最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
本件の原告であるXらの長男Aは、大学卒業後の平成二年四月、大手広告代理店であるY社に入社した。Aは、同年六月、Y社のラジオ関係部署に配属されたが、当初から、長時間にわたる残業を行うことが常況となっており、これは次第に悪化する傾向にあった。Y社においては、残業時...
《解 説》
一 本件は、昭和一二年の廬溝橋事件から昭和二〇年の我が国によるポツダム宣言受諾までの間の日中戦争中に、中国国民である原告らないしその配偶者その他の肉親らが、中国大陸に侵攻した日本軍ないしその軍人から、強姦未遂、拷問、捕虜虐待、人体実験、無差別爆撃などという加害行為を受けて甚大な...
《解 説》
一 本件は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「法」という。)三条に基づいてぱちんこ屋営業の許可を受けていたXが、その共同経営者で営業を一任していた夫が訴外会社にXの名義をもってぱちんこ屋を営業することを許諾し、同社が一年九箇月余にわたりX名義でぱちんこ屋を営...
《解 説》
一 労働基準法三九条は、所定の日数の年次有給休暇(年休)を労働者に与えることを使用者の義務とした(一項)上で、その時季(季節を含む時期の意)は労働者において請求することができ、使用者は原則としてその請求どおりに休暇を与えなければならない(四項本文)が、その時季に年休を与えること...
《解 説》
一 最高裁第一小法廷は、本年三月九日に、預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産した場合にその破産管財人が破産法五九条一項に基づいて会員契約を解除することができるかどうかを争点とする事件について二件の判決を言い渡した。そのうちの一件である本件は、本年二月二九日に第三小法廷が言い渡し...
《解 説》
一 最高裁第一小法廷は、本年三月九日に、預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産した場合にその破産管財人が破産法五九条一項に基づいて会員契約を解除することができるかどうかを争点とする事件について二件の判決を言い渡した。本件は、そのうちの一件であり、年会費の定めのないゴルフクラブの事...
《解 説》
一 本件は、戸籍上の父であるXが、嫡出否認の訴えの出訴期間経過後に、戸籍上の子であるYを被告として、親子関係不存在確認の訴えを提起した事案である。本件訴えの適法性、すなわち、形式的には民法七七二条により父子と推定される関係にあっても、例外的に、嫡出否認の訴えによらないで、親子関...
《解 説》
第一 事案の概要
一 本件は、XとYが各自の有する債務名義に基づき、同一の債権を二重に差し押さえたため、執行裁判所が、第三債務者からの供託金をXとYに案分して配当する旨の配当表を作成したところ、Xが異議を述べ、Yに対し、手続費用等を除く供託金の全額をXに配当するよう、配当表の変...
《解 説》
第一 事案の概要
一1 亡Aは、「桃の新品種黄桃の育種増殖法」という名称の発明(以下「本件発明」という。)の特許権(以下「本件特許権」という。昭和五二年一〇月二四日出願)を有していた。
2 本件発明は、判決文にあるとおり、桃品種タスバーターを種子親とし、桃品種晩黄桃を交配せ...
《解 説》
一 本件は、建物につき、滞納処分による差押えがされた後不動産競売手続による差押えがされるまでの間に、短期賃借権が設定された場合において、続行決定に基づいて進められた不動産競売手続で買受人となった者の申立てにより、右短期賃借権に基づく占有者に対して引渡命令を発することができるかど...
《解 説》
一 本件は、刑法二六条の二第二号にいう「保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき」に当たるとして、執行猶予の言渡しの取消しが請求された事件である。この取消し事由は、刑法二六条の二が定める裁量的取消し事由の一つであるが、その取消し手続については、他の取...
《解 説》
一 警視庁の司法警察員が、Aを被疑者とする電磁的公正証書原本不実記録同供用の被疑事実(転居する意思がないにも関わらず、転居した旨記載した虚偽の住民異動届を作成し、これを区役所出張所係員に提出し、同係員をして公正証書の原本たるべき電磁的記録である住民票にAが転入した旨の記録をなさ...
