最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 Xは、朝鮮半島に出生し、第二次世界大戦の前後を通じて同半島に在住している韓国人である。Xは、旧日本軍に志願して兵役に就き戦闘下において負傷し、左足が不自由になり、右腕を切断された。Xは、日本国との平和条約の発効により日本国籍を喪失したが、その後、Y(当時、総務庁恩給局長)に...
《解 説》
一 本件は、名古屋市の住民である原告らが、同市が一般廃棄物最終処分場建設用地として購入した土地の売買契約が無効であり、その購入代金の支出も違法であるとして、同市に代位して、名古屋市長個人らに対して、不法行為等を理由として代金相当額の支払を求めた住民訴訟であるが、本件で問題となっ...
《解 説》
一 本件訴訟の経過
1 本件は、A市が、A市と韓国釜山市との間の高速船海上輸送等を事業目的とする会社として官民共同出資で設立された第三セクターである本件会社に対し、その運航休止後の債務整理(傭船契約の合意解除の清算解決金四億六五〇〇万円及び金融機関からの借入金三億八〇〇〇万円...
《解 説》
一 事案の概要
日本機械保険連盟は、平成五年三月七日から平成八年三月六日までの間(以下「本件実行期間」という。)において、会員の損害保険会社に対して同連盟が決める一定保険料率による機械保険及び組立保険(以下「機械保険等」という。)の引受けを行わせ、もって機械保険等の引受けの取...
《解 説》
一 本件は、原告が、賃借していた建物の賃貸人が死亡した後にその相続人であるなどと主張する複数の者から賃料の支払請求を受けたため、過失なくして債権者を確知することができないことを原因として賃料の供託をした後、その取戻しを請求したところ、供託金取戻請求権は各供託の時から一〇年の時効...
《解 説》
一 昭和二二年に結成され、職制を含む全国の税関に勤務する職員のほとんどが加入していた唯一の職員団体である全国税関労働組合は、各税関ごとに支部組合を有しており、結成当初は、普通の労働組合としての待遇改善運動を行っていたが、昭和三〇年代に総評や公労協に加盟してからは、過激な政治的な...
《解 説》
一 本件は、Xから本件農地を買受け、農地法五条の転用移転許可を条件とする条件付所有権移転仮登記を経由していたYが、二二年以上転用許可申請を行わなかったところ、Xが、Yの転用許可申請手続協力請求権が時効により消滅したと主張して、本件農地の所有権に基づく妨害排除として、Yに対し、同...
《解 説》
一 YはAに対して、堅固建物の所有を目的として本件土地を賃貸し、Aは本件土地上に本件建物を建築して所有していた。本件建物について競売が実施され、Xは、本件建物を賃借権付き建物として競落し、本件建物とともに本件土地に対する賃借権を取得した。本件は、Yが賃借権の譲渡を承諾しないこと...
《解 説》
一 訴外会社は、預託金九五〇万円を支払って被告が経営するゴルフ場の預託金会員権を取得したが、その際、被告参加人・相互銀行との相互銀行取引から生ずる一切の債務を担保するため、右会員権を譲渡することを予約し、被告は確定日付ある証書によりこの譲渡予約を承諾した。平成三年一〇月、被告参...
《解 説》
一 本件土地の所有者であるAは、Xほか一名に、一坪当たりの単価に実測面積を乗じた額を代金額として本件土地を売却することになり、測量士Bに本件土地の測量を依頼した。Bはさらに右測量を測量会社Cに依頼し、Cが測量を行ったが、求積の際に計算を誤った結果、真実の面積より約一五パーセント...
《解 説》
一 本件は、Yから土地を購入したXが、この土地に隠れた瑕疵があったと主張して、Yに対し瑕疵担保による損害賠償を請求した事案である。Xがこの請求したのは、瑕疵を発見してから一年以内であり、民法五七〇条、五六六条三項所定の除斥期間内であったが、売買契約及び土地引渡しから二〇年以上経...
《解 説》
一 本件は、開業医であるものの、乳がんの専門医であるYに乳がんと診断されてその執刀により、乳房の膨らみをすべて取る胸筋温存乳房切除術を受けたXが、Yに対し、腫瘤とその周囲の乳房の一部のみを取る乳房温存療法についての説明義務違反を理由に診療契約上の債務不履行等に基づく損害賠償を請...
《解 説》
一 本件は、暴力団組長である被告人をはじめとする六名の者が、共謀の上、外国船から入手した覚せい剤を営利目的で本邦内に船舶で輸入したなどとして、覚せい剤取締法違反、関税法違反の罪に問われた事案である。
すなわち、被告人は、組の資金源とするため、瀬取り船(自らが運行を支配する船舶...
《解 説》
一 本件は、ホテルの駐車場内に放置されたセカンドバッグの中に入っていた覚せい剤について、ホテルの宿泊客による「所持」が認められるか否かが問題となった事案である。
本件の事実関係は、決定中に摘示されているが、要約すると、次のようなものである。すなわち、被告人は、午後九時ころ、い...
《解 説》
一 Xは、葬儀ホールの経営などを業とする会社であるが、葬儀の集会場である本件建物を建築するため、平成九年二月二八日、東京都葛飾区内に本件土地を取得し、直ちに本件建物の建築計画に着手し、同年六月二三日に建築確認申請を行い、同年一二月五日に建築確認を受け、平成一〇年一一月五日に本件...
