最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、権利能力のない社団である株主会員組織のゴルフクラブY1の会員であったXが、Y1及びゴルフ場経営会社Y2に対し、Y1の個人正会員たる地位を有することの確認を請求した訴訟である。本件においては、Y1の総会で多数決によってした構成員の資格要件を定める規約の改正が、右改正に...
《解 説》
一 本件は、大手証券会社Aが大口顧客である訴外会社Bに対して損失補填を行ったことによりAに補填相当額の損害を生じたとして、Aの株主であるXらが、その決定・実施に関わった当時のAの代表取締役であるYらに対し、商法二六六条一項五号に基づき損害賠償を求める株主代表訴訟である。
二 ...
《解 説》
第一 事案の概要
一 印刷用書体とは
本件で問題となった印刷用書体(タイプフェイス)とは、漢字、仮名、アルファベット等の字体を具体的に印刷等に使用できるように、統一的なコンセプトに基づいて創作された文字や記号の一組のデザインをいう。
二 前提事実
X(本訴原告・反訴被告...
《解 説》
一 本件は、大手出版社社長であったAが、同社カメラマンCらと共謀して、コカインを密輸入しようとしたという麻薬及び向精神薬取締法違反・関税法違反と、それ以前に多数回にわたり薬物購入代金等として会社資金をロサンゼルス在住のDの預金口座に送金して横領したという業務上横領の事案である。...
《解 説》
Xは宅地建物取引業者であり、宅地建物取引業法二五条に基づき、営業保証金の供託として地方法務局K支局(国Y)に額面三〇〇万円の割引国庫債権(償還期限昭和六二年三月二〇日)を供託していたところ、平成九年三月二〇日の経過により右国債の償還請求権が時効消滅した(なお、Xの供託物取戻請求...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
北海道内において食品製造業等を営むX会社が、平成五年一月、取締役Aに対し、退職金三億円を支給し、全額について損金として算入して確定申告したところ、課税庁Yは、Xと類似すると判断した四法人を抽出して平均功績倍率法(当該法人と類似する法人...
《解 説》
一 本件事案の概要中判示事項に関係のある事実は次のとおりである。
大東市の住民Xは、大東市議会事務局長Yに対し、隣接市の市長選挙立候補者に選挙の陣中見舞いとして交付したビール券の購入代金を市議会の交際費から支出したことにつき、地方自治法二条一三項、地方財政法四条一項、公職選挙...
《解 説》
一 本件は、東大阪市長であった被告が、辞職した後、在職中に犯した犯罪により有罪判決を受け、すでに支給されていた退職手当の返還を市から求められた事件である。判決は、現市長が被告に対して発した退職手当返納命令は正当であると判断し、これを前提とする市(原告)の被告に対する退職手当返還...
《解 説》
一 本件はA町の住民であるXが、①町議会議長、議員らの打合せ等のためとして支出された会食代、②監査委員らに対する昼食代、同委員らと町職員らとの懇談会費、③町長らが利用したタクシーチケット代に関する公金支出が違法であるとして、これらについての支出命令を発したA町の助役であるYに対...
《解 説》
本件の原告は、労働者災害補償保険法二七条一号に該当するいわゆる中小企業主等の特別加入者として労働者災害補償保険に加入している。原告の経営する工場では、労働者の通常の勤務時間は午前八時三〇分から午後五時とされていたが、原告は、午後五時を過ぎてから、一旦夕食を取りに行った後に一人で...
《解 説》
一 本件は、各種ミシン部品製造販売等を業とする株式会社である被告の従業員であった者一三名(そのうち一名については既に死亡しており、その相続人三名が承継した。)が原告として、被告が労働協約に基づいて行った月額給与の基本給の減額を内容とする給与改定の効力を争い、月額給与並びに基本給...
《解 説》
一 事案の概要
Xらは、第二次大戦中、朝鮮半島から女子勤労挺身隊員の募集あるいは徴用により来日し、Yが経営していた富山市内の軍需工場で労働に従事したとして、Yに対し、未払賃金の支払を請求するとともに、右労働については、劣悪な環境下での強制労働であり、労働時間外も常に監視され、...
《解 説》
一 本件は、都心の高層ビル街の自己所有地上に建物を所有するXが、右建物の老朽化により外壁の補修工事を要するとして、右建物の西側及び北側で境界を接する土地及びその土地上の建物を所有するYに対し、補修工事のためにY所有地上の空間を使用すること及びY所有建物の屋上部分及び非常階段等に...
《解 説》
一 本件は、預託金制ゴルフクラブの会員らが、同クラブの経営者に対し、預託金の据置期間満了前にその返還を求めた事例である。
Yは預託金制ゴルフクラブ(以下「本件クラブ」という。)を経営する会社であるが、預託金の据置期間満了後において、Xらを含むすべての会員が集中的に預託金返還を...
《解 説》
一 Xは、平成八年一月当時、横浜市港北区日吉本町のアパートに居住し、日本油脂に勤務していたものであるが、定年退職後は、郷里から母を呼び寄せて一緒に暮らすためマンションの購入を希望していたところ、不動産会社であるYの営業社員に横浜駅から歩いて数分という距離にある「クリオ横浜壱番館...
《解 説》
YはA寺が所有する土地を賃借し、木造瓦葺二階建居宅を所有していた者であるが、平成八年五月ころ、結婚に際して新居を構える場所を検討し、右建物が古くて新居としてふさわしくないことから、対処方法を弁護士であるXに相談した。Xは、A寺の代理人弁護士と交渉し、A寺は当初、本件土地の借地権...
《解 説》
一 Xは、平成七年四月から平成一〇年八月まで、電子機器等の輸出入業務等を営むY1会社に勤務していた者であるが、平成一〇年四月ころ、Y1会社の情報技術部シニアマネージャーであったY2が、Y1会社内のXの事務用机の引出しに保管されていたXが撮影した写真のネガフィルム数葉を盗み出し、...
