判例タイムズ

最も長い歴史をもつ判例実務誌

表紙画像

判例タイムズ No.854


  • <随想>最高裁裁判官に第二の調査官(裁判官専属の調査官)を

    萩原金美   

    引用形式で表示 総ページ数:4 開始ページ位置:4
  • 倉田卓次   

    引用形式で表示 総ページ数:14 開始ページ位置:8
  • 共有物分割訴訟の若干の問題点について

    奈良次郎   

    最近の裁判例を参照しながら

    引用形式で表示 総ページ数:23 開始ページ位置:22
  • <銀行実務と民事裁判332>信託を利用した資産流動化・証券化に関する考察について

    松本崇   

    最近の信託法学会の研究発表のなかから

    引用形式で表示 総ページ数:3 開始ページ位置:45
  • <判例評釈>告知義務違反による契約解除と解除権不可分の原則および告知義務違反と詐欺・錯誤(最三小判平5・7・20損保企画536号8頁)

    山野嘉朗   

    引用形式で表示 総ページ数:8 開始ページ位置:48
  • <ブック・レビュー>石川 明=三上威彦編『国際民事訴訟の基本問題』

    春日偉知郎   

    引用形式で表示 総ページ数:3 開始ページ位置:56
  • <ブック・レビュー>萩原金美著『裁判法の考え方』

    那須弘平   

    引用形式で表示 総ページ数:3 開始ページ位置:59
  • 最高三小平6.5.31判決

    《解  説》
     一 本判決は、(1) 入会権の権利者である村落住民が権利能力のない社団に当たる入会団体を形成している場合に、右入会団体に入会権(総有権)確認の訴えの原告適格が認められるか、(2) 入会団体の代表者が入会権(総有権)確認の訴えを原告の代表者として追行するのに特別の授権を要するか、...

    引用形式で表示 総ページ数:6 開始ページ位置:62
  • 《解  説》
     一 事案の概要は、次のとおり。被告保険会社の外務員は、都内に時価八億円近い不動産を所有する高齢の原告が、相続税対策に苦慮していることを知り、上司らと共に原告の自宅を訪れ、一時払変額保険契約への加入を勧めた。この保険は、株式市況等により解約返戻金の額が変動し元本割れする危険度の高...

    引用形式で表示 総ページ数:6 開始ページ位置:68
  • 《解  説》
     一 ①事件について
     1 事案は複雑であるが、要約すると次のとおりである。
     XはY2生命保険相互会社の募集人で変額保険の販売資格を有するY1の勧誘により、昭和六三年七月二五日A銀行から約三〇〇〇万円の融資を受け、その中から賃料徴取目的で買い受けた米国ロスアンジェルス市内のコン...

    引用形式で表示 総ページ数:10 開始ページ位置:74
  • 《解  説》
     一 本件は、特許権について真正商品の並行輸入が問題となった事案である。
     ドイツの会社であるXは、自動車の車輪についてのドイツ特許権を有し、その実施品をドイツ国内で製造、販売しているほか、我国においても、右ドイツ特許権の発明と同一の発明について特許権を有している。
     Y1、Y2...

    引用形式で表示 総ページ数:9 開始ページ位置:84
  • 《解  説》
     一 並行輸入については、商標権に関する裁判例が多いが、本件は著作権(頒布権)に関するものである。Xは、アメリカ合衆国において適法に製作販売されたディズニー映画「一〇一匹わんちゃん」のビデオカセットを輸入し、これを日本国内において販売しようとしたところ、日本国における映画のビデオ...

    引用形式で表示 総ページ数:5 開始ページ位置:93
  • 最高一小平6.1.20判決

    《解  説》
     一 本件は、Xが、夫(A)と同棲関係(重婚的な内縁関係)を継続したYに対し、五〇〇〇万円の慰謝料の支払を請求した事案であるが、X(大正8年11月24日生)とA(大正3年12月8日生)との婚姻関係は昭和17年7月10日に始まるところ(Xは22歳、Aは27歳で、その後、三子をもうけ...

    引用形式で表示 総ページ数:4 開始ページ位置:98
  • 《解  説》
     Xは、出産時に脊髄損傷を受け、胸部から下の肢体が不自由なため、一種一級の障害者とされる女子生徒であるが、自己及び両親がY3市立中学校の普通学級への帰属を強く希望し、運動していたのにもかかわらず、市教育委員会Y1が市立中学校に特殊学級を設置し、同中学校長Y2がXを右特殊学級に所属...