《解 説》
一 本件の事案の概要は、以下のとおりである。
X1、X2及びX3は、いずれも被相続人Aの共同相続人九人のうちの一人である(平成六年三月二四日、被相続人Aの死亡により相続が開始した。)ところ、X1及びX2は、法定申告期限内の同年一一月二二日、天王寺税務署長に対し、相続税の申告を...
《解 説》
一 原告X1、X2は、被告JR東日本(Y)の横浜土木技術センターに所属する社員である。Yは、労働基準法(平一〇法一一二号改正前)三二条の二に基づく一か月単位の変形労働時間制を採用しているが、横浜土木技術センターの甲所長は、X1、X2に対し、変形労働時間制の対象となる単位期間(以...
《解 説》
Xは、建築業者Yに対し、自宅の新築を発注し、Yは、自らの設計・施工・監理の下にこれを完成させてXに引き渡した。しかし、本件建物には、(イ)二階居間及び台所の床の傾斜、(ロ)二階台所の勝手口サッシの竪枠の取付け不良、(ハ)二階洗面所の片引き戸の竪枠の取付け不良の瑕疵があり、うち(...
《解 説》
一 Xらは、Y(旅行会社)が募集したワールドカップサッカーフランス大会「日本対アルゼンチン戦」の観戦旅行(イタリア周遊の旅九日間)に応募して、Yとの間に旅行契約を締結した。しかし、Yがこの試合の入場券の入手ができなかったためXらは試合観戦ができなかった。そこで、Xらは、旅行目的...
《解 説》
一 Aは金融機関Bから借入を行うに際し、信用保証協会である被告との間に信用保証委託契約を締結し、原告はAの被告に対する右信用保証委託契約上の求償債務を連帯保証し、被告は右信用保証委託契約に基づきBとの間でAのBに対する借入債務につき保証契約を締結した。Aの破産宣告後、被告は右保...
《解 説》
一 本件は、商標権侵害を理由とする損害賠償を求めた事案であり、その概要は、以下のとおりである。
Xは食品輸入商社であり、主としてカナダから輸入した商品をホテル、レストラン、健康食品店等に販売する業務を行っているが、楓の葉を図案化した図形(本件図形)を第三者にデザインさせて、商...
《解 説》
一 本件は、ラック用カバー(屋外に配設した冷媒管等を収納するラックに付するカバー)に関する二件の意匠権(略L字状と略T字状)を有するXが、Yの製造・販売する製品群は、Xの両意匠権を侵害していると主張して、Yの製品の製造等の差止め、製品等の廃棄及び損害賠償を求めた事案である。
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《解 説》
一 本件は、Xが、Yがその製油所で行っている石油の脱ロウ方法が、Xの有していた(平成元年九月一三日で存続期間満了)特許権(以下「本件特許権」という。)を侵害しているとして、損害賠償を求めた事案である。
本件では、Yの行っている右方法が、本件特許の技術的範囲に属するか(論点1)...
《解 説》
一 本件は、不正競争防止法二条一項三号の形態模倣行為及び法二条一項七号の営業秘密不正使用行為が争われた事案であり、その概要は、以下のとおりである。X(原告)は、ハンドバッグ等の輸入販売を業とし、平成九年一〇月ころから、フランスのエルメス社の著名なバッグであるバーキンと同一形態の...
《解 説》
一 Xは、ノンフィクション作家であり、ソニー株式会社の沿革等に関する連載記事を執筆して夕刊フジ紙(首都圏を中心に販売される日刊夕刊紙)に掲載していたものであるが、同社の創業者で、最高相談役であった井深大氏の死去直後、同連載記事のなかで、その葬儀の様子を記述した記事(原告著作物)...
《解 説》
一 本件は、インターネット上の著作権侵害に関して、著作権者が発信者及びプロバイダー(接続業者)に対して、侵害行為の差止め及び損害賠償を求めた事案であり、その概要は以下のとおりである。
Xらは、各ビジネス書を著作した。Yは、プロバイダーAが提供するサーバーにおいて、ウェブサイト...
《解 説》
一 Xらは、「プロスタカス」という名称の前立腺肥大症患者のための医療用機械器具の輸入販売を行っている会社であるところ(X1の子会社がX2である)、その従業員であったY2らが、Xらの保有管理する顧客名簿等の情報を社外に持ち出し、自らが設立した同種の事業を目的とする会社であるY1に...
《解 説》
一 本件は、貸金業者である被告との間で金銭消費貸借契約を締結した原告が、貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業法」という。)一七条一項により右契約締結時に被告から原告に交付されるべき書面の交付を受けていないので、利息制限法一条一項に定める制限額を超える利息の弁済が、貸金業法四...
《解 説》
一 本件は、土木建築工事業者であるYから、ピアノ及びチェンバロの演奏練習場用などに使用する目的で、分譲マンションの一階にある本件建物を購入するとともに、同社との間で本件建物のうち、洋室二部屋部分について防音工事契約を締結したXらが、Yの施工した防音工事が契約に定められた防音水準...
《解 説》
一 本件は、育成型電子ペット玩具である「ファービー」の模倣品を被告人らが販売したことが著作権法違反に当たるとして公判請求された事件である。
本件公訴事実の要旨は、「被告人A1は、被告人会社A2の常務取締役として、商品の販売等の業務全般を統括する立場にあった者であるが、商品名『...
《解 説》
一 本件は、航空会社の客室乗務員(控訴人・スチュワーデス)に生じた慢性的な腰痛及び頚肩腕障害(頚肩腕症候群)が業務により発症したものか否かを中心として、これを業務外とした療養補償給付等不支給処分の適否が争われた事案である。
控訴人は、二〇歳で航空会社に採用され、それまでは健康...