《解 説》
一 Xは、平成二年三月から、県立大学附属生物工学研究所の研究補助員として勤務していた既婚の女性であるところ、同研究所の教授であるYとともに、平成五年八月二八日から同年九月三日まで開催される国際植物科学会議に参加し、新横浜プリンスホテルに宿泊したが、同月三日の朝、Yが突然Xの部屋...
《解 説》
一 訴外Aは、高校卒業後、自動車会社に勤務していたが、平成五年五月、左肩背部に腫瘤が発症したため、Yの経営する診療所において切除手術を受けた。
しかし、平成六年になって、Aの身体の同じ場所に腫瘤が再発し、それが大きくなって腫瘍と診断されたため、平成六年六月、大学付属病院で腫瘍...
《解 説》
一 茨城県立総和高校に在籍していたXらの子Aが、平成五年一一月に行われた「全国高校ボクシング選抜大会県選手会兼県選手権大会」(以下「本件大会」という。)に参加し、他高の選手らと試合を行ったが、試合の終了直後、突如気分の悪さを訴えて倒れ、救急車で病院に搬入されたが、数日後、頭部打...
《解 説》
一 事案の概要
XはA社の株主であり、Y4はB社の代表取締役、その余の被告はA社の取締役ないし監査役である。A社はB社と業務等で提携するに先立ち、第三者割り当ての方法で発行されたB社の株式を引受け、一四億七二五〇万円(額面普通株式三一〇万株、一株あたりの発行価額四七五円)を払...
《解 説》
一 A銀行は、宅地開発事業を行っていたB社に対し、平成二年から平成五年までの間に、甲宅地開発事業に関し総額六億八一〇〇万円、乙宅地開発事業に関し総額五一億一七〇〇万円の貸付をしたが、B社は平成六年七月事実上倒産し、右貸付金のほとんどが回収不能となった。本件は、A銀行の株主である...
《解 説》
一 訴外Aは、平成四年五月当時、会社組織で革製品の製造販売業等を営んでいたが、同月一七日、自宅を出たまま行方不明となり失踪したが、平成八年一月七日、静岡県裾野市の芦ノ湖スカイライン杓子峠展望台付近の山林内で乗用車とともに死体で発見され、死亡時期については平成四年五月ころと推定さ...
《解 説》
一 訴外Aは、平成八年一二月一四日、茨城県鹿島郡大洋村内の道路上を、普通貨物自動車を運転して走行中、訴外B運転の大型貨物自動車と衝突し、AとA運転の自動車に同乗していた訴外Cが死亡した。
そこで、Cの両親であるX1とX2は、A運転の自動車の所有者であるY1会社と加害運転者Aの...
《解 説》
一 Xは、平成六年八月ころ、名古屋市内の賃借店舗において内妻Aの名義で「ブティック」を経営し、賃借していた倉庫に商品、原材料、製品等を保管していたところ、同月五日の深夜に発生した火災により右商品等を全部焼失した。
そこで、Xは、A名義で右商品等を目的として店舗総合保険契約を締...
《解 説》
一 訴外Aは、平成八年一一月当時広島修道大学の三年生であったが、同月一二日、自動二輪車を運転して広島市内を走行中、同市内牛田新町の交差点において、Y1の運転する普通乗用車と衝突し、頚椎損傷により死亡した。
そこで、Aの母であるX1と姉であるX2は、加害運転者Y1と加害車の所有...
《解 説》
Xは中国人であるが、夫Aが昭和一五年一二月、日本軍関係の宿舎から脱出したところ、軍人によって発見されて連れ戻され、暴行を受けて死亡したと主張し、不法行為による債権の成立及び効力については法例一一条一項により不法行為地法である満州国民法七三二条、七三七条一項本文を適用し、さらに法...
《解 説》
一 Xは、Yとの間で製品の売買契約を締結し、この契約に基づいて製品の出荷準備を整え、Yに対し荷状を送り受領を催告したが、Yが引取りを拒絶したことから、Yに対し、契約を解除する旨の意思表示をし、その債務不履行を理由に、Xが被った得べかりし利益等の損害の賠償を求めた。
Yは、本案...
《解 説》
一 ゴルフ場経営会社最大手の日東興業は、平成九年一二月東京地裁に和議開始の申立てを行い、東京地裁は本年三月一〇日、日東興業の和議案を認可する決定を行った(金判一〇六三号二二頁参照)。右決定に対しては、本件更生手続の申立人らの一部から即時抗告がなされたが、東京高裁は、本年五月一七...
《解 説》
一 本件は、被告人が、当時勤務していたA銀行が当事者となり、包括根保証契約の成否等が争われた民事訴訟において、証人として宣誓の上、「B社(主債務者)がA銀行からつなぎ融資を受けるに当たり、銀行担当者として、B社代表者の実父C(保証人)が保証約定書に署名押印するに際し、Cに対し、...
《解 説》
一 本件は、山一證券における証券取引において、約四六〇〇万円の損失を受けた被告人が、同社との交渉を絶たれたところから、同社及びその代理人として対応した弁護士に対する憤懣を募らせ、同弁護士を殺害してその恨みを晴らすとともに、同社の関係者に恐怖感を与えて損失補?等に応じさせようと企...
《解 説》
一 本判決は、犯罪捜査に当たった警察官が被疑者の弁護士の所属団体及び所属政党を調査した内容を記載した捜査報告書が、その後裁判の証拠として提出されたことについて、当該弁護士がプライバシーの侵害を理由に国家賠償を求めた事件に関する控訴審判決である。すなわち、弁護士であるXは、傷害事...