殺人未遂の事案において,被告人が,警察署に自首し,救急車を呼ぶよう要請したとする中止未遂の主張に対し,被告人が,現場を離れる前に救命活動を行なわずに,被害者を放置したことを根拠に,原判決が中止未遂の成立を否定したことは相当とはいえないが,被告人は,殺害行為の継続を止めた後,被害者の携帯電話機を持ち出し,被告人以外の者による被害者の救命活動を困難にし,結果発生防止行為を積極的に妨害した上で警察署に出頭しており,全体として規範的にみると,被告人が自ら結果発生を防止したとは評価できないとして,中止未遂の成立を否定した事例