最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本判決は、元衆議院議員で、労働大臣を務めたこともあった被告人が、議員在職中に犯した判示の各事実に対して、懲役四年の実刑判決を言い渡したもので、起訴当時から世間の耳目を集めていた事件に対する判決である。
事案の概要は、被告人が、財団の常務理事の地位にあった被告人の秘書らと共...
《解 説》
一 本件は、被告が森林法(平成一一年法律第八七号による改正前のもの。以下同じ。)一〇条の二に基づいてした開発行為の許可処分について、開発区域の周辺に居住し又は立木等を所有するなどする原告らが、その取消しを求めた行政訴訟である。本件開発許可は、山林をゴルフ場として造成するための開...
《解 説》
一 本件は、大阪府の住民等であるXらが大阪府公文書公開等条例(昭和五九年大阪府条例第二号。以下「本件条例」という。)に基づき、実施機関である大阪府知事に対し、昭和六〇年一月ないし三月に支出した大阪府知事の交際費(本件交際費)についての公文書の公開(閲覧及び写しの交付)を請求した...
《解 説》
一 事案の概要
Y(被告、控訴人兼附帯被控訴人、上告人兼上告受理申立人)には、従業員で組織される労働組合として、従前からA組合があったが、その後B組合も結成された。A組合とYとは、ある年度のベースアップについて団体交渉を行い、金額については合意したものの、Yが協定書の記載に関...
《解 説》
一 本件は、破産宣告に対する破産者の即時抗告期間が争点とされた事案である。破産手続に関する裁判に対する不服申立てにつき、破産法一一二条(以下、「法」という。)は、利害関係者は即時抗告をすることができると規定している。即時抗告期間は、一般的には裁判の告知を受けた日から一週間である...
《解 説》
一 本件は、被告人が、A、Bらと共謀し、Aの知人らの住居に火災保険を掛け、放火して火災保険金を騙取するなどしたほか、口封じのため、Aと共謀して、Bを殺害し、死体を遺棄したという事案である。被告人は、捜査段階では殺害事件への関与を認めたものの、その余の事件への関与を否定し、起訴さ...
《解 説》
一 本件は、小学校のPTAの会員(教師とその担任生徒の親)が、平成八年度決算報告書の「修繕費」について決算内容に疑問を抱き、PTAに対し、会計帳簿とその基礎資料(請求書、通帳、領収書等)の閲覧を請求した事案である。
二 一審(本誌一〇二六号二八六頁)は、本件請求が司法審査の対...
《解 説》
この事件は、商品取引の会社が顧客に対して取引の清算金の支払いを求めた本訴に対して、担当者の断定的判断の提供、無断売買、無意味な反復売買、必要のない両建を行うなどの不法行為があったとして、顧客が会社に対して、損害賠償の反訴請求をした事件である。
一審判決は、顧客の供述をほぼ全面...
《解 説》
一 住宅ローン保証保険は、住宅ローンの貸倒れの危険を担保するため、国の第二次住宅建設五か年計画の初年度に当たる昭和四六年一一月一日、損保会社全社が一斉に営業を開始した新種保険である。保険会社は住宅ローンの借入人を保険契約者、金融機関を被保険者とする第三者のための保険契約を締結し...
《解 説》
一 本件は、負債の任意整理を受任した弁護士Xが、債権者Y(貸金業者)の従業員による自己の依頼者への暴力的な直接取立行為によって、自己が弁護士として有する、依頼者が直接取立てから解放されるよう努力すべき職務の遂行を妨害されない利益を侵害されたとして、Yに対し、使用者責任に基づく損...
《解 説》
一 本件は、医師であるXが診療科目に眼科を標榜し、コンタクトレンズの診療及び販売を始めたことに関して、眼科専門医であるYが「営利企業のコンタクトレンズ診療所を許すな」との表題で県眼科医会会報に掲載した記事により、Xがオウム真理教の信者と疑われたり、経験のない非眼科医であると虚偽...
《解 説》
一 Xは、他の少年らと共に、大阪市内でAを殺害し、その死体を遺棄したという大阪事件、愛知県内でBに暴行を加え、瀕死の重傷を負わせた上、Bを木曽川河川敷に遺棄して殺害したという木曽川事件、愛知県内でCらを自動車内に不法監禁し、暴行を加えた上、金品を強奪し、さらにCらを長良川河川敷...
