最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、家庭用ゲーム機プレイステーション用のゲームソフトに関して、ゲームソフトの小売業者であるXと大手ゲームソフトメーカーであるYとの間で、Yの製作販売に係るゲームソフト(ロールプレイングソフト及びダンスゲームソフト。「本件各ゲームソフト」)の中古品販売の是非が争われた事案...
《解 説》
一 本件の事案の概要は、次のとおりである。(1) X(妻・請求者)とY(夫・拘束者)とは、平成六年九月に婚姻し、同八年一月長男Aが、同九年一二月長女Bがそれぞれ出生したが、夫婦仲が悪化し、Xは、同一〇年七月、二人の子を連れて婦人保護施設に入った。(2) その後、Xは離婚調停を、...
《解 説》
一 本件は、東京都知事であるYが、都議会議員の海外視察等に関する支出命令書等の会計手続文書を開示しない旨決定したことは違法であるとして、開示請求者であるXらが、Yに対して、右非開示決定を取り消すことを求めた事案である。
原審判決は、都の執行機関であるYと議決機関である都議会は...
《解 説》
一 事案の概要
Xは、東京における民間UHFテレビジョン放送局を開設する目的で、Y(郵政大臣)に対し、電波法四条に基づく無線局免許申請をした。この免許については、Xのほかに一五八社が申請したが、Yは、割り当てるチャンネルが一つしかないとの理由で、A社に申請者を一本化する調整を...
《解 説》
Xの親族A(七五歳)は平成六年一一月一八日腹痛のため病院に入院したが、当夜、胃潰瘍穿孔による汎発性腹膜炎を発症し、翌九日緊急手術を受けて胃の三分の二を切除した。Aは、その後、高齢と糖尿病による影響から経過が悪く、同月一五日には軽い肺合併症を患い、同月二二日には、依然として呼吸困...
《解 説》
一 本件は、被告(通産大臣)が自転車競技法(以下「法」という。)四条一項に基づき、S社に対してした場外車券売場設置許可処分について、その許可に係る場外車券売場の周辺住民等である原告らが、右許可処分は、被告が法及び法施行規則に違反し、その裁量権の範囲を逸脱して行った違法な処分であ...
《解 説》
一 納税者が国税を滞納した場合において、その者の財産では国税に不足するときには、その者が譲渡担保に供している財産から滞納国税を徴収することができる(国税徴収法(以下「法」という。)二四条一項)。その場合には、譲渡担保権者に対し書面で告知しなければならず(二項)、右告知書を発した...
《解 説》
一 Xは、東京都内に居住する会社役員であるが、昭和六〇年一一月、岩手県内にいわゆるコンドミニアム形式のリゾートホテルを購入し、以来、同建物をホテル経営会社に貸し付けていた。Xは、平成三年ないし平成五年分の所得税について、同建物の貸付けに係る不動産所得の金額の計算上損失が生じたた...
《解 説》
一 広島市の職員であるXは、腎臓移植の手術を受けた一級の身体障害者であり、免疫抑制剤を含む投薬治療を継続していたところ、昭和六〇年一月に深部・下大静脈血栓症が発症し、昭和六一年一〇月には肝炎が発症し、以後慢性化し増悪した。
Xは、血栓症の発症及び肝炎の発症・増悪は過重な公務に...
《解 説》
本件土地は、農業振興地域の整備に関する法律による農用地区域に指定された区域にある「青地」(転用する場合、畜舎、温室等の農業用施設用地の用途に限られるもの)であったが、Yは昭和六三年一二月、Aから本件土地を農地法五条の許可を条件として代金六六三〇万円で買い受け、所有権移転請求権の...
《解 説》
X(法人)は、平成二年八月、Yとの間で本件ゴルフ場に正会員として入会する旨の契約を締結し、Yに入会金として二七八万一〇〇〇円を支払い、法人正会員資格保証金として一五三〇万円を預託した。なお、Xは、右預託金を支払うため、A銀行から一五三〇万円の融資を受け、YはXのAに対する右債務...
《解 説》
一 X(大正一〇年九月一二日生まれ、主婦)は、Y証券会社の外務員Aの勧誘に応じて外貨建ワラント取引により損害を被った。Xは、Yに対して、①主位的に、会社ぐるみの組織的詐欺行為であるとして民法七〇九条に基づき、②予備的に、Yの従業員であるAの違法勧誘によるものであるとして民法七一...
《解 説》
本件は、別件訴訟において原告Aの代理人となった弁護士Xから同訴訟の被告Bの代理人となったYに対し、Yの別件訴訟における準備書面の記載及び証言内容がXの名誉を毀損するものであるとして、XからYに対し、慰謝料一〇〇〇万円の支払を求めて提訴した事件の控訴審である(第一審判決は、Xの請...
《解 説》
一 はじめに
本件は、落語家立川談志の落語会において居眠りをした観客(原告)が、右落語会の主催者の一人である被告によって会場から退出させられたのは、原告の名誉等を毀損するものであるとして、不法行為に基づく損害賠償を請求したという事件であり、提訴当初から「落語居眠り訴訟」として...
《解 説》
一 Xは、三重県一志郡美杉村竹原の上平地区の住民であるが、平成七年に転居してきた訴外A夫婦に同区の簡易水道の利用を認めるか否かの問題で他の地区住民と対立したことなどから、地区住民であるYらから、共同絶交宣言(村八分)を受け、かつ、度々いじめ、仲間はずし、嫌がらせを受けた。
そ...
