたため、債権者との交渉の時間稼ぎをするために、契約書を改ざんして執行裁判所に提出するなどして、売却許否の...