最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、旧住専の大口債務者であった末野興産(現マッセ)の代表取締役であった被告人Sが大がかりな資産隠しを図ったなどとしてマスコミをにぎわせた末野興産事件の刑事事件判決である。
本件は、犯罪事実が極めて多数の複雑な事案であるが、その概要は、被告人Sが、末野興産の幹部らと共謀...
《解 説》
一 本件は、長崎の原子爆弾の被爆者であるXが、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律(昭和三二年法律第四一号。平成六年法律第一一七号により廃止。以下「法」という。)八条一項の認定の申請をしたのに対し、Y(厚生大臣)がこれを却下する処分(以下「本件処分」という。)をしたため、その取消...
《解 説》
一 本件は、支店長付きの運転手として自動車運転の業務に従事していた当時五四歳の労働者Xが、早朝、支店長を迎えに行くため自動車を運転して走行中くも膜下出血を発症したことにつき、右発症が業務上の疾病に当たるか否かが争われた事案である。
二 Xの業務は、支店長の乗車する自動車の運転...
《解 説》
一 甲は子である乙に遺産全部を包括遺贈する旨の遺言をして死亡した。甲の子である丙らが遺留分減殺請求をし、それにより遺産は乙と丙らの共有に帰した。遺産は多数の土地・建物と株式及び美術品等である。丙らは、当初、全遺産につき共有物の分割を請求したが、最終的には、不動産及び株式の分割及...
《解 説》
一 本件は、Xの生活保護法に基づく保護開始申請に対してA福祉事務所長がした保護開始決定が違法であるなどとして、XがYに対し国家賠償法一条一項に基づく損害賠償を求めた事案である。一審及び原審ともにXの請求を棄却すべきものとしたため、Xが上告したが、上告状及びXが上告理由書提出期間...
《解 説》
X1は、平成三年春ころ、それまで事業用に賃借していた倉庫の立退きを求められ、代替用地を探していたところ、銀行から本件各土地を紹介され、同年九月二七日、X2及びAの三者が本件各土地の所有権を売買により取得した(持分各三分の一。なお、Aは同四年七月一六日死亡し、X3が相続した)。X...
《解 説》
一 地方税法(以下「法」という。)によれば、宅地に課する固定資産税は、当該宅地の賦課期日における価格に税率を乗じて算出されるが、賦課期日とは三年ごとの評価見直し年度の一月一日とされ、価格とは「適正な時価」とされている(法三五九条、三四一条、三四九条)。自治省は、平成六年度の土地...
《解 説》
一 本件は、通信販売業を営む原告が、原告商品の購入につきクレジット・カード等を利用した顧客からの代金回収について、カード会社に対して支払う手数料は、商品代金の回収事務という消費税の課税対象たる取引(役務の提供)の対価であり、原告が課税期間中に支払った手数料中には消費税が含まれる...
《解 説》
一 公正取引委員会は、平成七年八月八日、Yら五社が地方公共団体が発注する上水道施設の計装設備工事の入札をめぐり談合を繰り返していたと認定して、対象期間内に受注実績のなかった一社を除くYら四社に対し課徴金納付命令を出した。
本件は、右課徴金納付命令の対象とされた工事に関して各地...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、東京都渋谷区が平成五年度から七年度の間に支出した食糧費全部に関する会計文書の公開請求をし、その部分公開決定を受けた原告が、当該部分公開決定に添付されていた公開結果一覧表のうち「対象文書及び書類名」の記載を抜粋した一覧表(以下「本件一覧表」という。)を作...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和六三年二月当時、茨城新聞社に勤務し、出版センターの編集業務に従事していた者であるが、同月一九日、自宅で意識を失って倒れ、近くの総合病院に搬送されたが、翌二〇日、高血圧性脳出血により死亡した。
そこで、Aの妻であるXは、Y(水戸労働基準監督署長)に対し、Aの死...
《解 説》
本件は、XのYに対する連帯保証債務履行請求であり、主たる争点は消滅時効の抗弁の成否である。
Xは、訴外会社に対し、昭和五四年五月三一日、二億五一四五万円を貸し付け、Yが、これを連帯保証した。訴外会社は、昭和五四年六月二二日、会社更生手続開始の申立てをし、昭和五七年三月三〇日、...
《解 説》
一 本件土地建物は、もとXが所有していたが、平成三年一〇月一日Xの長男A(昭29・2・18生)に贈与され、Aは、平成四月八日一〇日これを代金一一四〇万七七四〇円でYに売却した(八月一八日所有権移転登記済み)。Aは、精神分裂病であり、平成四年八月二〇日に自殺し、Xはその唯一の相続...