    引用形式で表示 総ページ数:3 開始ページ位置:102
  • 《解  説》
     一 徳島県鳴門市瀬戸町日出湾周辺においては、近年、開発業者から、ゴルフ場を中心としたリゾート開発計画が明らかにされ、地元説明会が開催された。ところが、右説明会に出席した地元民のXは、開発業者の説明にあきたらず、右開発に関する資料を入手しようとして、徳島県情報公開条例(以下「条例...

    引用形式で表示 総ページ数:8 開始ページ位置:105
  • 《解  説》
     一 本件は長野地判平4・2・27本誌八一四号一三一頁の控訴審判決である。原審における争点は、地滑り災害が発生したことにより長野市が固定資産の評価替えを行うために不動産鑑定士に作成させた評価調書等に記載されている内容が、長野市公文書公開条例(以下「本条例」という)七条一号の「通常...

    引用形式で表示 総ページ数:5 開始ページ位置:112
  • 名古屋地平5.2.25判決

    《解  説》
     一 本件は、流域下水道の終末処理場建設のための土地収用裁決に関する事件である。
     Y2県は、都市計画事業に係る流域下水道の終末処理場の事業用地とするため、Xらの所有地について土地収用裁決の申請をし、Y1収用委員会はこれを認める権利取得裁決及び明渡裁決をした。これに対し、Xらが、...

    引用形式で表示 総ページ数:40 開始ページ位置:116
  • 《解  説》
     一 XはAに対する売掛金債権二六六万円余を保全するため動産仮差押命令を申し立てて、仮差押決定を受け、B執行官に執行を申し立てた。B執行官はA方に赴き、五〇〇万円の値札の付いた飾り壷一個を二七〇万円相当と評価して仮差押えした。その後、XはAに対し、一部弁済を受けた残額一九八万円余...

    引用形式で表示 総ページ数:5 開始ページ位置:155
  • 《解  説》
     一 千葉県警察は、昭和六三年九月に発生した千葉県収用委員会会長襲撃事件の捜査として、千葉地方裁判所裁判官の発した捜索差押許可状に基づき、平成元年一月、Xの自宅に対し、被疑者以外の第三者に対する捜索差押えを実施し、X所有のビラ一枚を差し押さえた。Xは、本件捜索差押許可状の請求及び...

    引用形式で表示 総ページ数:12 開始ページ位置:159
  • 《解  説》
     一 死刑判決確定者であるXは、未決勾留中(昭和五八年~六一年)二〇回以上にわたり養親の孫(一四歳未満)との面会許可を求めたが、東京拘置所長は、監獄法施行規則(明治四一年司法省令一八号)一二〇条の定め(平成三年法務省令二二号による改正前のもの)を根拠に不許可とした。そこで、Xは、...

    引用形式で表示 総ページ数:6 開始ページ位置:170
  • 《解  説》
     一 被相続人甲は、昭和五七年一〇月ころに脳動脈硬化性痴呆症で入院しその後は退院することなく昭和六二年七月一六日に死亡した。甲は、昭和六二年二月二四日に相続人の一人であるX1を代理人として乙銀行から一八億二〇〇〇万円を借り入れたうえ、同日、本件土地を代金一六億六一〇〇万円で買い入...

    引用形式で表示 総ページ数:10 開始ページ位置:175
  • 《解  説》
     一 本件は、所得税法一五六条に基づく推計課税によってされた所得税更正処分と過少申告加算税賦課処分の各取消請求事件であり、推計課税の必要性・合理性の有無、実額反証の成否が争点となった。
     二 本判決は、推計課税の必要性はあると認めたが、その合理性は全面的に肯定せず、右各処分を一部...

    引用形式で表示 総ページ数:12 開始ページ位置:184
  • 《解  説》
     一 本件は、福岡県で行われた第四五回国民体育大会開催にあたり、福岡県実行委員会が、国民体育大会開催基準要項に基づいて、第四五回国体夏・秋大会実施要項を作製し、福岡県から補助金を交付されたことについて、原告らが、①実施要項中の参加資格についての国籍条項は、憲法一一条、一三条、一四...

    引用形式で表示 総ページ数:4 開始ページ位置:195
  • 《解  説》
     原告の夫Aは、高松市環境部清掃工場の業務係長として一般廃棄物の焼却、残灰の除去等の業務を行っていたが、昭和六一年一月一二日、自宅で倒れ、同月一七日、脳幹出血により死亡した(当時四八歳)。原告は、右死亡は、公務に起因するものであるとして、被告に対し、地方公務員災害補償法に基づいて...

