最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、茨城県下の町長であるXが、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に基づく指定暴力団の組長であるY1及びその組員であるY2らから、延べ四五日間、合計五九回にわたって、町役場あるいは町長宅付近等において、Xが町の発注した公共工事において談合組織を作り、入札価格を漏...
《解 説》
一 本件は、京都府に事務所を有する法人格のない社団であるXが、京都府情報公開条例(昭和六三年京都府条例第一七号。本件条例)に基づき、本件条例の実施機関である京都府知事に対し、平成元年度知事交際費の使途明細についての公文書の公開を請求したところ、同知事は、交際費に係る資金前渡金受...
《解 説》
一 米国ポロ社は、衣料品を販売する会社として名声を得ており、同社が商標として使用する馬に乗ったポロ競技者の図形及び「RALPH LAUREN」の文字は、世界的に有名である。米国ポロ社は、日本において、昭和六三年五月に「POLO BY RALPH LAUREN」の文字を、平成四年...
《解 説》
一 原告は、建物の保存登記に際し登録免許税を納付した。しかし、この登記については、阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(以下、特例法という)三七条一項により登録免許税は課せられないと主張して、登記官に登録免許税法三二条二項による請求をしたが、拒否さ...
《解 説》
一 訴外A(昭和二五年生)は、Y1会社が主催するスキューバダイビングの講習会に参加し、平成九年九月二三日、Y2の指導のもとに静岡県熱海市伊豆山沖でスキューバダイビング中、エアエンボリズム(空気塞栓症)に罹患し、救急車で近くの病院に搬入されたが、死亡するに至った。
そこで、その...
《解 説》
一 本件は、平成一〇年七月に東京都千代田区のレストランで起きたボツリヌス菌による食中毒事故に関し、右レストランにおいて瓶詰オリーブを食したX1ら及び右レストランを経営するX3が、右オリーブを輸入したYに対し、製造物責任法等に基づき、治療費等、又は営業損害及び信用損害の賠償を求め...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Xは、昭和五七年八月から約二年間、厚生省薬務局生物製剤課長の職にあり、その後、東大医学部教授を勤め、平成一〇年、東大を定年退官した医師である。Xが生物製剤課長の職に従事していた際に後天性免疫不全症候群(以下「エイズ」という)の問題が発生し、...
《解 説》
一 本件は、Y(一審被告・控訴人、昭和三八年二月一一日生)の戸籍上の父A(大正一一年八月二五日生、平成七年二月二二日死亡)及び母B(大正九年一一月一五日生、平成八年三月二一日死亡)が相次いで死亡した後に、その遺産相続をめぐって紛争が生じ、Bの兄(昭和二〇年七月一〇日死亡)の子で...
《解 説》
一 「サブリース」という言葉を今更詳しく説明する必要はあるまい。とにかく不動産業者が土地所有者にビルを作らせ、ビルのオーナーとなった土地所有者からそのビルを一括して賃借(当初から転貸の承諾付きで、賃借年数は長期、賃料自働増額・最低賃料保証特約付きが多い)し、テナントを募って転貸...
《解 説》
一 Yは、Aに対し所有権移転登記抹消登記手続請求訴訟(以下「別件訴訟」という。)を提起して請求の認諾を得たが、これに基づく登記手続をしないまま放置し、そのため別件訴訟の提起に伴って嘱託された予告登記も抹消されないままとなっていた。その後競売手続により不動産の所有権を取得したXは...
《解 説》
一 事案の概要
本判決(以下判決①という)は予告登記の抹消嘱託を実現する方法につき判示するものであるが、同種の争点につき判断した事例として東京高判平12・12・20本号二二〇頁(以下判決②という)がある。判決①および判決②の各事案とも、係争土地の登記上の所有名義がYからZに移...
《解 説》
一 Xは日本人男性、Yは米国人女性であり、XとYは名古屋市において婚姻の届出をした夫婦であって、両者の間には二人の子がある。XとYは、婚姻後、愛知県で生活していたが、Yは、Xに無断で二子を連れて米国オレゴン州の実家に帰った。
Yは、オレゴン州の裁判所にXとの離婚及び二子の親権...
《解 説》
一 本件は、第一回公判前の平成一三年三月二三日にされた保釈許可決定後に、検察官から、当該勾留の基礎とされているパチンコ店に対する建造物侵入の公訴事実(被告人は、捜査段階から認めている。)に関して、右侵入に引き続いて行われたとするパチンコ玉の窃盗未遂(被告人は、捜査段階では否認し...
《解 説》
一 本件は、土木建築工事の請負等を業とする建設会社の代表取締役副社長の職にあった被告人Aが、公正取引委員会(以下「公取委」という。)が、埼玉県内の公共工事を受注する同社等の建設会社六六社が同県内に設けている支店等の営業責任者らにより組織されていた「埼玉土曜会」(以下「土曜会」と...
《解 説》
一 本件は、昭和五九年一月一〇日に行方不明になった被害者(男児)を殺害したとして、時効完成目前に逮捕起訴された被告人(女性)に対し、殺意をもって被害者を死亡させたと認定するには合理的な疑いが残るとして、無罪が言い渡された事例である。
まず、本件公訴事実の要旨は、「被告人は、昭...