《解 説》
一 本件は、貸金業者がいわゆる手形のジャンプに応じて資金を融通していたところ、事前に予約手形として数枚の手形を預かっておきながら右手形を顧客に無断で金融機関で割引していたのに、国がその規制、監督権限を行使しなかったことが違法であるとして、顧客が国に国家賠償請求した事案である。
...
《解 説》
一 本件は、X(原告)がY(被告)に対し、不動産の売買代金を請求したところ、Yが、本件不動産の売主はZであって、Xは仲介者に過ぎないとして、XY間の売買契約の成否を争った事案である。
二 本判決によれば、本件不動産の売買契約書上、売主として記載されているのはZであって、Xは仲...
《解 説》
一 Yの教育委員会保健体育課は、昭和六〇年頃から、市民サービスの一環としてテニスの初心者に対して硬式テニスの初歩的技術を習得させることを目的としたテニス教室を開催しており、Xは、右テニス教室の講師として初心者の指導をしていたものであるが、平成八年四月一三日、四街道市中央公園庭球...
《解 説》
一 本件の当事者であるX1ないしX4およびYはいずれも弁護士である。Aは、B及びCに不動産を賃貸していたが、Yは、Aの訴訟代理人として、B及びCに対し、賃料不払を理由に賃貸借契約を解除したとして不動産の明渡を求めるとともに、B及びC並びに両名の連帯保証人であるDに対し、延滞賃料...
《解 説》
一 本件は、急性胃腸炎により、被告の経営する病院で治療を受けた原告が、被告病院の看護婦の行った点滴のための注射針刺入行為(原告の左手背部手関節拇指側付近に対するものであった。)によって、左手関節部神経を損傷した上、反射性交感神経異栄養症(RSD)に罹患したとして、被告に対し、医...
《解 説》
一 本件は、「液体充填容器」に係る実用新案権につき、Yの製造販売する液体充填容器がその考案の技術的範囲に属し、Xの権利を直接侵害するか、又は、Yが液体充填容器の部品を製造販売する行為が右権利の間接侵害に当たるというXの主張をいずれも退けて、実用新案権に基づく差止め及び損害賠償請...
《解 説》
一 本件は、立体駐車場に関する二つの特許の各発明者として特許公報に名前が記載されている原告が、右各特許の出願人である被告に対し、特許法三五条三項に基づいて、相当対価の支払を求めたという事案である。
原告は、本件各発明は、原告が、被告在職中に、職務発明として行ったものであり、そ...
《解 説》
一 本件は、著名なプロサッカー選手であるXの生立ちを著述した書籍について、Xが、パブリシティ権、プライバシー権並びに著作権(複製権)及び著作者人格権(公表権)に基づいて出版の差止め及び損害賠償を求めたのに対し、プライバシー権及び著作権の侵害のみを認め、Xの請求を一部認容した事案...
《解 説》
一 本件は、被告人Xと同Yの両名が、①Aとともに、平成六年一月、運送会社事務所から現金等の入った金庫一個を窃取し、②A、B等四名とともに、平成六年三月、民家で家人に手錠をかけるなどして現金等の入った耐火金庫一台を強取し、③Bとともに、平成六年四月、Aに対し、その後頚部にアイスピ...
《解 説》
第一 事案の概要
本件は、宗教法人である被告法の華三法行(以下「被告法の華」という。)が主催する研修に参加し、また、物品を取得するために多額の金員を出捐した原告らが、被告らに対し、被告らは、被告法の華及び被告福永法源こと福永輝義(以下「被告福永」という。)が中心となって、多額の...
《解 説》
一 Xは、資本金一八〇〇億円余の大手証券会社であるY(会社)の株式二一三八株を保有する株主であるが、平成一一年六月二九日に開催されるYの第九五回定時株主総会への出席を弁護士に委任し、その旨Yに申し出たところ、Yは、その定款一三条において、「株主は、当会社の議決権を有するほかの株...
《解 説》
一 BがYから本件工事を請け負ったが、AがBから請負人の地位を引き継いでYから本件工事を請け負い、本件工事は当初予定の最終工程まで一応終了し、本件建物は社会通念上の建物として完成し引き渡された。
Aに対する債務名義を有するXは、AのYに対する工事残代金債権について差押命令の発...