    引用形式で表示 総ページ数:8 開始ページ位置:199
  • 《解  説》
     本件事案は、おおよそ次のとおりである。Xは、本件農地(畑)の所有者であるが、昭和五一年ころ砂利、資材置場として使用する目的で、Yに対し右農地を賃貸し、昭和五七年ころにはさらに別の農地を追加して賃貸した。Yは、右目的のためにプレハブの仮設建物を建てて右土地を使用し、Xも建物の設置...

    引用形式で表示 総ページ数:3 開始ページ位置:207
  • 《解  説》
    一 本件は、原告国及び独立当事者参加人日本道路公団が、被告に対し、自衛隊北富士演習場周辺土地(旧米軍演習場)の所有権に基づき、入会団体と称する被告が同地上に設置した建物等の撤去及び将来の建物等の設置禁止等を求め、これに対し、被告が右建物等は入会権に基づいて建設したものである等主張...

    引用形式で表示 総ページ数:8 開始ページ位置:209
  • 《解  説》
     一 X所有の甲地の北側には訴外A所有の乙地が、さらにその北側にはY所有の丙地が存在していた。丙地は南側が低くなる斜面であり、乙地を挟んで甲地も南側低地に南側斜面となっている。つまり、丙地は高地であり、甲地は低地である。Yは丙地内に排水設備を造り、これを利用して、乙地経由で甲地内...

    引用形式で表示 総ページ数:5 開始ページ位置:216
  • 《解  説》
     事案を簡単にいえば次のとおりである。XはYに、自己の営む会社の不動産賃貸部門(貸ビル)の運営を任せていた。Yは、テナントの幾つかを退去させたあと、一部床面積を加えて、自己の営む店舗リース業を目的とする会社の名でこれをXから賃借し、内装工事をしたあと第三者に転貸した。XY間の契約...

    引用形式で表示 総ページ数:8 開始ページ位置:220
  • 《解  説》
     一 本件は、Xが、その所有に係る建物(以下「本件建物」という。)一階の一部(以下「本件建物部分」という。)をYに賃貸していた(以下「本件賃貸借契約」という。)ところ、YがXに無断でZ(株式会社)に対し本件建物部分を転貸した(以下「本件転貸借契約」という。)として、本件賃貸借契約...

    引用形式で表示 総ページ数:4 開始ページ位置:228
  • 《解  説》
     一 本件は、Xが建物賃借人Yに対して、敷金及び更新料不払い(債務不履行)を理由に賃貸借契約解除を主張して、建物明渡しを求めたケースである。これに対して、Yは、その解除の効力を争っている。争点は、債務不履行の有無及び解除の効力である。
     二 本判決は、要旨次のとおり判示して、Xの...

    引用形式で表示 総ページ数:5 開始ページ位置:231
  • 《解  説》
     Xは、昭和五一年から六期連続で衆議院議員を務め、平成三年一一月から同四年一二月まで郵政大臣の地位にあった者である。Yは雑誌「週刊宝石」を発行する会社であるが、平成四年一〇月二二日号の「週刊宝石」において、その表紙に「地検特捜部が注目するW郵政大臣の“2億円”の土地」という大見出...

    引用形式で表示 総ページ数:4 開始ページ位置:235
  • 山形地米沢支平3.11.21判決

    《解  説》
     一 本件の事案は、やや複雑であるが、判示事項に関連する限度で要約すると、自動車学校を経営していた訴外会社の倒産に関し、同社の金融機関に対する債務を被告銀行が保証し、同社の同被告に対する求償債務を原告ら及び同社の代表取締役である被告新藤が連帯保証していたところ、被告銀行が、保証債...

    引用形式で表示 総ページ数:16 開始ページ位置:238
  • 《解  説》
     一 A(当時一五歳、男子)は、昭62・6B病院で急性虫垂炎の手術を受けたが、手術直後に呼吸困難を訴え、回復措置にもかかわらず死亡した。Aの両親であるXらは、Aの死亡は脊椎麻酔に使用されたテトカイン(塩酸テトラカイン)による麻酔事故(アナフィラキシーショック)であり、それは添付文...

    引用形式で表示 総ページ数:9 開始ページ位置:253
  • 《解  説》
     一 Yは妻子がありながら、Xと内縁関係に入り、Xと飲食店の共同経営を開始したが、その収益金のほとんどをY名義で購入した本件不動産取得のための銀行借入金の返済及びYの妻子への仕送金に充てるとともに、相続により取得した土地の一部を売却して、妻子の居住家屋新築代金の一部に充てた。そこ...

