1 被控訴人は,控訴人を任期を定めることができないポストであった助教に採用したのに,被控訴人大学大学院の専攻長らが,大学教員の任期に関する規程に反して専攻間の申合せを優先させ,控訴人に任期を5年とする同意書を差し入れさせるなどしたことは,同意書が返還され,別の安定したポストに異動するまでの間,控訴人の地位を著しく不安定な状態に置いたもので,就労に関わる事項において不利益を与えたハラスメントに当たり違法とした事例
2 執務区画が撮影範囲に含まれるカメラが執務室に設置されており,控訴人の着任に際してこれを説明しなかったことは,監視が目的でなかったとしても,映像がネットワークを通じて第三者も閲覧し得るシステムになっていたことも併せれば,控訴人のプライバシーを不当に侵害するもので違法とした事例
3 指導担当教授という極めて重要な事項につき,控訴人の意向等を全く確認せず別系統の者に変更し,卒業論文発表会の案内が2年間されないなど控訴人の所属が曖昧となって事実上排除され,孤立した就業環境に置かれたことは,変更前の教授と折り合いが悪かったことなどを斟酌しても,就労に関わる事項において不利益を与えたハラスメントに当たり違法とした事例
4 准教授となった控訴人にとって,指導する大学院生用の研究室は教育研究活動上極めて必要性及び重要性が高い設備であり,専攻内や研究科全体でその必要性等を検討することなく,割当ての要求を一蹴したことは,控訴人の教育研究活動に対する配慮を著しく欠いたもので,就労に関わる事項において不利益を与えたハラスメントに当たり違法とした事例
5 控訴人は,被控訴人大学大学院の所属部署において,継続的に村八分のように扱われ,不安定で孤立した就業環境を強いられるなど精神的苦痛を被ったとし,請求を棄却した一審判決を変更して,慰謝料等110万円の請求を認めた事例
6 ハラスメント対策委員会で承認された当初の調査報告書の内容及び結論を否定する再調査委員会の報告書は,損害賠償義務を免れるため組織的に行われたと疑われる面があるなど信用性に疑義があり,少なくとも当初の報告書より信用性が高いとはいえないとした事例