《解 説》
本件は、サラ金会社Xと、同社の自動貸付機を利用して繰り返し、金員の借入を行うことができる旨の契約を締結し、自動貸付機利用のためのカードの発行を受けていたYが、刑事事件によって逮捕され、さらに刑務所に収容されている間に、Yのカードを持ち出し、Yからカード使用のための暗証番号を聞き...
《解 説》
一 Xは、三名の被害者に対する殺人及び二名の被害者に対する殺人未遂の罪により、前橋地方裁判所高崎支部で死刑の判決を受けた者であるが、これを不服として、東京高等裁判所に控訴した。
一審では国選弁護人が選任されていたが、Xは、一審同様、控訴審においても、国選弁護人の選任を希望し、...
《解 説》
一 患者Aは平成三年三月一九日、国立大学医学部付属病院で大腸癌精密検査として注腸造影検査を受けたが、そのフィルムに詳細不明の正常構造とは異なる陰影が存在し、これが癌である可能性を否定できなかったのに、担当医師は再検査が必要と判断しなかった。Aは約一年後の平成四年三月一八日、大腸...
《解 説》
一 X(女性)は、かねて腋臭に悩んでおり、Yとの間で腋臭症の手術を受ける診療契約を締結してYの執刀による手術を受けたところ、その手術部位に瘢痕が生じたとして、①右瘢痕は、Yの術中の手技に問題があったか術後の患部の処理・固定が不十分であったとの注意義務違反により生じたものであり、...
《解 説》
一 本件は、長良川河口堰建設に伴う漁業補償契約の交渉、締結等の権限を職務代行者以外の者に付与したY組合(漁業協同組合)の平成六年七月一九日付総会決議(本件決議)の効力が争われた事案である。
二 本件においては、本件決議が、Yの代表者を職務代行者と定めた平成二年五月一八日付職務...
《解 説》
一 Xは、平成八年九月八日、普通乗用自動車を運転して、栃木県足利市内の道路上を走行中、訴外Aの運転する普通貨物自動車に追突され、頚椎捻挫、腰椎捻挫の傷害を負った。
Xは、平成四年から五年にかけて、Y(保険会社)との間で、五件の傷害保険契約を締結したところ、右傷害の治療のため、...
《解 説》
一 X会社は、平成九年三月、Xの店舗(パチンコ店)を目的として、Y保険会社と店舗総合保険契約(本件保険契約)を締結したところ、同年七月、Xの従業員Aが右パチンコ店に放火し、焼損等の損害が生じたので、本件保険契約に基づいて保険金を請求した。これに対し、Yは、AはXの実質的経営者で...
《解 説》
平成七年一月一七日午前五時四六分に阪神淡路大震災が発生したが、本件は、その約九時間後に発生した火災により被災したXら一六名が、Y生活協同組合との間で締結した建物あるいは家財に関する火災共済契約に基づいて、一二〇万円ないし三〇〇〇万円の支払を請求した事案である。
本件火災共済契...
《解 説》
一 原告は、熱転写プリンタに関する実用新案権(本件実用新案権)を有する。被告は、補助参加人から熱転写プリンタを購入し、これを組み込んだワードプロセサを販売している。本件は、原告が、被告に対し、被告の右ワードプロセサの販売行為が、本件実用新案権を侵害すると主張して、実施料相当額三...
《解 説》
一 相手方A、B、C及びDの被相続人は、山形県立の病院で検査を受けた後に死亡したが、相手方らは、被相続人が死亡したのは、右病院の担当医師らの検査の過誤等によるとして、山形県を被告として、不法行為ないし債務不履行による損害賠償を求めて、Bの住居地(義務履行地の一つ)を管轄する横浜...
《解 説》
一(一)(1) 被告人は、常日頃からパソコンと向き合い、その幼児性癖(ロリータコンプレックス)を密かに楽しみ、それに関するCD商品を収集していた。
(2) 本件は、新聞配達員をしている被告人が、その配達範囲である某団地界隈の子供たちに対して、菓子を配ったり、ゲームの話をしたり...
《解 説》
一 本件は以下のような事案である。
1 原判決は、罪となるべき事実として、被告人が、法定の除外事由がないのに、平成一〇年一一月一六日、東京都渋谷区所在のマンション内の被告人方居室において、回転弾倉式けん銃一丁(モデルガンを改造したもの。以下「本件改造けん銃」という。)を所持し...