《解 説》
一 Xは、平成四年九月、Aと称する者の所有する不動産を担保として、Aと称する者に対し、合計一億二〇〇〇万円を貸し付けたが、担保のための所有権移転登記と根抵当権設定登記手続を委任したY1司法書士に保証書の作成を依頼したところ、Y1は、これを引き受けて保証書を作成するとともに、Y2...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
Xは、Y1会社が管理する居室を賃借したが、その賃貸借契約書には「賃借人が賃借料の支払を七日以上怠ったときは、賃貸人は、直ちに賃貸物件の施錠をすることができる。」という特約条項(本件特約)の記載があった。その後、Xは、平成一〇年一〇月以...
《解 説》
Y及びその配下の者等は、Xにつき宗教団体及び霊感商法への関与について週刊誌報道がされたことを受けて、Xが当該宗教団体の広告塔ではないかと疑い、Xの家人に対し、抗議糾弾活動を行うとの質問状を手交した後、九日間に二七回にもわたり、街宣車をXの自宅周辺において走らせ、拡声器から大音量...
《解 説》
一 Yは週刊誌「週刊現代」を発行している出版社である。Yが、同誌平成九年一〇月四日号に、国家公務員の自殺が相次いでいることを取り上げた記事(本件記事)を掲載したところ、衆議院議員であるXが、本件記事は同誌の読者をして、郵政省(当時)の国家公務員であったAが自殺したのは同人が担当...
《解 説》
一 事案の概要
Xは変額保険に関する販売資格を有する生命保険会社勤務の女性であるが、Yの従業員らがXに対してなした米国の商品取引所に上場されている商品オプション取引に係る勧誘行為は、不適格者に対して無差別に電話でなされたもので、断定的判断を提供するものであることから違法であり...
《解 説》
一 訴訟の経過
本件は、長年会社人間的な生活をしてきた夫の定年後に、妻が離婚を求めた事件である。一審判決は、離婚を認めて、夫に対して、慰謝料二〇〇万円、財産分与として、現在夫の居住する建物の夫の持分全部(妻に残りの持分があるので、建物全部が妻のものになり、夫は退去を迫られる)...
《解 説》
一 被申立人は、一般放送事業等を目的とする株式会社であり、ホテル業を目的とする会社を子会社として、その発行済株式総数の八九パーセントの株式を保有し、かつ取締役を派遣していた。
被申立人の株主である申立人は、被申立人の取締役らは、子会社の営業を停止すべき時期にそれをせず、ホテル...
《解 説》
一 本件は、「ボク安心 ママの膝(ひざ)より チャイルドシート」という交通標語(原告スローガン)を創作したXが、「ママの胸より チャイルドシート」という交通標語(被告スローガン)を作成し、これを交通安全のためのテレビCMとして放映させたYらに対し、被告スローガンは原告スローガン...
《解 説》
1 事案の概要
本件は、「歌川」姓の雅号又は「歌川派」の名称は、自己が主宰する浮世絵流派の名称として周知であるとして、原告が、不正競争防止法三条一項、二条一項一号に基づき、「歌川」姓を雅号に使用している被告に対し、「歌川」姓を雅号として使用することなどの差止めを求めた事案であ...
《解 説》
一 本件被告人は、とび口を自車助手席足元の床上の運転席との境目に隠し携帯し、本件覚せい剤(ビニール容器入りの水溶液)を助手席のシート上に置いてあったセカンドバッグ内に入れて所持していたものであるが、平成一一年一〇月二五日、とび口の隠し携帯という、軽犯罪法一条二号違反の罪により略...
《解 説》
一 本件は、覚せい剤取締法上の覚せい剤輸入罪の成立時期等が問題となった事件である。
二 本判決(一審判決も同旨)によると、本件の事実関係の概要は、おおむね以下のとおりである。
すなわち、本件被告人は、暴力団組長であるが、配下組員やその他の暴力団関係者らと共謀の上、公海上で外...
《解 説》
一 本件は、プログラムについての著作権を有するXら(ソフトメーカー)が、Yを相手として、企業内でプログラムを違法にインストールして使用したことが著作権侵害に当たるとして、プログラムの使用の差止め及び損害賠償等を求めた事案である。ところで、Yは、訴訟手続が開始した後に自ら調査して...
《解 説》
一 本判決は、家庭用テレビゲーム機「プレイステーション」用のゲームソフトについて、著作権者であるゲームソフトメーカーが、ゲームソフトの中古品販売業者に対し、著作権法二六条一項の頒布権に基づき、中古ゲームソフトの販売差止請求権を有するかどうかが争われた事案の控訴審判決である。
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