    引用形式で表示 総ページ数:5 開始ページ位置:261
  • 《解  説》
     本件は、単純化すれば、Xら四名(うち一名は、民訴法七五条による共同訴訟参加人)が兄弟であるYに対し、亡父Aが昭和五六年四月四日付でした遺言及びXらとYの間で同六一年七月にした遺産分割協議の各無効確認等を求めた事案である。右の遺言は、Aの有していた借地権をYに遺贈するなどというも...

    引用形式で表示 総ページ数:6 開始ページ位置:265
  • 《解  説》
     一 Y1株式会社は取引先の倒産により連鎖倒産したところ、右倒産の約四〇日後に、同社と代表取締役を同じくする株式会社Y2(Y1とは別商号)が設立された。そこで、Y1振出の小切手・約束手形を所持していたX1、X2は、Y1に対して右小切手金及び約束手形金を請求するとともに、法人格否認...

    引用形式で表示 総ページ数:9 開始ページ位置:270
  • 《解  説》
     本件は、種苗法に基づく種苗(椎茸種菌)の生産販売禁止仮処分事件である。
     農業生産上優れた品種を育成することは農林水産業の発展の見地から極めて重要な課題である。種苗法は、農林水産植物の品種の登録制度を設け、育成された新品種を法的に保護している。この新品種の育成者が品種登録によっ...

    引用形式で表示 総ページ数:2 開始ページ位置:278
  • 《解  説》
     一 本件は、X(AとCとの間の子、後にYとAの養子となるがAの死後Yと離縁した)が、Yと亡Aとの間の婚姻の無効確認を求めたものである。
     一審判決で、婚姻無効確認の訴えは、婚姻が無効であることにより自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けないときは訴えの利益を欠くものであると...

    引用形式で表示 総ページ数:4 開始ページ位置:279
  • 《解  説》
     本件は、一般債権者による差押えに後れて根抵当権者が物上代位により同一の賃料債権を差し押さえたため、第三債務者が賃料を供託した事案において、一般債権者が抵当権者に対し、配当異議を申し立てた事案である。
     Xが、公正証書の正本に基づいて、Aが本件建物の賃借人に対して有している賃料債...

    引用形式で表示 総ページ数:3 開始ページ位置:282
  • 《解  説》
     本件は、被告人が深夜通行中の被害者の頭部をレンガ塊で殴打するなどして襲い、現金を強取しようとして負傷させた(強取は未遂)として起訴された強盗傷人被告事件であるが、被告人が犯行当時飲酒酩酊の状態にあったため、その責任能力の有無が争点になったものである。
     酩酊犯罪の責任能力に関し...

    引用形式で表示 総ページ数:5 開始ページ位置:285
  • 《解  説》
     大麻取締法一条は、「この法律で『大麻』とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。……」と定めている。
     被告人及び弁護人は、第一審では大麻所持の事実を認め、懲役二年、五年間執行猶予の判決を受けたが、被告人から控訴がなされた。
     弁護人の控訴趣意は、被告人が所...

    引用形式で表示 総ページ数:3 開始ページ位置:289
  • 《解  説》
     本件は、いわゆる佐川急便事件のうち平和堂グループへの不正融資に関する事件の第一審判決である。
     平和堂グループの代表者である被告人Aは、東京佐川急便のW社長から融資を受けて株取引や不動産投資を行い、その見返りにWに裏金を提供していたが、不動産投資や株取引などがうまくいかなくなり...

    引用形式で表示 総ページ数:9 開始ページ位置:291
  • 《解  説》
     一 本件は、勾留中の被告人に対し公判期日外の証人尋問に立ち会う機会を与えなかったことが刑訴法一五七条一項違反に当たるとされたものである。
     原審において、弁護人は、検察官が公判期日外の証人尋問を請求した段階ではこれに異議がない旨述べていたが、裁判所がその旨決定したところこれに対...

    引用形式で表示 総ページ数:3 開始ページ位置:299
  • 《解  説》
     一 本件は、いわゆるイトマン事件を審理する原裁判所がした帳簿などの提出命令に対する抗告審決定である。
     イトマン事件とは、大手商社の社長ら役員と関係者が不動産や絵画など多くの取引に関して巨額の損害を与えたなどとして、商法特別背任その他の罪名で起訴された社会的に著名な事件である。...

    引用形式で表示 総ページ数:3 開始ページ位置:301