最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、いわゆる茨城カントリークラブ事件の第一審判決である。
本件事案の概要は、おおよそ次のとおりである。
ゴルフ場経営会社(常陸観光開発)の親会社(ケン・インターナショナル)の代表取締役である水野健は、昭和六三年七月、募集総代理店三輝の代表取締役である丸西に対し、茨城...
《解 説》
一 問題の所在
従来、交通事故により後遺障害を負った被害者が、症状固定後に、交通事故と相当因果関係のない原因(病気、天災、第二の交通事故等)により死亡した場合に、当該交通事故の加害者が負担すべき後遺障害による逸失利益の範囲は、死亡時までに限定されるのか(切断説)、死亡後の期間...
《解 説》
一 本件は、国の所有する道路敷及び河川敷と南北を接する土地(本件土地)について、国との間で境界が争われた事件である。本件土地は、所有者であるAが死亡した後、その相続人であるX1~X3、Y1の四名によって相続された。Aの遺産の分割について協議が調わず、XらがY1を相手方として申し...
《解 説》
一 本件は、無期懲役刑を科した(あるいはその旨の第一審判決を維持した)控訴審判決に対して検察官が量刑不当等を理由として上告した一連の事件のうちの一件である。
身の代金目的誘拐殺人事件に類似した実質を有する事案であり、多額の負債を抱えて鉄工所の経営に行き詰まった被告人(当時五一...
《解 説》
一 原告は、脳性麻痺による両上肢機能障害・移動機能障害の障害を有する者であるところ、平成三年度の埼玉県立高等学校定時制(以下「高校定時制」という。)の入学を志願し、特別選考(出身校によって作成された調査書、原告本人作成の志願理由書及び志願先高校での面接の各評定を資料として総合的...
《解 説》
一 Xは、週二回・一回二時間、家事介護のためのホームヘルパーの派遣を受けていたが、平成七年一一月二一日、Y1(福祉事務所長)に対し、ホームヘルパーの派遣を週七回・一回三時間に増やし、身体介護(具体的には、食事介護・排泄介護・身体清拭・洗髪)も行うことを求める旨記載したホームヘル...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、被告が、ゴルフ場として使用されている土地(本件土地)について、その周辺地域の大半が宅地化されているとして宅地価格から比準した価格をもって平成六年度の固定資産税の登録価格を算定したのに対し、本件土地の所有者である原告が、本件土地は、市街化調整区域内にあり...
《解 説》
一 多くの自治体においては、いわゆる情報公開条例と並んで、自治体住民の自己に関する個人情報の開示、訂正、利用の中止等を求める権利を保障するとともに、個人情報の適正な取扱いを確保することにより個人情報を保護することを目的として、個人情報保護条例が制定されており、この個人情報保護条...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、ごみ処理施設建設工事の指名競争入札において、同工事を発注した一部事務組合の管理者らが指名業者に談合をさせ、不当に高額な工事代金の請負契約を締結することによって前記組合に損害を与えたとして、同組合を構成する地方公共団体の住民らが、地方自治法二四二条の二第...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。
1 Xら二名は、アスファルト製造、販売等を営むY会社の従業員であるが、昭和六〇年八月、労働組合に加入した。
2 平成五年四月以降、Y会社は、Xらを当時の職務であった舗装機械の運転作業(以下「オペ作業」という。)に一切従事させず、このた...
《解 説》
一 X(原告・反訴被告・被控訴人)は、葬儀社の代表取締役として葬儀社を経営する者であるが、平成八年一二月、訴外A会社の代表取締役Bの依頼により、A会社がY(被告・反訴原告・控訴人)から継続的反復的に金銭を借り受ける旨の本件取引契約に基づきYに対し現在及び平成一一年一二月三一日ま...
《解 説》
一 Aは、Y1が開設する病院において、総胆管癌を切除するため、右病院の勤務医であるY2の執刀により、膵頭十二指腸切除術(以下「本件手術」という。)を受けたところ、その後、膵臓と空腸との吻合部等で縫合不全が発生し、多臓器不全により死亡するに至ったため、Aの相続人であるXらが、Yら...
《解 説》
事案の概要は次のとおりである。
訴外亡A(昭和三八年一〇月二日生、男性)は、昭和四五年の小学校入学ころから昭和五二年の中学校入学ころまで小児喘息で通院治療を受け、昭和五二年の中学校入学ころには喘息発作を起こさなくなっていた。しかし、昭和五七年ころに気管支喘息を再発して以来、年...
《解 説》
一 本件は、死亡したAから公正証書遺言によりA所有の財産全部を遺贈されたとするAの母Bの包括受遺者となったXが、Aの妻であるYに対し、YがAの有していた貸付信託をAに無断で払い戻して着服したと主張して損害賠償を請求した事案であり、右公正証書遺言が無効か否かが争われたものである。...
《解 説》
一 Xは、平成三年三月、Yから、普通特殊自家用自動車クラリオン二三RD(以下「本件自動車」という。)を、代金一一一五万六七七六円で買い受けた。
そして、Xは、本件自動車を運転して、平成三年六月、岐阜県の長良川に鮎釣り旅行に、同年七月、栃木県塩原にオートキャンプに、同年八月、長...
《解 説》
一 本件は、XがYに対し、カテーテル用ガイドワイヤについての特許権の侵害を理由として、Y製品の製造・販売の差止め及び損害賠償等を求めた事案である。
本件では、Y製品が本件特許の「本体側内芯部と先端側内芯部のうちの少なくとも先端側内芯部を超弾性金属体によって形成する」という構成...
《解 説》
一 新聞社Yが年度ごとに刊行する年度版用語辞典「知恵蔵」について、平成二年版から五年版のブックデザインを担当したXは、Xが関与しなくなった平成六年(一九九四年)版及び七年(一九九五年)版の知恵蔵のレイアウトが、Xのした素材の選択、配列の創作性を再製しており、また、Xの承諾なくX...
《解 説》
一 本件は、食品を焼くために、食品をのせオーブントースターに入れて使用する、フッ素樹脂加工を施した網付きトレイを製造販売しているXが、Y1・Y2(以下「Yら」という)が製造販売している網付きのトレイは、Xの製品の形態を模倣したものであるとして、損害賠償を求めたものである。
二...
《解 説》
一 本件公訴事実は、石油売買仲介業等を営む被告人による、①三億三〇〇〇万円余りの所得税の過少申告ほ脱の事実、②関西国際空港施設の管理等の業務全般を統括するなどの職務に従事していた関西国際空港株式会社(以下「関空会社」という)の代表取締役社長に対し、空港のビルの清掃業務について被...
《解 説》
一 本件は、①防衛庁調達実施本部(以下「調本」という。)に防衛装備品を納入していた会社二社が、契約金額の算定根拠となる工数を長年にわたり水増しして申告してきたことなどにより、代金の過払いを受けてきたところ、右過払いの事実が公になるのを免れるため、当時の調本本部長及び副本部長が、...