《解 説》
一 Xは外国人アーチストの招聘・興行の運営企画会社であるが、米国のプロバスケットボール選手を日本に招聘してバスケットボールの試合の興行を企画して契約締結などの準備を進めていた。ところが、この興行の阻止を企図するY1(商社)、Y2(バスケットボール団体等に関する商品等販売のコンサ...
《解 説》
一 本件は、大蔵官僚であるXが、Y1発行の写真週刊誌フライデーに掲載された記事(以下「本件記事」という。)によって名誉を毀損されたと主張し、Y1、Y2(週刊誌の発行人)、Y3(週刊誌の編集人)及びY4(本件記事の執筆者)に対し、不法行為による損害賠償として慰謝料の支払を求めると...
《解 説》
一 本件は肝臓癌の診断と治療の当否が争われた事例である。
昭和六二年二月、患者Aはある大学病院で肝臓機能障害を指摘されて、自宅近くのY医院を受診した。診察したY1医師は、糖尿病と慢性肝炎で、入院の必要はない、定期的な通院で足りると判断して、Aにその旨を告げた。Aはその後、通院...
《解 説》
一 本件は、被相続人Aの死亡後の遺産をめぐる紛争事件であるが、Aの相続人であるXらは、Aの死亡により、公正証書遺言に基づきAの遺産の遺贈を受けたYらに対して遺留分減殺請求をしたうえ、遺産に属する不動産についての遺留分減殺を原因とする持分移転登記手続等を求めた事案であるが、相続人...
《解 説》
新聞折込広告の取扱い等を目的とする会社Xは、毛皮・皮革製品の販売等を目的とする会社Yより昭和六〇年三月から平成元年三月までの間、新聞折込広告の取扱いを委託されたが、昭和六三年一二月二一日以降の取扱いの報酬一億〇〇五一万円余の支払いを受けられなかったとして、その支払いを求めて提訴...
《解 説》
一 本件は、「スイングジャーナル青春録・大阪編」と題する書籍につき、Y1が執筆し、Y2が出版した行為が、Xの著名商標である「スイングジャーナル」を使用する不正競争行為に該当するか否かが争われた事案である。
本件書籍には、Xの元編集長であったY1が、学生時代にジャズを知ったこと...
《解 説》
一 Yは、海上運送業を業とする会社であるが、平成五年三月から六月までの間、四回にわたり荷送人Aとの間でコンテナ入りのフィッシュミール(魚粉)の運送契約を締結して船荷証券を発行し、サモアから日本国内の港にコンテナを運送し、船荷証券の所持人Bに引き渡したが、右貨物には濡損、焼損が生...
《解 説》
Xは、昭和三九年に税理士登録をし、東京税理士会の荻窪支部(Y)に所属していたが、平成四年に破産宣告を受け、同七年に税理士登録を抹消された。Xは、Yが平成四年から同七年の各六月に開催したYの定期支部総会の議案書の財産目録の未収入金額欄にXの氏名及び平成二年度以降未納となっている支...
《解 説》
一 XAは子供を二人もうけた夫婦であり、YはAのいわゆる不倫相手である。現在子供を連れて家出しY方に同居している。そこで、Xは、Yに対して、Aに夫がいることを知りながら、男女関係を継続し、Xの夫婦関係に亀裂を生じさせ、Xの家族関係を破壊したと主張して、慰謝料一〇〇〇万円を請求し...
《解 説》
一 両事件は、不動産競売手続において、土地上の建物建築請負人が、建物建築代金債権等を被担保債権として、土地について商事留置権を主張できるか否かが問題となった事案である。
両事件の事案の概要は、ほぼ共通している。すなわち、XがZ所有の土地に抵当権設定登記をした後、ZとYとの間で...
《解 説》
一 本件決定には理由が記載されていないので、間接強制の申立書から推測されるところによると、本件は、債権者が、債務者に対する特定の表示の使用禁止を命ずる執行力のある確定判決を債務名義として、これに違反して設置された広告物を除去するための授権決定を得たが、当該広告物の設置された建物...
《解 説》
一 本件は、被告人が、(一)約四か月前から同居生活をしていた女性に対し、常日頃不満を鬱積させていたところ、犯行直前に口論となった際の同女の発言にそれまで鬱積していた不満が一気に噴き出し、咄嗟に殺意を生じ、同女を木製バットで撲殺し、その後犯跡を隠蔽するため、同女の死体を空地に運搬...
《解 説》
本件は、税務署長の免許を受けないで、酒類を販売したという事案であり、被告人は、有限会社とその実質的経営者及び営業所の責任者の三名である。本件の主要な争点は二つあった。まず、第一は、酒税法九条一項の免許制度は憲法二二条一項に適合するかどうかということであり、第二は、本件の販売シス...
《解 説》
一 本件は、被告人が前方不注視で走行した過失により、被害者に気付くのが遅れ、急制動措置をとったため自車(自動二輪車)の安定を失い、車両もろとも路上に転倒、滑走し、自車を被害者に衝突させて路上に転倒させて傷害を負わせた旨の訴因(本位的訴因)で起訴がなされたところ、第一審において、...
《解 説》
一 Xは、平成八年五月当時、大蔵省大臣官房審議官の職にあったが、Y1会社は、同月三日号の「フライデー」に、Y2の署名入りで、富士銀行不正融資事件に関連して、Xが「人事口利き」と「株情報漏洩」の疑惑がある旨指摘する本件記事を掲載したため、本件記事によって名誉を毀損したと主張し、週...