最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、太平洋戦争中、日本政府が昭和一七年一一月に行った「華人労務者内地移入に関する件」と題する閣議決定により、中国山東省の住民である被害者が、被告の行為によって北海道に強制連行されたうえ、過酷な強制労働を強いられ、これに耐えかねて逃走し、その後一三年の長期にわたって北海道...
《解 説》
一 本件の概要
本件は、江沢民講演会名簿提出事件といわれるプライバシー侵害による不法行為の成否が争点となった訴訟である。
Y大学は、平成一〇年一一月二八日に江沢民中華人民共和国主席の講演会を企画し、学生から参加者を募った。Y大学の学生であるXらは、講演会に参加するため、参加...
《解 説》
一 本件は、軽油の製造販売等を業とする被告会社の代表取締役である被告人が、他の者と共謀の上、被告会社の業務に関し、軽油を製造して販売しながら軽油引取税をほ脱したという地方税法違反の事案である。
二 軽油引取税は、道府県税として設けられた消費税の一種であり、道路特定財源としての...
《解 説》
一 本件は、平成一一年四月二五日執行の大牟田市議会議員一般選挙の繰上補充における当選人の決定の際に右選挙における投票の効力が争われたものである。
本件選挙において選挙会が決定した得票数は、永江利文候補一五七八票、松葉幸生候補一五七六票、両候補の得票差は二票であった。大牟田市選...
《解 説》
一 本件は、大韓民国国民である原告二名が、第二次世界大戦中に女子勤労挺身隊員として日本国内に強制連行されて過酷な肉体労働に従事させられ、多大な精神的及び肉体的損害を被ったとして、被告国に対し、公式謝罪及び損害賠償を求めた事案である。
原告らは、法律上の根拠として、①日本国憲法...
《解 説》
一 事案の概要
本件の事案の概要は、右判示事項との関係で要約すれば、以下のとおりである。
学校法人Y1は、私立大学である本件大学を設立してその経営に当たっていたところ、Y2は、昭和六一年一二月から平成六年六月まで、Y3は、平成六年七月から現在まで、本件大学の学長及び理事であ...
《解 説》
一 Xは、元従業員であったY1、Y2に対し、「販売代理店契約」の際の競業禁止条項に基づき、競業行為の差止を求めるとともに、損害賠償を求めた。Yらは、競業禁止条項が公序良俗に反し無効であるなどと主張して、争った。
二 判決の内容
判決では、Xにおける販売戦略及びそれと密接不可...
《解 説》
一 事案の概要
Xは、Zを連帯保証人としてYに対して貸付けをしたとして、YZに対して、貸金債務及び連帯保証債務の履行を請求したところ、YZは商事消滅時効を援用した。
これに対し、Xは、Yの事務所に宛てて、右貸金債務の商事消滅時効期間の徒過直前に催告の通知をしたところ、右通知...
《解 説》
一 貸室の賃借人が契約終了後に敷金の返還を求めたのに対し、賃貸人は原状回復費用との相殺を主張し、賃貸借契約には全ての損耗汚染を賃借人の負担で原状に回復する特約があると主張した。一審豊中簡裁判決と原審大阪地裁判決は、通常の使用による減耗汚染を原状に回復する費用をも賃借人が負担する...
《解 説》
一 本件の事案は、かねてから創価学会に批判的な政治活動をしてきた東村山女性市議がマンションの階段から転落死したことに関し、「週刊現代」誌上に『東村山女性市議「変死」の謎に迫る/夫と娘が激白!「Aは創価学会に殺された」』との見出しで女性市議の死亡に創価学会(X)の関係者が関与した...
《解 説》
一 訴外Aは、平成九年九月二三日、静岡県熱海市伊豆山沖において、スキューバダイビングの講習会の企画及び開催等を業とするY1会社の代表者Y2とともに、スキューバダイビング中、エアエンボリズム(空気塞栓症)に罹患し、救急車で近くの病院に搬入されたが、同日、死亡するに至った。
Aの...
《解 説》
本件は、本誌九三七号二一三頁に掲載された一審判決(東京地判平8・4・26)の控訴審判決である。事案は、陸軍歩兵連隊に所属して日中戦争に従軍し、南京攻略戦に参加したY1が自己の従軍日記『東日記』に基づくものとして執筆し、Y2が発行した「わが南京プラトーン」(書籍1)、Y3がY1の...
《解 説》
一 事案の概要
Aは、B社、税理士であるY1、Y2社(代表者Y1)及びY3から、C社の株式を購入して、Aの相続人のうち財産を多く相続させようとする相続人に右株式を贈与し、受贈者である相続人が一定期間後にY2社が紹介する業者に時価で売却する方法によれば、相続税の支払を少なくする...
《解 説》
一 本件は、日本音楽著作権協会(以下「原告」という。)が、二店のパブを共同経営する被告二名(以下「被告甲及び乙」という。)に対し、原告の使用許諾を受けることなくカラオケ装置のリースを受けてこれを二店で使用して営業上の利益の増大を図っているとして、その使用差止め、カラオケ装置の撤...
《解 説》
一 原告らは、マーシャル諸島共和国を被告として、同国との間でアメリカ合衆国の永住権を取得することを内容とする合意(本判決が「本件合意」とするもの)をし、対価を支払ったが、被告がその債務を履行しないため、本件合意を解除したと主張して、不当利得の返還を求めた。
二 本件においては...
《解 説》
一 Yは、香港に本社を置く会社であるXに対し、貸金請求の訴えを提起した。右訴状は、Xの日本における支店に送達され、Aが「事務員」として受領したが、そのまま放置したため裁判所によってYのXに対する欠席判決がされた。右判決正本は同所に送達され、Aは郵便局の窓口でXの代表者名でこれを...
《解 説》
負債総額約二四億円の商社が民事再生を申し立てたことから、同社に対して売掛債権を有していた別の商社が、動産売買の先取特権に基づく物上代位権行使のため、同再生債務者の有する第三債務者への売掛金を差押えた。差押命令が送達されるや、再生債務者から、民事再生法第三一条に基づく、担保権実行...
《解 説》
一 本件事案は、次のとおりである。被告人は、いきつけのパブで飲酒中、相客であった被害者(酩酊状態)の言動にいら立ち、「男だったら、はっきりせんかい。」等と言って、傍らにあった椅子を被害者の方に向けて蹴り付け、これにより椅子二脚が被害者の方に向けて将棋倒しになった。その直後、被告...
《解 説》
一 本件は、中国人である被告人が、旅券不携帯事件(出入国管理及び難民認定法違反。以下「甲事件」という。)により現行犯逮捕され、その勾留延長期間満了日に処分保留のまま釈放されると同時に、偽造有印公文書行使事件(以下「乙事件」という。)で再逮捕されて勾留され、その起訴から二一日目に...
《解 説》
一 本件は、市営の路線バスの車体に描かれた絵画(原告作品)について著作権及び著作者人格権を有するXが、Yに対し、原告作品の描かれたバスの写真を掲載して書籍(被告書籍)を出版等したYの行為は、著作権(複製権)及び著作者人格権(氏名表示権)侵害に当たるとして、損害賠償を求めた事案で...